アイサイト搭載車で2万Km走って感じたメリット・デメリットと弱点

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アイサイトVer.3搭載車で2万Km走った感想


 アイサイトVer.3(ツーリングアシスト)を搭載したレヴォーグに乗り始めて4年半、走行距離が2万Kmを超えたのでアイサイトを使ってみて感じたメリット・デメリットを詳しくまとめます。



我が家のレヴォーグ(アイサイト Ver.3)


 まずは愛車を紹介します。アイサイト Ver.3(ツーリングアシスト)を搭載したレヴォーグの「2.0STIスポーツ」というグレードです。2018年6月に納車されて4年半でちょうど2万Kmを走ったので記事にまとめたいと思います。


レヴォーグ


 なお、これまでに30車種以上の車をレンタカーやカーシェアで利用したことがあり、その中で運転支援システムが付いている車種はレヴォーグを含め6車種ありました。それらとも簡単に比較しながら解説します。


アイサイトに出来ること・メリット


 まずはアイサイトに出来ることや、使っていて「良いな」と感じる点をまとめます。


前の車に付いていく


 アイサイトで最も快適な機能が、全車速追従機能付クルーズコントロール(以下、クルーズコントロール)です。


 30〜135Km/hの範囲で任意に設定できる「上限速度」を守りつつ、前を走る車に追いついたり、前に割り込まれた際に適切な車間距離を自動で保つことが出来ます。


 30Km/h以下の速度でも機能は動作し、渋滞などで前走車が停止した場合はレヴォーグも停止します。前の車が動き出した際にはハンドルに付いているボタンを押すことで、再度機能が有効となり発進します。


 常識的なレベルであれば前に割り込んでくる車にもちゃんと対応できるので、高速道路本線上では足元の操作が全くと言っていいほど必要ありません。前走車がいれば料金所もクルーズコントロールのまま通過できます。最新世代のアイサイトXでは前走車がいない場合も、GPSで料金所を検知して自動で減速できるようです。


 古い世代のアイサイトは設定速度の上限が100Km/hです。仕事で北海道に長期滞在していた際にフォレスターとインプレッサ(いずれもアイサイトVer.2)を借りたことがありますが、100km/h上限では札幌郊外の高速道路の流れに乗ることが出来ず、不便さを感じましたがVer.3以降であれば東北道や常磐道の制限速度120Km/h区間でもアイサイトのクルーズコントロールで流れに乗ることが出来ます。


 前走車との速度差が大きい場合などにはブレーキが少々急になり、車間距離も少々狭くなる場面もありますが高速道路を一定のペースで走り続けることに関しては素晴らしいです。制御も自然で、流れている高速道路本線上では一般的なドライバーが運転するよりも快適に走ってくれます。


アイサイトのステレオカメラ

アイサイトのステレオカメラ

車線からはみ出さない


 車線中央維持機能が付いています。


 Ver.3のツーリングアシストの場合、車線を検知した状態(メーター内に状況が表示される)でウインカーを出さずに車線をまたごうとすると、警告音が鳴るだけでなくハンドルに力が掛かって車線の中央に戻そうとしてくれます。これはアイサイトの追随走行がオンの状態でなくとも働きます。


 また、高速道路などでアイサイトの追随走行をオンにした状態にすると、ハンドル操作も半自動で行ってくれます。自動運転、とまではいきませんがハンドルに手を添えているだけでハンドル・アクセル・ブレーキ操作をレヴォーグが行ってくれるので、「半自動運転」という感じでラクラクです。


 高速道路本線上では車線の検知(ハンドルアシスト)が途切れることはほぼ無いです。


 強めのカーブの途中(例えば首都高5号池袋線)や一般道で車線が薄くなっている場所・複雑で分かりづらい場所などでハンドルアシストが切れることがありますが、突然アシストが切れてしまうのではなく、運転者に不安を感じさせないような切れ方をする点も良いなと思います。他社のコンパクトカーでは、少し恐怖というか運転者が慌てるような形でハンドルアシストが切れたので、アイサイトはその点でも優れていると感じます。


 また、ウインカーを出さずに車線からはみ出そうとすると警告音が鳴り、はみ出しそうになるタイミングでハンドルに若干の抵抗が加わります。一般道で路上駐車を追い越す際に、ウインカーを出さないとこの機能が発動します。


誤検知によるブレーキ発動が一度も無い


 これまでに2万Km走行しましたが、アイサイトの誤作動による誤ブレーキは一度もありません。


 詳細は後述しますが、「誤検知」による警告は3000Kmに一度程度の頻度で出ているように感じますが、実際にブレーキが発動するところまではいかずに済んでいます。


 誤検知は急カーブに少々高めのスピードで進入しようとした際に起こることが多いです。詳細は後半で詳しく解説します。


アイサイトのステレオカメラ

アイサイトのステレオカメラ

夜間や大雨でも追随走行は機能する


 通常は夜間でも追随走行とハンドルアシストは問題なく動作します。カメラで認識する方式ですが、夜間の利用も特に問題ありません。


 雨についても、日常的な雨程度であれば追随走行は問題なく動作します。雨が強くなって車線が見えづらくなると、ハンドルアシストが切れやすくなる印象はあります。


 大雨で追随走行がオフになってしまったことが一度あります。この時は高速道路を走行中でしたが、バケツをひっくり返し続けたような雨で、周囲の車がハザードランプを焚いて50Km/h以下まで減速するような降り方でした。このような極端な雨でなければ、追随走行はしっかりと動作します。


長距離移動、特に高速道路が本当に楽になった


 直前まで乗っていたのもレガシィの2.0GT(BP5)だったので比較しやすいですが、アイサイトが付いていることで長距離移動、特に高速道路での移動が本当に楽になりました(車自体も、エンジン音が静かになったり振動が少なくなり乗り心地が向上しています)


 高速道路本線上ではアクセル・ブレーキだけでなく、ハンドル操作もほぼ行う必要が無いため、ハンドルに手をそえて前を見ているだけで目的地に着くような感覚です。


 特に渋滞時は高速道路でも一般道でも、車が勝手に前の車に付いていってくれるのでラクラクです。


一般道でも一応使える


 アイサイトでのクルーズコントロールは一般道での使用が推奨されていません。自動車専用道路で使用してください、と納車時に説明を受けています。


 実際には渋滞発生時は狭い道路でもアイサイトのクルーズコントロールを使用していますし、流れている幹線道路(都内だと環七、環八など)でも使用することがあります。


 ちなみに、アイサイトでのクルーズコントロール中に赤信号を検知してメーター上の画面に表示する機能もありますが、赤信号に対応して自動で停まることはできません。取説によれば、赤信号を検知するとアイサイトによる加速を緩める(Ver.3ツーリングアシスト、アイサイトX)ようですが私は一般道でアイサイトを起動する機会が少ないため、この機能の効果を実感したことはありません(この記事を書くために取説を確認して初めてこの機能を知った)


事故のリスクを軽減する


 例えば駐車車両の影から飛び出してくる子供に反応して衝突を防止するなど、「もしも」の時の備えとしてもアイサイトは「有効」と言えると思います。幸い、自動ブレーキが発動するシチュエーションにまだ遭遇していないため効果のほどは不明ですが、日本や米国、欧州の試験結果を見る限り他社製品と比べても信頼性は高いと思います。



 車への追突を防いでくれますし、歩行者も検知します。上の動画2:35で子供型の人形を撥ねているように完璧ではありません(減速はしています)が、この機能があるのと無いのとでは安心感が違いますし、他のメーカーと比べてもアイサイトは検知の性能は高いと言えます。




アイサイトの弱点・デメリット


 続いて、アイサイトの弱点やデメリットをまとめます。


急カーブに弱い 誤警告が出ることも


 急カーブに弱いです。弱いと言える理由は以下の2つ。



 まずひとつ目ですが、カーブがきつい高速道路(首都高池袋線・都心環状線、名神の京都滋賀府県境、中央道の東京山梨境など)で前走車がいない状態でクルーズコントロールで走行する場合、カーブを考慮せずに設定した速度で「突っ込んでいく」ため、運転者側で対応しないと恐怖を感じることになります。私はカーブの手前でアイサイトをオフにして惰性で減速させ、カーブを抜けたら再度有効にしたり、設定速度を下げて対応しています。


 また、高速道路本線上では稀ですがカーブがかなり強い箇所では前走車を途中で「見失う」ことがあります。カーブを曲がっている途中で、前走車がいないものと認識して加速し始めるので怖いです(すぐにクルーズコントロールをオフにする) 首都高中央環状線外回り本線上の大橋JCT付近(大橋JCT内ではない→大橋JCT内は速度が低いため意外と使える)でこのような事態が発生しやすいです。


 次に、カーブでは「誤警告」が出ることがあります。誤警告が起こりやすい具体的なタイミングは以下のとおり。


アイサイトが誤検知することが多い状況



 クルーズコントロールを作動させず走行している際に、誤警告が発せられやすい条件です。ピピピピというアラート音と「前方注意」という警告がメーター上に表示されます。自動ブレーキが発動するまでいったことはありませんが、2〜3秒にわたり警告が鳴動します。


前走車の運転に左右されてしまう


 特に渋滞発生時に感じる不満点です。


 アイサイトはカメラで前走車を認識して適切な車間距離を保つため、前走車が渋滞時に不必要に加減速を繰り返すような運転をすると、こちらも釣られて同じような運転になってしまい、乗り心地が悪化します。


 また、ハンドルアシストは路面上の線だけでなく前走車の位置も認識する部分があるため、車線を踏んで走るようなドライバーが前を走っていると、こちらも車線のかなり端に寄ってしまいます(車線を検知している場合は、はみ出さない)


 逆に、前走車の運転が上手だとこちらの乗り心地も格段に高まります。以前、全車速追従機能付クルーズコントロールが作動しているとみられる最新型のベンツSクラスの後ろに付いてアイサイトで追随走行したことがありますが、快適でした。


アイサイトの操作ボタン

アイサイトの操作ボタン

自分の期待よりも車線の左に寄る


 ハンドルアシストは「車線中央維持」という機能なので、車線の中央を走ろうとします。私はつい最近まで自覚が無かったのですが、車線の右寄りを走る癖があるため、アイサイトの車線中央維持では車体が左に寄りすぎているように感じてしまうことがあります。


 これはアイサイトが「正しい」と言えますが、私はもう少し右寄りを走りたいです。助手席の「愛妻と」からも稀に警告音が鳴ることがあるくらい右に寄る癖があるので、悪いのはアイサイトではなく私であることに間違いは無いです。


ハンドルに力を掛けないと車線維持が解除される


 クルーズコントロール起動時はハンドルに手を置いておく必要があります。最新のアイサイトXではハンドルがタッチセンサーになっているため、本当に「触れている」だけで問題無いようですが、我が家のアイサイトVer.3のレヴォーグではハンドルに力を加えておかないと、アイサイトのハンドルアシストが一定時間後に切れてしまいます。10秒程度で警告が入り、更に何もせず10秒程度放置するとハンドルアシストが切れます(追随走行はそのまま有効)


 カーブがある高速道路ではハンドルを握っているだけで、ある程度の力がハンドルに掛かるためこの点は特に問題になりません。ですがアクアラインのようにまっすぐな道路が続いている場所では、車の進路が変わらない程度の力をハンドルに加える動作を定期的に繰り返す必要があります。警告のオレンジランプが点滅するタイミングで、ハンドルに力を加えます。煩わしいです。


 スバル車は直進安定性が高いので、アクアラインの特にトンネル区間では本当に煩わしいです(橋区間は強風のおかげでハンドルを握っているだけで一定の力が加わる場合がある) アクアラインでは全区間にわたり車線を検知できるのでその性能を活かしきれていない感があります。


アクアラインではアイサイトの車線中央維持が使いづらい

アクアラインでは車線中央維持が使いづらい

一般道では使いづらい部分も


 車道のすぐ横を歩行者が歩いている環境で使うのは正直不安があります。歩道と車道が完全に分離された国道やバイパスのような道路を走行する際、もしくは狭い道路も含めた渋滞時に限ってアイサイトのクルーズコントロールを使っています。


 また、アイサイトの全車速追従機能付クルーズコントロールの設定速度の上限の下限(ややこしい言い方ですね・・)は30Km/hなので、前走車がいない状態で住宅街の狭い道路で使用するには速度が出過ぎてしまいます。


 赤信号を検知する機能についても、少なくともアイサイトV3.0で赤信号を検知できるのは停止線の10〜15m手前くらいかなという感じです。60km/h以上で流れているような場合は、検知したタイミングでブレーキを踏んでも停止線の内側で停めるにはやや強めのブレーキを掛ける必要があります。


 前走車が無い場合、カーブや狭い道路にも減速することなく「突っ込んでいく」ため、その点でも住宅街の中のような狭い道路では活用しづらい部分があります。


急な上り坂での制御が若干怪しい


 高速道路上の坂道程度であれば問題ありませんが、例えば渋滞している立体駐車場のスロープとか、一般道の本線上の急な坂道(橋など)ではクルーズコントロールの制御がギクシャクします。特に上り坂に弱い気がします。


 渋滞中など前走車がいる状態で全車速追従機能付クルーズコントロールを使用すると、前走車が既にアクセルオフして減速を始めている状況でも自車が加速し、すぐに車間距離が詰まってブレーキで減速を始めるという感じです。車間距離についても、急な上り坂では狭く感じます。


 平坦地での渋滞では(前走車が変な運転をしなければ)快適に追随していきますが、急な上り坂では乗り心地がかなり悪化するため、私はこのような場面ではクルーズコントロールを使わないようにしています。


アイサイトのメーター表示




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