F-Powerの120億円赤字問題

F-Powerが120億円の赤字を計上


 2018年10月、新電力最大手のF-Powerが120億円にものぼる巨額の赤字を出したことが明るみとなりました。その背景にある事情や、今後について考察します。



そもそもF-Powerとは?


 まずはF-Powerという会社について簡単に解説します。


生い立ち


 省エネコンサルタントなどを行っているファーストエスコ(現エフオン)の新電力部門として創業し、2009年にF-Powerとして独立しました。


 新電力業界では16年にわたり、NTTや東京ガス、大阪ガスが出資して設立したエネットが首位の座を維持していましたが、F-Powerが猛追した結果、2018年に首位が入れ替わっています。


 家庭向けを含む低圧電力ではシェアが高くありませんが、工場などで使われる高圧・特別高圧でシェアが高い会社です。


エフパワーは工場などに電気を供給している


現在はファンド傘下


 ファーストエスコの新電力部門として設立された会社ですが、現在は大和証券系のインフラ投資ファンド、IDIインフラストラクチャーズの傘下にあるようです。


 F-Powerの社長を務める埼玉浩史氏はIDIの社長も兼務しています。
 IDIの資料にも「運用ファンドを通じて、電力小売事業者や各種発電所などを中心に数百億円規模の投資実績」とあり、サイトにも投資先としてF-Powerが紹介されています。


家庭向けのブランドを多数展開


 F-Powerは主に各地の代理店を通じて、家庭にも電気を供給しています。



 それに加え、2018年6月からは代理店を介さず「ピタでん」というブランド名でも家庭に電気を供給しています。


 家庭向けは法人向けと比べて利幅が大きく、また一度契約すれば流出も少ないと言われているため、契約獲得に力を入れているようです。


120億円の赤字を計上した


第10期決算で120億円の赤字に


 2018年10月に公表された第10期決算(2017年7〜18年6月)で120.8億円の赤字(純損失)を計上しています。売上高が1599億円に対し、売上原価が1690億円と膨らんだことが主な要因です。「電気を売れば売るほど赤字」という状況です。


F-Power第10期決算公告


 ちなみに、前期は売上高1255億円に対し、7億円の純利益を出していました。


 2018年7月には社長が交代、また10月には本社が六本木から田町に移転と動きが慌ただしいです。


赤字の原因は?


 120億円もの赤字に至った要因として、以下の点が指摘されています。


 まずは過度な安売りです。
 F-Powerは2016年の電力全面自由化以降、わずか2年の内に販売量を2倍に増加させています。自治体など公共団体の競争入札でも次々に落札しているほか、企業向けにも他社を寄せ付けない低料金で乗り換えを提案していると言われています。


 定価がある家庭向け電力の料金プランを見てみると、F-Power(ピタでん)と同社の代理店が最安値群の新電力と比べて更に一段安い料金設定となっています。


 それに加え、卸電力取引所への依存も要因として指摘されています。
 出資元である投資ファンドが保有する発電所や発電子会社、あるいは大手電力会社などからも調達しているものの、販売量が急激に増えたため電源が不足しています。そこで卸電力取引所への依存度を高めたという指摘があります。
 卸電力取引所の取引価格は時期によって「暴騰」することがしばしばあり、調達を依存する新電力の経営に打撃を与えています。


2018年7月24日の卸電力取引所の取引価格

2018年7月24日の取引価格 75円/kWhまで高騰

今後はどうなるの?


 F-Powerは今後どうなっていくのか、決算公告などの情報をもとに考えます。


経営の立て直しが急務


 現状のペースが続くと、今期中に債務超過に陥ります。
 債務超過が即座に倒産を招くわけではありませんが、今後の資金調達などに支障が出てくる場合もあります。


転職会議のF-Powerの口コミ


 「転職会議」にはこのような口コミが寄せられていますが、まずはシェアを落としてでも採算の悪い契約を見直すことが急務でしょう。


すぐに倒産することはない


 第10期決算公告によれば、2018年6月末時点の流動負債が365億円に対し、流動資産(現金など)が488億円と、123億円の余裕があります。


 短期的な支払い能力については、直ちに問題があると言える状況ではありません。


契約者は何をすべきか


 万が一F-Powerが倒産した場合、停電して電気が使えなくなるのではないか、と不安に感じた人もいるかもしれません。


 ですが電力自由化の制度上、新電力が倒産などにより電気を供給できなくなった場合、大手電力会社(東電や関電など)が代わって供給する仕組みになっています。したがって、突然停電するようなことは起きないです。


 詳しくは以下の記事を参考にしてください。




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