外資系新電力とは
電力自由化に参入した新電力の中には「外資系」の企業もいくつか含まれています。そうした外資系新電力と契約するメリット・デメリットや、外資系新電力の一覧を紹介します。
目次
徐々に増える外資系新電力会社
まずは外資系新電力の現状を紹介します。
外資系新電力会社の一覧
家庭向けに電力を供給している外資系新電力を紹介します。
- ズームエナジージャパン
- エレトス合同会社
- ジャストエネルギージャパン
- ファミリーエナジー
- ジニーエナジー
- アンビットエナジージャパン
この他、家庭向けの供給は行っていませんが、ロイヤルダッチシェル(英・蘭)の日本法人であるシェルジャパンも新電力として登録を済ませています(出光興産とは別)
ズームエナジーが2016年に初めて外資系新電力として経産省に登録されました。販売電力量ではアンビットエナジーが上記の中では最も大きいです。家庭向けを中心とした低圧電力で見ると、アンビットが27位、ズームエナジーが32位と健闘しています(いずれも2019年7月実績)
既に撤退した企業も
外資系新電力の中には既に日本から「撤退」した会社もあります。「エレトス電気」を展開していたエレトス合同会社です。
同社は代理店を通じた訪問営業を行っていましたが、その代理店が「自社が関電の下請けである」と誤解を与えるような営業を行っていたことなどが問題視され、代理店の関係者らが特定商取引法違反で逮捕されています。
逮捕の報道が出た前後にエレトス自体も事業からの撤退を表明し、混乱が広がりました。なお、エレトスの代表者は京都府警からの任意の出頭要請に応じず、米国に出国済みであることが電気新聞によって報じられています。
また、2019年12月に顧客に嘘の説明を繰り返したとして、ファミリーエナジーが消費者庁から3ヶ月の業務停止命令を受けています。
念の為付け加えておくと、外資であるから危険ということは無く、外資でない新電力にも問題を起こした企業はあります。
外資系新電力会社のメリット
では、徐々に増えつつある外資系新電力を選ぶメリットはどのようなものがあるのか。利点を紹介します。
英語でのサポートを行っているところもある
外資系新電力の中には、英語でのカスタマーサポートを行っているところがあります。日本語を理解出来ない外国人の人にとってはメリットとなるでしょう。
公式サイトにも英語のページを用意しているところがあります。外資でない新電力では英語でのカスタマーサポートを公言しているところは皆無ですし、英語のページもありません。
外資系新電力会社のデメリット
続いて、外資系新電力を選ぶデメリットを紹介します。
料金プランが特殊で分かりづらい
外資系新電力の共通点とも言えるのが、料金プランの特殊性です。
外資系新電力では、最初に契約した料金プランは一定期間までしか適用されず、その後は別の料金プランに自動で移行する仕組みとなっているところが目立ちます。私は300社以上の料金プランに目を通していますが、こうした仕組みは外資でない新電力では見た記憶がありませんが、外資ではよく取り入れられています。
また、最初に契約するプランは他の多くの電力会社と同様に予め提示された料金単価が固定で適用される料金体系ですが、一定期間経過後に移行するプランは毎月料金単価が変動するプランとなっていることが多いです。
こうした点をふまえると、外資系新電力の料金プランは「分かりづらい」と言える傾向があります。
公式サイトが分かりづらい
外資系新電力の公式サイトは見づらいと感じますし、ある外資系新電力の社員とのメールでのやり取りの中で「弊社のウェブサイトが見づらいかもしれませんので改善します」という話が出たこともあり、社内でも課題として認識されているようです。
デザインの問題もありますが、料金プランや支払方法、解約条件などの重要な情報を分かりやすく掲載していないところが散見されます。日頃から新電力のサイトを見慣れている私でも、料金メニューを探すのに5分以上掛かったところもあり、わざと隠しているのではないかとさえ感じたこともあります。
国富が流出する
外資系新電力と契約する上で注目してほしいのが、「国富の流出」という視点です。
外資系であっても日本国内で商売をするにあたって、多くの日本人を雇用していますし、納税も行っており日本経済への貢献が無いわけではありません。ですが会社の所有者は海外にいるので、そこで上がった利益は海外に流出します。
国内企業であっても、特に上場企業は平均3割が外国人株主とされており、利潤の一部が海外に流出しないわけではありません。ですがその割合は外資と比べれば小さいと言えるでしょう。
日本は現時点では世界最大の対外純資産を持ち、また家計の金融資産も1800兆円と莫大です。しかし今後は高齢化や製造業の海外移転などにより2020年代後半から経常収支赤字が定着していくとの予測もあります。
我が国の「稼ぐ力」が弱まっていることをふまえると、国内で富が循環するようなお金の使い方にシフトしていくことが今、求められているのではないでしょうか。また、国内企業に対しても料金競争ではなく、新たな技術開発を進め海外展開を目指している新電力や、化石燃料の輸入を減らす効果がある再生可能エネルギーの利用を推進している新電力を消費者として後押しすべきだと思います。
内資企業には無い独自のサービスで日本の電力自由化市場を刺激してくれるような外資系新電力の登場を期待していますが、今のところそのような状況にない点も残念に思います。
ちなみに、日本に先んじて電力自由化が行われた国では、例えばイギリスでは電力市場の9割を占める大手電力6社の内の4社が「外資」となっています。
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