国防のため、新電力に外資規制が必要。
昨今、電力小売自由化の影響で日本の「国防」にリスクが生じています。今すぐ外資規制を導入すべき理由を解説します。
目次
外資規制の必要性が高まる切迫した事情
外資規制を今すぐに導入する必要があると言える切迫した現状を解説します。
自衛隊施設への電力供給も競争入札に
ご存知無い方も多いと思いますが、国防を担う自衛隊施設への電力供給も多くが競争入札により供給者を決定しています。実際に現在、多くの自衛隊施設に対し競争入札で落札した新電力会社が電力の供給を行っています。
自衛隊施設への再エネ電力供給拡大方針
そんな中、2019年に河野太郎防衛大臣(当時)が地球温暖化対策への取り組みとして、自衛隊施設において可能な限り再生可能エネルギーによる発電比率が高い電力を調達するよう指示を行いました。この方針に従い、2020年度から段階的に再エネ電力の調達割合を拡大する方針が取られています。令和4年度の実績として、防衛省・自衛隊における再エネ比率は約25.0%とされており、国内の平均的な水準を上回っています。
河野太郎氏は自民党再エネ議連の顧問を務め、再エネ推進の有力議員として知られています。河野太郎氏はこの方針を発表した背景として、以下のように述べていますが、自衛隊が率先して再エネの導入を拡大させる理由としてはいささか不透明な部分があると言えるでしょう。
河野氏は「25万人の隊員を有する自衛隊としても気候変動問題にしっかり取り組む必要がある」と述べた。
引用元:河野防衛相、自衛隊施設に再エネ比率の大幅引き上げ指示(産経新聞)
電力需要から自衛隊の行動が推測できる恐れ
自衛隊施設への電力供給が新電力に置き換わる中、懸念すべきだがリスクとして認識されていない問題があります。まずは以下の記事をご覧ください。
送配電会社の東京電力パワーグリッドやNTTデータなど4社が、一般家庭の電力使用量のデータを活用したサービス提供の新会社を4月にも設立することがわかった。スマートメーター(電力計)のデータを使って契約者が生活する地域の在宅時間を分析し、企業や自治体に販売することを想定している。
引用元:【独自】電力使用量から在宅状況把握、企業・行政サービスに生かす…東電など新会社 (読売新聞)
上の記事は一般家庭に関する記事です。現在普及が進んでいる、30分単位で電力使用量を把握できるスマートメーターと呼ばれる電力計のデータを用いて、各家庭の在宅状況を電力使用データから推測し、ビッグデータとしてビジネスに活用するというニュースです。
家庭や企業に電力を供給する電力会社(小売)は、自社のお客さんの電力使用データを閲覧することが出来ます。ここが問題点です。
例えば自衛隊施設に電力を供給している電力会社が、その供給実績データを第三国に提供したとします。そのデータを読み解くことで、その施設(例えば陸上自衛隊の駐屯地)の活動状況が手に取るようにして分かる恐れがあります。行動パターンの変化や、活動の増減(隊員の人数など)などは容易に分析することが可能です。
「重要人物」の自宅も要注意
自衛隊幹部や政府高官、あるいは当人の行動事態が秘匿されるべき人物の「自宅」にも注意が必要です。
例えば海上自衛隊の艦艇の行動状況は非公表とされる場合がありますが、乗員の自宅の電力使用データを分析することで当人の在宅状況、すなわち艦艇の出航状況が推測できる恐れがあります。
海自横須賀地方総監部によると、2等海佐は3月26日から4月14日まで、当時艦長を務めていた護衛艦「あさぎり」での作戦行動中、非公表だった艦隊の出入港に関する情報を類推できるような投稿をフェイスブック上にした、としている。
引用元:海自護衛艦艦長、作戦中にSNSで秘密を漏えい 停職7日( 神奈川新聞 )
あるいは、電力使用状況から帰宅時間を推測することも可能です。帰宅時間を推測し、当人に対し何らかの行動(スパイ活動や暗殺)を取ることも容易に可能となります。
上のグラフは私の自宅のある1日の電力使用量データです。昼間に家を不在にしていた時間帯が見て取れると思います。自衛隊施設の電力使用量データからも、同様に行動パターンの変化や施設内の隊員の増減などを推測できる恐れがあります。
現実的な規制案は・・
以上をふまえて、現実的な規制案を考えます。
「外資排除」は現実的に難しい
現実的な問題として、電力小売から外資企業を排除することは難しいです。
過去に英国の投資ファンドTCIが電源開発(J-POWER)を買収しようとした際に、同社が原発の建設を進めているなど我が国のエネルギー政策の重要な部分を担っていることを理由として国が外国為替管理法により買収の中止命令を出すに至りました。ですが単なる電力の小売をしている会社に対し、そのような対応を取ることは難しいでしょう。
また、外資企業を排除したところで、外国政府の息が掛かった日本人が経営する電力会社が情報を流出する可能性も排除できません。
現実的な案は・・・?
現実的な案としては、以下の案を早急に実施すべきと考えます。
- 重要施設に対し、一般送配電事業者が電力供給を行う
- 重要人物に対し、自宅等で利用する電力会社について留意するよう注意喚起する
現在は電力の小売を行っている会社が、自衛隊施設などに電力の販売を行っていますが、これを一般送配電事業者が供給するよう改めることで、電力使用データの流出リスクを軽減することが出来ます。一般送配電事業者は全国に10社存在し、日本中に張り巡らされた送電線や配電線などの送配電ネットワークを地域ごとにほぼ独占して管理しています。電力小売自由化で参入した新電力会社も、一般送配電事業者に費用を払い、電気を届けてもらう形を取っています。
一般送配電事業者による供給は、電力の契約先が見つからない場合などに適用される最終保障供給約款などの仕組みがあり、現在も例外的に実施されています。外為法による買収規制も強いことに加え、そもそも小売会社に提供される電力使用データ自体、一般送配電事業者が検針を行い小売会社に提供しているものであるため、その点でも一般送配電事業者からの供給が現実的であり安全性が高い方法と言えます。
また、政府高官や自衛隊員などに対し、自宅で利用する電力会社について注意喚起を行うことも必要です。外資新電力と契約しない、経営基盤が不透明な新電力を避けるなどの注意喚起を今すぐに行うべきです。
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