お手軽〜極限まで 暖房の電気代節約術
手軽にすぐ実行できる方法から、上級者でないと実行しづらい方法まで、暖房の電気代を節約するワザを解説します。
目次
暖房にかかる電気代を節約するテクニック
まずは実践しやすい方法から紹介していきます。
部屋を暖めるならエアコン一択
部屋を暖める暖房器具として、様々なものが出回っていますがその中で最も効率が良いのがエアコンです。
エアコンは電気代が高いというイメージがあると思います。暖房運転の場合、使用環境によって大きく違いますが電気代は1時間あたり数円〜数十円程度とされています。ですが、他の暖房器具はもっと多くのコストが掛かります。
エアコンは「ヒートポンプ」という仕組みで部屋の温度を暖めています。ヒートポンプは空気を圧縮する時に発生する熱を利用しており、電気をそのまま熱に変換して暖を取るオイルヒーターやハロゲンヒーター、セラミックファンヒーターなどと比べて効率が4倍前後高いです。つまり、同じ量の熱を得るために消費する電力が4分の1で済むというわけです。
エアコンが付いている部屋でエアコンに頼らないのは非常にもったいないです。エアコンの補助的にハロゲンヒーターなどを使う例もあると思いますが、まずはエアコンの設定温度を限界まで上げてみることをおすすめします。その方が消費電力を抑えられる可能性があります。
ドアやカーテンを閉めて部屋を密閉する
エアコンなどで暖房する際、部屋のドアやカーテンをしっかりと閉めることで消費電力を抑えることが出来ます。
ドアを閉めると暖かくなる、というのは多くの人が容易にイメージできると思いますが、盲点なのが窓です。
省エネ性能が低い窓(単板ガラス、アルミサッシ)の場合、室内の「熱」の50〜60%が窓から逃げていくとされています。古い家ではエアコンを使っても部屋がなかなか暖まらないことがありますが、窓が大きな原因となっている場合があります。
対策としては、以下のようなものがあります。
- 断熱カーテンを使う
- 掃出し窓の足元に「窓際あったかボード」を置く
- 窓に断熱シート(プチプチ緩衝材など)を貼る
- 内窓を取り付ける(要リフォーム工事)
- 窓・サッシを交換する(要リフォーム工事)
カーテンが一枚あるだけでも、窓から出ていく熱を遮断することが出来ます。生地が厚手で、省エネ性能が高いものを取り付けるとより効果的です。日が沈む夕方にはすぐにカーテンを閉めることをおすすめします。
また、カーテンの丈が床まで届いていない場合などは、掃出し窓の足元に「窓際あったかボード」を設置することでも暖房効率が上昇します。わざわざ購入せずとも、大きめのダンボールを展開して窓際の足元に置くだけでも、部屋の暖かさは大きく変わります。実際、平成初期築のアルミサッシのマンションで暮らしていた時に切って開いたダンボールを窓際に設置していましたが、特に窓辺では体感できるほど効果がありました。結露がある環境ではダンボールはカビやすいので注意してください。
また、外の景色を見る必要が無い箇所の窓には緩衝材(ぷちぷち)などを貼ると断熱効果が生まれ、部屋が暖かくなります。我が家は標高1000mの軽井沢に別荘があり貸別荘として貸し出していますが、管理を担当している会社が一部の窓に緩衝材を貼りました。窓の結露対策だそうですが部屋も少し暖かくなりました。
費用と工事が必要になりますが、窓自体を断熱性が高いものに変えたり、あるいは内窓といってもう一枚窓を付け加える工事も効果的です。最近の樹脂サッシ・複層ガラスの窓は断熱性が高く、窓の近くに行ってもほとんど寒さを感じることはありません。内窓の追加であれば引き違い窓で1箇所10万円以下で工事できるようです。電気代の節約になる(さすがに元は取れない)だけでなく、部屋も快適になるので寒さに悩んでいる方は検討してみてはいかがでしょうか。
オイルヒーターやハロゲンヒーターは捨てる
記事前半でも解説したとおり、エアコンはオイルヒーターやハロゲンヒーター、セラミックファンヒーターといった「電気をそのまま熱に変換する」暖房器具と比べて4倍前後の効率です。逆を言えばオイルヒーターやハロゲンヒーターなどはエアコンの4倍の電力を消費します。エアコンがある部屋では、設定温度を上げてでもエアコンをフル活用すべきです。その方が電気代を抑えることが出来ます。
もっとも、トイレや脱衣場などエアコンが無い部屋ではオイルヒーターやハロゲンヒーターは気軽に利用できる利便性もありますが、エアコンがある部屋からはできる限り排除することを検討してください。我が家でもミニオイルヒーターをエアコンと併用していた時期がありましたが、電気代が非常に高くなったため2シーズンで使用をやめ、ハードオフに300円で引き取ってもらいました。
エアコンがある部屋でもハロゲンヒーターなど補助の暖房が無いと寒いよ、という方にはミニホットカーペットや湯たんぽとひざ掛け・着る毛布を組み合わせて使うことをおすすめします。私もミニホットカーペットを自宅で愛用していますが、消費電力は実測で1時間あたりわずか0.3〜0.6円と、ハロゲンヒーターなどと比べて桁が2つ近く小さいです。ミニホットカーペットと、使わなくなったベビー布団をひざ掛けとして使うことで、東京の12月中旬程度の寒さにはエアコン無しでも耐えることが出来ています。ミニホットカーペットは「こたつ」と比べても10分の1程度の消費電力で済みます。
濡れタオルを部屋に干す
部屋の湿度を上げることで、体感の温度が上昇します。水が滴らない程度に絞った濡れタオルを1枚干しておくだけでも、湿度が少し上がるので節電効果が期待できます。洗濯物の一部もしくは全部を部屋干しするというのもおすすめです。
加湿器を使うことでも湿度を上げることが出来ますが、加湿器は方式によっては消費電力が大きいので注意が必要です。お湯を沸かし、熱い蒸気を出すスチーム式加湿器の電気代は1時間あたり10円前後と、エアコンと遜色ないレベルです。気化式や超音波式は消費電力が小さく、1時間あたり1円以下のものが多いです。過去に加湿空気清浄機(気化式加湿)を実測したところ、一時間あたり0.18円程度の電気代でした。
エアコンのフィルターを掃除する(今すぐ確認)
エアコンのフィルターがホコリで詰まっていると、消費電力が大きくなってしまいます。
環境省のデータによれば、「2週間に一度」エアコンのフィルターを掃除することで、暖房運転時の消費電力を6%削減できるとされています。さすがに2週間に一度掃除するのは難しいかもしれませんが、月に1度、あるいは最低でも1シーズンに一度は必ず掃除するようにしてください。
ホコリが溜まったフィルターはカビが生えやすくなるので、健康面でもフィルターを掃除するメリットは大きいです。油汚れの無い場所のエアコンであれば、掃除機で吸い取るだけですぐにきれいになります。
高等テクニック(実践難易度高め)
実践するには少々難しいかもしれない節電術を紹介します。
部屋に一人でいる時はエアコンを使わない
最も寒い季節はなかなか難しいと思いますが、エアコンを使わずに耐えてみるのもおすすめです。特に部屋で一人で過ごす時は、エアコン以外のものを使うことで消費電力を抑えて暖を取ることが出来ます。
私は11月末〜12月中旬、あるいは3月中旬などの時期はエアコンの使用を極力ひかえて、ミニホットカーペット不要になったベビー布団をひざ掛けとして使っています。ミニホットカーペットは1時間あたりの消費電力がわずか0.5円前後と省エネなので、大きな節電効果があります。エアコンを使う場合でも、設定温度を下げることが出来るためやはり節電効果が期待できます。
一人暮らしをしていた頃は「着る毛布」」を一日中使用していました。暖かいのでおすすめです。
できるだけ狭い部屋で暖を取る
エアコンなど「部屋を暖める」暖房器具を使用する場合、消費電力はその部屋の広さに比例する部分があります。したがって、より狭い部屋でエアコンを使った方が、広い部屋でエアコンを使うよりも「節電」になります。消費電力を重視するのであれば、広いリビングやダイニングではなく、寝室などで過ごすことをおすすめします。
また、部屋をパーテーションなどで区切れる場合は必要に応じて区切ることもおすすめです。私が以前暮らしていたマンションでは、リビングダイニングとキッチンの間に突っ張り棒でカーテンを吊るして、キッチンを使わない時はカーテンを閉めるようにしていました。
家族全員同じ部屋に集まる
家族がバラバラの部屋に滞在し、それぞれでエアコンを使用すると消費電力が増大します。出来る限り、同じ部屋に集まるよう心がけることで節電が可能です。
我が家では、電力の需給がかなり逼迫した時は出来る限り同じ部屋に集まるよう心がけていますが、日常的に家族の行動を縛るというのはなかなか難しい部分もあると思います。引っ越しをしたり、家を建てる際に、家族が自然と集まれるような間取りや家具の配置を考えてみるのはいかがでしょうか。
外出する
家を不在にしておけば、その間はエアコンなど暖房器具の電源を切ることが出来ます。「避難先」としておすすめの場所は以下のとおり。
- 図書館
- ショッピングモールのベンチ
- 市民センターなど公共施設
- マンションのラウンジ(大型マンションの場合)
行った先でお茶を買ったりしてしまうと、電気代の節約メリット以上の支出となります。水筒を持参する、徒歩や自転車などお金の掛からない方法で移動するといった点にも注意が必要です。節約スキルが高くない方は、基本的に外出せず家でエアコンを使った方が節約になるはずです。「外出」による節約はかなり高等テクニックです。
私の場合、現在住んでいるマンションに住民用のラウンジがありフリーWiFiも使えるので、そこにパソコンを持ち込んで時間をつぶしています。トイレも自由に使えるので、水道代やトイレットペーパー代も節約出来ています。水筒にお茶をいれて持ち込んでいるので出費は自宅に在宅している場合と比べて圧縮出来ていると思います。
割安な電力会社に乗り換える
電力会社を乗り換えることで、家庭全体の電気代を削減できる場合があります。
2023年現在、多くの新電力や大手電力の新しい料金プランの電気代が燃料価格高騰の影響を受けて上昇しています。多くの新電力や大手電力の新しい料金プランでは、燃料費調整に上限がありません。上限がある大手電力の従量電灯と比べて、月数千円以上割高になっている場合があります。以前割安だったはずの料金プランが、ことごとく割高になっています。
契約内容をよく確認することをおすすめします。
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実験。