電力比較サイトを利用した切替えはわずか3%という現実

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電力比較サイトは「使われていない」


 他社が公表したデータと、私が持っているデータ、また統計として公表されているデータから電力会社の切り替え(スイッチング)に占める電力比較サイトのシェアを推定してみました。



各比較サイト経由の申込数のデータと予測値


 まずは主な電力比較サイトがどれだけ利用されているのかを分析します。


大手電力比較サイト「エネチェンジ」の場合


 この記事を書くきっかけとなったのが、大手電力比較サイト「エネチェンジ」の切り替え実績件数のデータです。同社のプレスリリースに「電力・ガス切り替え実績10万件」とあり、意外と少ないと感じました。


 この「10万件」という数字がいつの時点でのデータなのか定かではなく、私が探すことが出来た中では2019年1月25日に出された同社の資料がその中では最も古かったので、2018年12月末時点のものと推定して話を進めていきたいと思います(2019年9月の同社のプレスリリースにも10万件とあった)


業界2番手? 価格コムの推定値


 切り替え件数のデータは公表していないようです。


 電気料金比較以外のコンテンツで膨大なアクセス数を抱えるカカクコムですが、電気料金比較コンテンツはページ数が少なく、またGoogleの検索順位でエネチェンジに劣る、また掲載されている電力会社・プラン数も少ないため、エネチェンジよりも切り替え件数は少ないとみられます。


 私の肌感覚では、エネチェンジが同期間(2018年12月末)に10万件とするならば、カカクコムは6〜7万件程度ではないかと思いますが、電気料金比較以外のコンテンツからの遷移数が読めないため、エネチェンジと同じ「10万件」と仮定したいと思います。


自称3番手 当サイトでの切り替え件数


 エネチェンジやカカクコムには大きく劣りますが、当サイトは「電力比較サイト」としては3番目くらいにシェアが大きいのでは、と勝手に思い込みながらサイトの更新を続けています。


 そんな当サイト経由での新電力の切り替え件数は、2018年12月末時点で約1.1万件でした。最大手のエネチェンジと比べて10分の1の規模ですが、本業の傍ら一人で更新を続けているサイトとしては非常に多くの方に支持していただいていると実感しています。


主要な比較サイトをあわせても30万件に満たない


 エネチェンジが10万件、カカクコムも10万件と仮定。また当サイトが1.1万件なので他の中小の電力比較サイトをあわせても、この期間に電力比較サイト経由で発生したスイッチング件数は最大でも30万件程度ではないか、というのが私の推測です。


 仮にカカクコムがエネチェンジを大幅に上回り、更に当サイトの実績を上回るサイトが他にいくつも存在していた場合は30万件を上回る可能性がありますが、30万件という数字でも現実より「大きい」のではないか、と感じます。


切り替え全体に占める比較サイトのシェアは3%


 電力・ガス取引等監視委員会が2019年3月に公表した資料によると、低圧のスイッチング件数の累計は2018年12月末時点で957万件とされており、電力比較サイト経由のスイッチングが30万件だとすると、そのシェアはわずか3.14%となります。


 2019年7月にENECHANGEが公表した調査結果では、電力会社を選ぶ際の情報源として32.1%が「比較サイト」を挙げたとされています。また、経産省の委託で行われた「電力小売全面自由化広報フォローアップ調査」でも、「電気の購入先、またはプランの変更先をどのようにして見つけましたか」との問に対し、比較サイトを挙げた人が12.0%いたとされていますが、実際に比較サイトを経由して行われたとみられる切り替え件数は全体のわずか3%に留まるのが現実です。


人々はどこで電力会社を切り替えているのか


 比較サイトが使われていないとすると、残りの97%・900万件以上のスイッチングはどこで発生しているのでしょうか。


対面営業が強い


 経産省が公表している低圧電力の販売実績(参考:新電力の人気ランキング 記事後半)を見ると、顧客と直接会える接点を持つ企業がシェア上位を占めていることが分かります。


 シェア上位20社ではガスや通信など既存の顧客にサービスを提案できる新電力が目立ちます。比較サイトでの獲得がメインであるとみられる新電力は、シェア上位20社の中でもLooopの1社に限られます。


こっそり教えたい「電力比較サイト」の活用方法


 こんな現状をふまえて、最後に「電力比較サイト」の賢い活用術を紹介します。


消費者の方へ


 利用率が低いと言える現状がある、というのはこれまで説明してきたとおりですが、電力比較サイトを活用することで「より電気代が安くなる電力会社」と出会えるのは間違いありません。勧誘で契約したシェア上位の新電力よりも、年間で1万円以上更に安くなるケースも珍しくありません。


 一方、掲載料金を支払った新電力のみシミュレーションに掲載している電力比較サイトがほとんどなので、本当に安い会社がシミュレーション結果に表示されるとは限りません。比較サイトの中には1件申し込みが発生するごとに5千円前後と、高額な仲介料を徴収しているところもあるようで、電気代が安い新電力が掲載を依頼することが出来ない場合もあります。



 当「新電力比較サイト」は掲載料の有無に関わらず、新電力の料金プランを掲載しているので他の比較サイトの試算結果と見比べてみてください。


新電力・代理店の方へ


 シミュレーションにおいて、何らかの条件で「料金比較上位」に入る新電力は電力比較サイトを活用する価値は多いにあるでしょう。


 一方、料金比較で上位に入ることが出来ない新電力については、電力比較サイトにお金を払って掲載するのはおすすめしません。安くなる順に表示されるわけですから、安くない料金プランがユーザーの目に留まることはありません。電力以外の既存サービスの顧客への提案や、不動産仲介などの代理店を開拓することに注力することをおすすめします。




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