電力比較サイトのビジネスモデルが崩壊秒読み段階へ

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電力比較サイトが成立しなくなる未来が迫る


 2021年9月に報じられた、とあるニュースは全ての電力比較サイトにとって非常に悪い知らせとなりました。今後、電力比較サイトが「成立しなくなる」可能性について分かりやすく解説します。



電力比較サイトを終わらせる制度改正


 電力比較サイトを「終わらせる」制度改正が検討されています。


変動制料金プランの義務化検討


 2021年9月に日本経済新聞が「変動制料金プラン」の義務化を経産省が検討しているとの記事を出しました。


 記事によれば、経産省が22年の通常国会に提出する省エネ法の改正案に、「変動制料金プラン」の「義務化」を盛り込む準備を進めているとのことです。


2021年5月9日の電力取引価格(九州)

2021年5月9日の電力取引価格(九州)

 変動制料金プランとは、時間帯によって料金単価が変わる電気料金メニューを指します。日本では太陽光発電の導入量が増え、また今後更に導入を拡大していく方針が示されています。そのため昼間に電力が余る傾向が強まっており、その解決策として変動制料金プランの義務化を検討しているようです。


変動制料金プランは料金比較が成立しづらい


 「変動制料金プラン義務化」は電力比較サイトにとって悪いニュースと言えます。


 変動制でない料金メニューでは、1ヶ月単位の電気使用量と契約容量の2点があれば料金シミュレーションが容易に出来ます。ですが変動制料金プランの場合、30分単位の電気使用量データを1年分用意しなくては、ある程度の精度を保った試算が出来ません。


 例えばスマートメーターから取得したデータを取り込んで試算できるようなシステムがあれば正確な試算が可能ですが、データを取得する手間などを考えると、そのようなシステムを開発しても利用する人は非常に限られてしまいます。


 したがって、変動制料金プランが義務化されると正確な料金試算が行えなくなり、電力比較サイトは成立しなくなると言えます。


無理やり対応させることも出来るが・・


 例えば「昼間自宅にいる/たまにいる/いない」といった簡単な設問に答えることで30分単位の電気使用量の推移を予測し、そのデータをもとに料金試算を行うことは可能です。ですがそのような試算方法では誤差が非常に大きなものとなり、「安くなる」はずの料金プランが逆に「割高」となるようなケースが生じえます。そのリスクが小さなものであれば許容されて然るべきだと思いますが、リスクは小さなものではありません。


 今後、変動制料金プランが義務化された場合、シミュレーションを無理やり提供する事業者も間違いなく現れるでしょうが、のちのち消費者問題に発展する恐れがあります。販売の現場においても、トラブルがこれまで以上に増えるでしょう。


当サイトの今後


 では、当サイトはどうするのか。今後の方針は以下のとおりです。


運営を縮小せざるを得ない


 変動制料金プランが義務化された場合、当サイトでは変動制料金プランの試算を行う予定はありません。利用する人に不利益を与えるリスクが小さくないため、それならばサービスの提供をやめた方が世の中のためだと思います。


 変動制料金プランの「義務化」の中身が、例えば一つの小売電気事業者あたり最低一つの変動制料金プランを提供しなくてはならない(固定料金プランの提供も可能)場合は、固定料金単価のプランのみ掲載した料金シミュレーションの提供を継続します(当サイトは現時点においても、変動制料金プランの試算を提供しておりません)


 固定料金プランの提供禁止となると、電力比較サイトだけでなく新電力各社にとっても影響が甚大と言えるでしょう(販売のハードルが現状よりぐっと高まる) そもそも何か義務を課すというのは、これまで20年に渡り少しずつ進めてきた「自由化」の針を巻き戻すことに等しく、経産省が示した義務化の方針には疑問が残ります。




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