電気を多く消費している北陸地方の家庭
統計データを見ると、北陸地方の家庭は「電気を多く使っている」ことが分かります。そう言える根拠と、消費量が多くなっている原因を考察します。
目次
世帯あたりの電力消費量が大きい北陸地方
まずは「電力消費量が多い」と言える根拠を紹介します。
統計で見ると一目瞭然
総務省が実施している「家計調査」の地方別の世帯あたりの1ヶ月の電気料金の支払額を見てみましょう(2019年、2人以上の世帯)
エリア | 電気代(月) |
---|---|
北海道 | 11658円 |
東北 | 12687円 |
関東 | 10384円 |
北陸 | 14476円 |
東海 | 10897円 |
近畿 | 10074円 |
中国 | 11358円 |
四国 | 12092円 |
九州 | 9960円 |
沖縄 | 10131円 |
2位の東北地方と比べても1789円高く、他を大きく引き離していると言える結果です。同じく「家計調査」では全国47都道府県の県庁所在地の自治体の平均も調査されていますが、1位福井市、2位金沢市、3位に山形市を挟んで4位富山市、飛んで8位新潟市と北陸地方の県庁所在地が10位以内に揃っています。
単位が電力消費「量」を表すkWhではなく電気料金(円)である点には注意が必要ですが、とはいえ北陸電力は大手電力10社の中で最も電気料金が安いため、その北陸電力で電気代が高いということは電力消費量が大きいと言えます(新潟県内の広い地域は東北電力、福井の西側は関西電力)
北陸の家庭が電気を多く消費している原因(考察)
なぜ北陸地方の家庭は電気を多く使っているのか、その原因を考察します。
オール電化比率が高い
北陸地方は全国で最もオール電化の普及率が高いエリアです。富士経済の調査によれば、オール電化率は北陸が25.2%と、全国平均の10.8%の2倍を超えます。
エリア | オール電化率 |
---|---|
北海道 | 8.8% |
東北 | 7.7% |
関東 | 6.5% |
北陸 | 25.2% |
中部 | 11.8% |
関西 | 11.9% |
中国 | 20.5% |
四国 | 18.5% |
九州 | 15.9% |
沖縄 | 6.3% |
オール電化は熱源としてガス(都市ガス・LPガス)を使用しない分、電力消費量が増える傾向があります。給湯でお湯を沸かすにも電気を使うわけですから、オール電化率が高いことは消費電力量を増やす結果に繋がっていると言えるでしょう。
住宅の面積が大きい
北陸地方の住宅は「広い」と言える統計データがあります。国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査」から一住宅あたりの平均床面積を紹介します。
順位 | 都道府県 | 平均床面積 |
---|---|---|
1位 | 富山県 | 145.17平米 |
2位 | 福井県 | 138.43平米 |
5位 | 新潟県 | 128.95平米 |
6位 | 石川県 | 126.6平米 |
北陸4県が10位以内に揃っており、北陸地方は「住宅面積が広い」と言えます。ちなみに、東京都の平均は65.90平米なので、富山や福井の住宅の半分以下の面積しかありません。
家の広さは平均世帯人数と関連性がみられます。都道府県ごとの平均世帯人数を見てみましょう。
順位 | 都道府県 | 平均人数 |
---|---|---|
3位 | 福井県 | 2.85人 |
6位 | 新潟県 | 2.80人 |
10位 | 富山県 | 2.73人 |
23位 | 石川県 | 2.60人 |
石川はやや少なく見えますが、全国平均が2.49人なので4県とも全国平均を上回っています。
一住宅で暮らす人数が多く、住宅も広いため電力消費量が増える傾向があると言えるでしょう。
電気代が安い
北陸地方は北陸電力を中心として、新潟県の広い地域が東北電力、福井県の西側は関西電力の営業エリアとなっています。
2016年に電力完全自由化が実施され、地域によっては既に3割以上の家庭が電力会社を新電力に切り替えていますが、大手電力10社は今でも大きなシェアを持っています。その大きなシェアを持つ大手電力を比較すると、電気料金に大きな差があります。平均的な使用量とされる月300kWh(30A契約)で電気料金を比較します(標準的なプランである従量電灯での料金:燃料費調整額、再エネ賦課金除く)
電力会社 | 月額料金 |
---|---|
北海道電力 | 9421円 |
東北電力 | 7779円 |
東京電力 | 8010円 |
中部電力 | 7975円 |
北陸電力 | 6778円 |
関西電力 | 7101円 |
中国電力 | 7456円 |
四国電力 | 7490円 |
九州電力 | 7137円 |
沖縄電力 | 8055円 |
新潟の東北電力はやや高いですが、北陸電力は大手電力10社の中で最安、福井西部の関西電力も北陸電力に次いで安いです。
あくまでも私の推測に過ぎませんが、「電気代が安い」ことは節電への意識の低下を招くと思います。
電力自由化によって参入した新電力への切り替えは、エアコンなどの使用により電気代が「高くなる」時期に活発化します。あまり電気を使わない、電気代が安い月(春・秋)は切り替えが停滞する傾向があります。
他の地域と比較して電気代が「安い」ことが節電・節約意識の低下を招いている側面が、大きくないにせよ多少なりとも影響しているのではないでしょうか。
また、東日本大震災後の原発稼働停止に伴い全国で節電が促されましたが、北陸では震災後の節電意識が低いとする調査結果も出ています。
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