ヒノキヤで新築したが後悔した私が送る一条工務店VS桧家住宅
一条工務店と比較して迷った結果、2017年に桧家住宅で戸建てを新築して2021年まで暮らした私が、どちらかに肩入れすることなく出来る限りフラットな視点から一条工務店と桧家住宅を比較します。
目次
桧家住宅VS一条工務店の比較表
まずは大まかに2社を比較します。情報は私が検討した2017年当時のものをベースに、設備などは2023年1月時点のものをふまえて解説します。
一条 | 桧家 | 備考 | |
---|---|---|---|
価格 | ○ | ◎ | |
気密性・断熱性 | ◎ | ○ | |
遮音性 | ○ | △ | |
工期 | ○ | ◎ | |
間取り | △ | ○ | |
外観・外装 | ○ | △ | 一条はタイルが標準 |
住宅設備全般 | △ | ○ | 一条は自社生産品中心 |
空調関連 | 全室床暖 | 2社とも全館空調OP | |
アフターサービス | 未評価 | × | ヒノキヤには不満 |
以下、個別に解説していきます。
桧家住宅VS一条工務店 個別比較
各項目を個別に解説します(断りが無い限り東京エリアの標準仕様について言及しています)
価格
我が家は都内の狭小2階建て、床面積は60平米ぴったりの2LDK+小屋裏(小屋裏は床面積に含めず)というかなりコンパクトな建物でした。
ヒノキヤの支払額はピッタリ2000万円(外構、水道工事は別途)という金額でしたが、ヒノキヤに決定して一条工務店に断りを入れた際にヒノキヤが2000万円で受注してくれた旨を伝えると「2000万円ですか・・ うちも頑張ったら・・・ 同じくらいで出来るかもしれないです・・」という少々苦しそうな反応でしたが、一般的な坪単価としてはヒノキヤよりも一条工務店の方がやや高くなるようです。ヒノキヤは特に値切ったわけでもなく、向こうの言い値で即決した価格です。
ちなみに、住友林業には「2700万円」と言われ、断りの電話を入れた際にヒノキヤが2000万と伝えると「2000万ですか?!?!」とかなり驚かれました。また、現場から30mのところにある付き合いの長い地元工務店(これまでに何棟も戸建てやアパートを建てていただいた)は3000万円という話だったので、ヒノキヤは安かったという印象です。
気密性・断熱性
一条 | 桧家 | |
---|---|---|
窓 | トリプル | ペア |
サッシ | 樹脂 | 樹脂 |
一般的に、ヒノキヤよりも一条工務店の方が気密性や断熱性は高いとされています。私が検討した当時も公式サイトや実際に建築した方のブログを一通り拝見してもそのような感じでしたし、現在においても一条工務店の方が優れていると感じます。
例えば窓で比較すると、ヒノキヤの標準はLow-eのペアガラスが標準であるのに対し、一条工務店の標準はLow-eのトリプルガラスとなっており、一層多いので一条工務店の方が断熱性が高いです。我が家のヒノキヤもLow-eのペアガラスで、ほぼ結露せず窓際に行っても寒さをほとんど感じることが無かったので良かったのですが、一条の方が更に上ということになります。
また、サッシに関しては2023年現在はどちらも樹脂サッシが標準のようですが、私が建築した2017年当時はヒノキヤはアルミ樹脂複合、一条は記憶が正しければ樹脂サッシが既に標準だったので一条の方が明確に優れていました。ヒノキヤ(当時)の複合サッシでも結露は皆無でしたが、一条の方が更に優れていたことになります。
断熱性の差については、以下のYoutube動画が一定の参考になると思います。
遮音性
遮音性に関してはヒノキヤで4年生活したのに対し、一条工務店は展示場と、完成間近だった建築現場の見学1棟(30分程度)だけなので比較としては少々荒いですがご容赦ください。
結論から言えば、一条工務店の方が遮音性において優れていると感じます。
ヒノキヤの遮音性はどの程度かというと、我が家は狭い私道に面しておりリビングも1階でその私道に面した配置(車庫無し)になっていましたが、リビングにいると私道で話している「ご近所さん」の声がなんとなく聞こえます。さすがに会話の内容までは聞き取れないものの、誰と誰が会話しているのか分かる程度の遮音性です。また、車が侵入してくるとエンジン音がけっこう響いてくる感じでした。
一方、一条工務店は建築現場に伺った際、かなり静かだった印象です。目の前の道路を車が通っても静かで、ヒノキヤよりも明らかに静かだった印象です。ワンクラス以上違うという印象です。
建物内の音に関しても、ヒノキヤで暮らしていた時は居室で私が独り言を言うと、廊下に筒抜けになっているようで家族から「怖いことを言っていた」とクレームが来たことがありました。一条工務店の建築現場に見学に行った際、隣室に移動して営業マンに大きな声を出してもらいましたが、声はかなり抑えられており、「本当に大きな声を出していたの?」と確認しましたが営業マンと同室にいた私の配偶者は「けっこう大きな声を出していた」と言っていたのでかなり抑えられていたと感じます。
階下への音についても、ヒノキヤではなんとなく気配を感じるような遮音性でしたが、一条工務店は普通に歩く分には音はほぼ聞こえず、かなり遮音されていたと思います。建築現場で営業マンに真上の部屋でジャンプしてもらいましたが、「ヒノキヤならもっと聞こえるよね」という感想です。
工期
ヒノキヤを新築した際、直前に暮らしていた建物に退去期限があったため、少々慌ただしい状況でした。2016年の夏前に契約→2017年3月引き渡しというスケジュールだったと思います。真夏に着工して3月に完成しました(更地の状態からスタート、住宅ローン無し)
工期に関してはヒノキヤが「トントン進めていけば間に合いますよ!」という反応で、展示場で見学したハウスメーカーの中では一番乗り気な感じでした。かといって一条工務店も間に合わないということではなく「厳しいがなんとかなる」という反応で、他のハウスメーカーついても同様の反応でしたが、ヒノキヤが一番早くやってくれる印象を持ちました。この点に関しては営業マンの違いや、各社の受注残の状況などその時その時の状況に左右されると思うので一概には言えないかもしれませんが。
間取り
一般的に、ヒノキヤの方が間取りの融通が効くというか、一条工務店は融通が効かないとされているようです。一条工務店は効率化のため、ある程度間取りに制約があるというイメージです。当初の商談でも、その点に関してはぼんやりと伝えられた記憶があります。
ヒノキヤで新築した際のエピソードとしては、設計部の「偉い人」が最初期の商談に出てきてくださって、元になる図面にその場で線を引いて図面を書き直してくれたので自由度もスピードもかなり早かった印象です。もともと数年住んだ後は賃貸に出す予定だったのでこだわりは無く、一日(というか数時間)で間取りが決まりましたが、その場でリクエストを聞いてすぐに対応してくれた記憶が鮮明に残っています。
付け加えると、ヒノキヤの24時間換気システム「ココチE」は床下に機械を格納するため設置スペースが全く掛かりませんが、一条工務店の換気システム「ロスガード90」は床面積を割いて設置スペースが必要となるため、その点でも狭小住宅の間取りへの影響という面ではヒノキヤの方が優れていると感じます。
外観・外装
外観については、一条工務店の方が優れていると私は思います。
一条 | 桧家 | |
---|---|---|
外壁 | タイル | サイディングボード |
大きな違いは、外壁材です。ヒノキヤの標準はサイディングボードです。「安アパート」まではいきませんが、近くで見るとまあまあ安っぽい感じでした。工場で作られたボードを、現場で壁に貼り付けて施工していきます。
一方、一条工務店はタイル外壁が標準です。タイルを一枚一枚貼っていくので手間が掛かる分、見た目の高級感もあります。初期費用は掛かりますが、見た目はその分一条工務店の方が格段に良いと思います。
住宅設備全般
住宅設備全般に関して、一条工務店と桧家住宅で違いがあります。
一条 | 桧家 |
---|---|
自社製が基本 | 大手メーカー製中心 |
一条工務店はコストを削減するため、フィリピンにある工場で自社製造した住宅設備を多用しています。例えば戸棚やキッチン周りなどは自社製造したものが標準で設置されます。大手メーカー製のキッチン等もオプションで導入できるとの説明でしたが、大手メーカー製キッチンに代える費用を聞いて「そんなに掛かるのか・・」と驚いた記憶があります。
一方、桧家住宅は永大産業やリクシルといった大手メーカー製の住宅設備を標準で採用しています。これは桧家住宅が特別なのではなく、一条工務店のように自社製造したものを標準採用している方が特殊なので、桧家住宅はその点で「ふつう」と言えます。
この点に関して、私と私の配偶者は一条工務店に不満を感じました。一条工務店の自社製造の住宅設備は、大手メーカー製を真似しようとしているものの、完全に真似できているわけではなく、デザインや質感の面で若干のチープさが否めないという感想を持ちました。一条の営業マンにその点を伝えると「そんなことはない」とかなり慌てた様子で反論してこられましたが、私たちは少しチープだと感じました。
ただ、見学させていただいた一条工務店の建築現場(完成間近)では、一条工務店もそれほどチープには感じなかったので家の中の雰囲気全体としてチープな印象にはならないものの、よくよく見てみるとチープな感じになってしまうと思います。例えば展示場で気になったのはキッチンの天板の色味と質感ですが、これは毎日使い続けていれば慣れていくかもしれませんが、気になる人は気になり続けると思います。チープだと感じたことに加え、デザインも若干古い印象を受けました(個人的な感想です)
空調関連
全館空調は両社とも(おそらく)オプションで付けることができますが、私は全館空調は無駄でしかないと思っているので全館空調が標準装備だったらその時点で候補から外します。電気代がお得、といった宣伝を各ハウスメーカーが行っていますが、誰もいない2階の部屋まで冷暖房を効かせて電気代が安くなるはずがないので、私は無駄だと思います。
その他の大きな違いは以下のとおり。
一条 | 桧家 | |
---|---|---|
冷暖房 | 全館床暖房 | - |
24時間換気 | 熱効率最大90% | 熱効率約80% |
一条工務店は全館床暖房が標準装備のはずです。一瞬しか滞在しない玄関や廊下にまで床暖房は必要無い(環境に悪い)と私は思うので「外せないですか」と聞きましたが「全館なので無理です」と言われた記憶があります。
桧家住宅は必要に応じて床暖房をオプション設置することは出来ますが、一室だけでもそれなりに費用が掛かった記憶があります(総工費2000万には1室分の床暖房が含まれています) 床暖房は電気、ヒートポンプ式(エアコンと同じ方式)、ガスの3種類から選ぶことができ、我が家は都市ガスを選びましたが営業マンは「ガス会社の社員さんでない限り皆さんヒートポンプを選びますよ」と言っていました。
「うちの家は暖かいから床暖房なんかいらないですよ」という旨の発言が桧家の営業マンからあったような記憶が薄っすらとありますが、1階リビングだけでも床暖房を付けて正解でした。無かったら普通に寒いです。2階の床はそれほど冷えない(私の感覚)ので付けなくてもよかったと思っています(あった方が快適なのは間違い無い)
アフターサービス
一条工務店ではまだ建てていないので、アフターサービスについては評価できません。
桧家住宅に関しては、以下の記事に細かく不満点を書いたのでこちらをご覧ください。修理を依頼した箇所が直らなかったり、再修理のため連絡しても折り返しが無いといったことが起こったのでアフターサービスは「良くない」と言わざるをえないです。
桧家住宅で家を建てた経緯・4年住んだ感想
詳細は以下の記事で詳しくまとめていますが、「値段が安かったから、こんなものかな」という一言で結論づけることができます。
利点欠点はこれまで紹介してきたとおりですが、もう一点付け加えると我が家では「床鳴り」の発生箇所が多く、また桧家のアフターサービスを担当しているヒノキヤリフォーミングに依頼して何度か対応してもらっても直りませんでした(その後、ヒノキヤリフォーミングからの折り返し電話も無し) また、壁紙の「隙間」が空いている箇所も散見され、全般的に作り込みが甘いという印象を持っています。
カウンターテーブルを設置しているのですが、天板がグラグラするのでヒノキヤの点検の際に見てもらいましたが、その際に点検してくれた方いわく「固定する金具の数が少なすぎる 自分だったらこの数ではやらないですね」とのことだったので、施工してくれた大工さんの腕と、施工管理の現場監督の監督が少々甘かったのではないかと感じています。ちなみにカウンターテーブルはその場でL字型の固定金具を追加してもらい、直りました。
自分に反省点があるとすれば、工事中に一度しか現場を見に行かなかった点が良くなかったのかなと思います。当初から数年住んで賃貸に出す予定の建物だったので愛着が無いこともあり、現場に行く機会が一度しか無かったことで、大工さんがやる気を出してくれなかったのかもしれません。次回、家を建てる時は週1回くらい差し入れを持って進捗を確認しに行こうと思います。
(付録)他のハウスメーカーについて感じたこと
一条工務店、ヒノキヤ以外に住宅展示場で見学したハウスメーカーについて簡単にまとめておきます。
ハウスメーカー | 感想 |
---|---|
住友林業 | 木の床(無垢材)が美しかったがオプション 見学後の電話連絡がマメだった |
積水ハウス | こちらが若いせいかまともに対応してくれなかった 説明すら早く切り上げたい雰囲気、その後の連絡も一切無し 今でも住宅展示場の前を通るだけで不快な気分が再燃する |
大成パルコン | 前面道路が狭い旨を最初に伝えたところ 自社の工法上施工が難しい可能性がある旨を丁寧に説明 その後もモデルルームを細かく見せていただき 後日丁寧な電話連絡もあった モデルハウスは随所に工夫があり、住みやすそうだった 戸建てでもRC造で頑丈 |
ヘーベルハウス | とにかく壁にこだわりと強みがあるのは分かったが モデルハウスが高齢者向けな雰囲気で 「実家」感が溢れていたため購買意欲が湧かず 遮音性が高そう |
ミサワホーム | 見学したはずだが記憶に一切無し |
大和ハウス | 同上 |
木下工務店 | 家の強みがよく分からなかった よくも悪くも「平均点」 他社と違って売り込もうという押しの強さが無くて良かった (後日の電話連絡はあった) |
私の場合、ネットで情報を調べてヒノキヤと一条工務店に絞り込んだ上で住宅展示場で上記のモデルハウスを3回程度に分けて見学し、結局最終的に一条工務店とヒノキヤで迷った結果、ヒノキヤを選びました。
一条ではなくヒノキヤを選んだ決め手は1.住宅設備が大手メーカー製(一条と違ってチープでない) 2.全館床暖房ではない(全館床暖房はエネルギーの無駄)の2点でした。次回また戸建てを建てる時は一条工務店で建てたいと思います。
住宅展示場は1日に3〜4社も回ると疲れ果ててしまうので、タウンライフを利用して大手ハウスメーカーも含めた複数社から計画書の提案を受けるのがおすすめです。ぜひ活用してみてください。