データを売れる時代がもうすぐ。
2019年から日本でもサービスを開始する「情報銀行」 そこでは様々な個人情報を自分の意思で売り、そして対価を得ることが出来るといいます。情報銀行の可能性を電力業界の視点から考えてみました。
目次
情報銀行とは?
まずは「情報銀行」について簡単に解説します。
自分の個人情報を「売れる」サービス
情報銀行とは、自分自身にまつまわる「個人情報」を自分自身の意思で売ることが出来る新しいサービスです。
これまで個人情報というと、「名簿屋」に代表されるように個人情報の真の所有者の意思とは全く関係無く、また何の恩恵も無く売買されているという実態がありました。
情報銀行は利用者が自分自身の情報を情報銀行に預け、そこから自分自身の意思で特定の企業に対し自分の個人情報を「売る」ことが出来ます。対価として現金やポイントを得ることができます。
2019年から相次いでスタート
2019年から日本国内でも相次いで「情報銀行」のサービスが始まる予定です。
参入を表明している企業としては、三菱UFJ信託銀行や電通系などの企業があり、一般提供に向けて既に社員向けに実証実験を行っているところもあります。
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参入予定の企業を一覧で紹介
電力使用量データも売れるかも?
情報銀行を通じて、家庭の電力使用量のデータも売買できる時代が来るかもしれません。
そもそも電力使用量データとは
情報銀行で売ることができるようになるかもしれない「電力使用量データ」について、簡単に説明します。
これまで、家庭の電力使用量のデータといえば、電力計(電力メーター)を一ヶ月に一回目視で検針して得られる「月間の使用量」のデータくらいでした。それではデータとしての価値はあまり無いです。
しかし、現在普及が進む次世代型の電力計「スマートメーター」は、30分ごとの電力使用量を計測することが可能です。データとしての粒度が格段に向上しています。
また、将来的には個別の家電からセンサーで情報を取得することも可能になっていくでしょう。
中部電力が実証実験を準備中
現在、様々な企業が情報銀行について研究開発を進めている段階ですが、電力業界では中部電力が情報銀行に関する実証実験に参加しています。
総務省が委託した実証事業として、豊田市役所や地元スーパーの運営会社などと共に地域型情報銀行の準備を進めています。事業の目的としては「地域サービスの効率化・高度化を実現し、生活者の日常生活の不便を解消すると共に地域内の消費活性を図る。」ことが掲げられています。
この他、日立製作所も社員200人を対象に自宅の電力データやリストバンド型センサーから取得した健康データ、給与データなどを活用した実証事業を行っています。
データを何に役立てるの?
では、家庭の電力使用量データを企業が取得して何に役立てるのでしょうか。
30分ごとの電力使用量の推移からは様々なことが分かります。
人間の目で見ても簡単に推測が可能なのが、「在宅状況」です。家に人がいれば使用量は増えますし、いなければ減ります。また変動の大きさからも在宅状況は推測しやすいです。また、生活パターンの推測も可能です。起床時間や就寝時間は電力使用量データから容易に推測できます。
そうしたデータを新たな製品・サービスの開発や、あるいは小売店のクーポン配信などに活用することが検討されています。例えば提供されたデータをもとに、「最新エアコンに付け替えれば電気代が○○円節約になります」というクーポンを家電量販店が配信すれば、より効果的な集客が可能になるでしょう。
自分の生活に役立てる使い方も
「情報銀行」とは厳密には異なるものですが、自分自身の生活のために自宅の電力使用量データを活用できるサービスも今後登場するかもしれません。
「パーソナルデータストア」(PDS)という取り組みで、複数の企業にまたがって存在する自分自身の個人情報データを集約し、横断的に利用できるようにするサービスです。
例えば電力会社が持つ自宅の電力使用量データを、電力比較サイトに提供するよう指示をして、実際の使用量データに基づいた精緻なシミュレーションを行うといった取り組みがイギリスでは既に運用されています(「midata」)
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