家電選びで注目すべき「ライフサイクル電気代」という考え方

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家電を買う、は消費電力を買うことでもある


 家電製品を使うには、電気が必要です。つまり、家電製品を買うということは消費電力を買う、ということとイコールです。電気代も含めてトータルで本当にお得、そしてエコな家電の買い方を提案します。



ライフサイクル電気代とは


 まずは「ライフサイクル電気代」という考え方を紹介します。


家電を購入してから捨てるまでに発生する電気代


ライフサイクル電気代のイメージ


 冒頭でも紹介したように、家電製品を使うには電気が必要です。つまり家電製品を購入すると、半自動的にその分の「消費電力量」が必要となります。


 その家電製品を購入してから、耐用年数まで使用した場合の合計の電気代を「ライフサイクル電気代」と呼ぶこととします(Googleで検索してもこの言葉は出てこなかったので、私が勝手に考えた言葉です)


本体価格とあわせて検討する必要がある


 家電製品を購入する際に、製品の本体価格をよく比較して吟味する消費者は少なくないでしょう。しかし、ライフサイクル電気代まで考えて購入する消費者は多くは無いのではないでしょうか。


 例えば本体価格22万円のドラム式洗濯機Aと、20万円のドラム式洗濯機Bがあったとしましょう(容量などは同じ) Bの方が本体価格が安く「お得」に見えますが、10年間毎日1回使用した場合のライフサイクル電気代がAが円に対し、Bは円です(東芝TW-127X7LとTW-127X8Lを例として比較しています)


ドラム式洗濯機A
容量12Kg ヒートポンプ式
ドラム式洗濯機B
容量12Kg ヒーター式
本体価格 22万円 20万円
ライフサイクル
電気代
70080円 113515円
合計 290080円 313515円

 本体価格が2万円高いAの方が、10年間使用するとBよりも2万円以上お得になります。


 このように、本体価格が安いからといって、電気代を考慮すると長く使い続けた場合に「損」となるケースは珍しくありません。家電製品を購入する際は、必ずライフサイクル電気代を考慮する必要があると言えます。


ライフサイクル電気代の比較

本体価格が安くても「損」なケースがある

ライフサイクル電気代の計算方法


 ライフサイクル電気代を計算することは、実はとても簡単です。


 現在、特に消費電力が大きな家電製品では「標準的な使用シーン」での消費電力量や、あるいはその消費電力量から計算した年間目安の電気代をカタログなどに掲載しています。


 例えば1回の洗濯・乾燥で消費電力量が1150Wh(=1.15kWh)の消費電力量が掛かるドラム式洗濯機の場合、毎日1回使えば年間の消費電力量は1.15*365=419.75kWhです。


 電気料金の平均単価は27円/kWhとして計算されるのが一般的なので、419.75*27=11333.25円が年間の電気代となります。10年使うつもりならそれを10倍すればライフサイクル電気代となります。


主な家電製品のライフサイクル電気代


 主な家電製品のライフサイクル電気代の実例を紹介します。


製品 ライフサイクル
電気代
使用例
ドラム式洗濯機 70080円 1日1回使用
縦型洗濯機 5840円 1日1回使用
40インチ液晶テレビ 16200円 業界基準で10年使用
白熱電球 60W級 1458円 定格寿命1000時間分
ノートPC 11826円 30W 1日8時間、5年間使用
冷蔵庫 411L(2人世帯用) 127575円 15年間使用

 製品によっては、本体の購入価格よりも後々支払う電気代の方が高いものもあり、ライフサイクル電気代が重要であることが分かります。


ライフサイクル電気代を節約する家電の買い方


 ライフサイクル電気代を考慮して家電製品を選ぶ方法を紹介します。


カタログの年間消費電力量を確認する


 エアコン、冷蔵庫や、テレビ、洗濯機といった家庭でも特に消費電力量が大きい家電製品については、製品のカタログや公式サイトに消費電力量の目安や、そこから「1kWh27円」で計算した電気代の目安が掲載されていることが多いです。


 こうしたカタログスペックをぜひ確認してください。


 なお、必ずしもこうした標準的な使用シーンでの目安の消費電力量や電気料金が表示されていない、あるいは想定しづらいジャンルもあります。例えばコードレス掃除機などはこうした数値が記載されておらず、またユーザーが計算するのも難しいです。


ライフサイクル電気代の実例


 最後に、ライフサイクル電気代と本体価格について、実例を挙げならが詳しく解説します。


本体価格が高い方が安くつく ドラム式洗濯機


 記事前半でも紹介しましたが、ドラム式洗濯機は本体価格が高いものを買った方が、ライフサイクル電気代込みのトータルコストが安くつくケースが多いです。


 ドラム式洗濯機は乾燥機能が便利で魅力的な家電製品ですが、乾燥を行う方式がいくつかあり、コストと消費電力量に大きな差があります。


ヒーター式 ヒートポンプ式
本体価格 安い 高い
消費電力量 多い 少ない
1回ごとの電気代
東芝製12Kgタイプ
31.1円 19.2円
ライフサイクル電気代
1日1回10年使用時
113515円 70080円

 本体価格はヒーター式の方が数万円程度安い場合が多いですが、電気代が1回使うごとに10円以上の差となるため、多くの家庭ではヒートポンプ式のドラム式洗濯機を買った方が結果として安上がりとなります。


有機ELよりも圧倒的に安い液晶テレビ


 現在主流の液晶テレビに対し、有機ELテレビが徐々にシェアを高めつつあります。有機ELテレビは有機ELディスプレイという新たな方式を採用したテレビですが、現状でテレビに使われている有機ELディスプレイは消費電力が大きくなってしまう欠点があります。


有機ELテレビ 液晶テレビ
年間消費電力量 184kWh 94kWh
年間電気代 4968円 2538円
ライフサイクル電気代
※10年使った場合
49680円 25380円

 いずれも東芝製55インチモデル(55M540Xと55X8400)ですが、カタログ記載の年間消費電力量に2倍近い差があります。


 本体価格は有機ELテレビの方が現状で高額ですが、電気代でも数万円「損」となるため、安く済ませるなら液晶テレビを、ということになるでしょう。


 なお、有機ELでもスマホ向けの小型のものは液晶よりも一般的に消費電力が小さいと言われています(小型と大型では、一口に有機ELといっても方式が異なる)


白熱電球より圧倒的に安いLED電球


白熱電球 60W相当 LED電球 60W相当
定格寿命 1000時間 40000時間
ライフサイクル電気代 1458円 7884円
40000時間
電気代
58320円 7884円

 寿命に40倍程度の差があります。4万時間使用した時点での電気代の差は約5万円にものぼります。電球本体の価格はLEDの方が高額ですが、電気代・電球代を含めるとLED電球の方が圧倒的に低コストです。


容量と比例しない冷蔵庫の消費電力


 24時間365日動き続ける冷蔵庫。大きな冷蔵庫の方が消費電力量が大きくなると思いきや、実は一人暮らし向けの小さな冷蔵庫の方が消費電力量が大きくなる傾向があります。


容量 年間消費電力量 ライフサイクル電気代(15年)
154L
日立RL-154KA
306kWh 123930円
401L
日立R-S40K
273kWh 110565円
475L
日立R-X48N
272kWh 110160円
520L
日立R-HW52K
234kWh 94770円

 いずれも2019〜20年に発売された日立の冷蔵庫ですが、一番上の一人暮らし用サイズが最も消費電力量が大きく、大家族用の520Lサイズが最も消費電力量が小さいです。


 とはいえ、本体価格の方は基本的に容量と比例するため大きい方がコミコミでお得、というわけにはいきません。ですが大きい方が電気代が安いので、本体価格の差が見かけよりも小さくなると考えると、大きなものを選びやすくなるのではないでしょうか。




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