リニア新幹線の消費電力
2027年に開通が予定されているリニア中央新幹線。品川・名古屋間をわずか40分で結ぶ「夢の超特急」として期待を集める一方、消費電力が大きいということで懸念の声も一部にあります。リニアの消費電力について、分かりやすく解説します。
目次
リニア中央新幹線の消費電力は新幹線の4倍
JR東海が公表している「環境影響評価書」によると、東京〜大阪間を一人運ぶのに排出するCO2の量はN700系「のぞみ」が7.1Kgであるのに対し、超電導リニアは29.3Kgと4.1倍にも及びます。
リニア、N700系ともに動力は電力であるため、CO2排出量の差は消費電力量の大きさとほぼイコールです。リニア新幹線は従来の新幹線と比較して、消費電力が大きいと言えます。
なぜリニア新幹線は消費電力が大きいのか
では、なぜリニア新幹線は消費電力が大きいのか。その理由を分かりやすく解説します。
速度が新幹線よりも大幅に速い
N700系のぞみは、現在最高速度が275Km/hで運行されています。それに対しリニア中央新幹線は500km/hという超高速での運行が予定されており、速度の次元が異なります。
自転車で走っていても、時速10Km/h程度でノロノロとペダルを漕いでいても風の影響は小さく感じますが、30Km/hでは風の影響を大きく受けます。速度に比例して空気抵抗は大きくなるため、速度が速いリニア中央新幹線はその分エネルギー消費が大きくなってしまいます。
実際に、リニア新幹線を新幹線と同程度の時速300Kmで運行した場合、500Km/hで運行した場合と比べて消費エネルギーが約半分になるとの試算もあり、この水準であればN700系の2倍程度の消費電力で済みます。
構造的に消費電力が大きくなりやすい
同じ速度で走らせても、リニア中央新幹線はN700系の2倍の消費電力量となるのは、構造的にリニアの消費電力が大きいためです。
N700系はモーターの動力を鉄の車輪に伝えて走行します。それに対しリニア中央新幹線の車両は、地上の線路(ガイドウェイ)と車両側の超電導磁石の間で磁界を発生して推進力を得る仕組みです。
推進力を得る根本的な仕組みは通常のモーターと同じものですが、モーター内部で完結している動作がリニアでは車両と線路の間で行われるため、その分ロスが大きくなりやすいとの指摘があります。
リニア新幹線による意外な効果も
ここまでリニア中央新幹線の負の部分を紹介してきましたが、最後にあまり語られないメリットの部分を紹介します。
羽田空港の有効活用にもつながる
羽田空港は慢性的に混雑しており、日本の航空行政の大きな課題となっています。限られた発着枠を有効に使うために機材を大型化する方針が取られ、JALはジャンボジェット機「B747」の保有数で世界一だったこともあります。
しかし大型機は需要の変動に適応しづらい面があり、それがJALの経営破綻の要因の一つになったとの指摘もあります。
話が逸れましたが、リニアが開通することで現在は1日30便運行されている羽田・伊丹便や、あわせて20便程度の羽田・神戸、羽田・関空便を大幅に減便することが可能となります。実際に、国交省なども大阪・東京間の航空便の半減あるいは全廃という試算を行っています。
空いた発着枠を他の国内線や国際線に振り分けることで、羽田空港を更に有効活用出来ます。羽田の便数は現状で1日500便程度なので、そのインパクトは決して小さくはありません。
交通政策は一つの交通手段を単体で見るのではなく、複合的に見るべきで、リニアについても航空や自動車との連携を含めた視点で見ることが必要です。
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