今後増える?「低圧一括受電」とは

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普及する? 低圧一括受電とは


アパートなどに普及する?低圧一括受電とは


 10年ほど前から大規模マンションで普及が進む「高圧一括受電」 それに対し、小規模マンションやアパートをターゲットにした「低圧一括受電」というものが普及の兆しを見せています。


 この記事では、そんな低圧一括受電を詳しく解説していきます。



低圧一括受電とは?


 まずは低圧一括受電とはどんな仕組みなのか、簡単に解説します。


大家や管理会社が電気の契約を取りまとめる


 一般的なマンションやアパートでは、個別の入居者が自ら電力会社と契約を結び、電気の供給を受けます。


 それに対し低圧一括受電では、間に大家もしくは管理会社などが間に入って契約をまとめ、入居者に電気の供給を行います。


高圧一括受電と何が違う?


 調達する電力が異なります。


 実際に各戸に届く電力はいずれの方式でも言うまでもなく低圧電力です。しかし高圧一括受電では、建物全体で高圧電力を調達し、その電気を変圧して各戸に届けます。


 低圧一括受電は低圧電力を調達して電気を供給することになります。それが最大の違いです。


大型マンションの高圧一括受電とは別物


大家にとってのメリット・デメリット


 では、低圧一括受電を導入するにはどのようなメリット・デメリットがあるのか。大家側のメリットを見ていきます。


電気の供給でも収益を挙げられる


 これまで入居者が各々行っていた電気の契約を、大家側で取りまとめることが出来るため、そこで収益を得る機会を得られます。


新たな収益のチャンス


 まだ具体的なサービスが立ち上がっていない段階なので何とも言えませんが、LPガスの導入のように入居者の支払額から一定のマージンを受け取ったり、建築時の電気工事費用を業者が肩代わりするような条件が提示されるかもしれません。


物件の差別化を図れる


 低圧一括受電だけでは入居者にとってメリットはほぼ皆無です。ですが他の仕組みと組み合わせることで、低圧一括受電に価値をもたせることが出来ます。


 2017年12月に静岡県伊豆市に完成した賃貸アパートはZEH(ゼロ・エネルギー)の基準を満たす日本で初めての賃貸集合住宅で、高断熱化などの省エネと太陽光発電を設置することで「エネルギー収支ゼロ」を実現しています。


太陽光発電と低圧一括受電の組み合わせは良い


 この物件では、低圧一括受電システムと組み合わせることで、アパートの屋根で発電した電気を賃貸入居者に供給します。


 これまでも賃貸アパートの屋根に太陽光発電設備を置く例はありましたが、入居者の部屋に屋根で作った電気を供給する例は多くありませんでした。大家の売電収入が減少してしまうからです。


 低圧一括受電と組み合わせることで、収益を減らさずに太陽光発電の電気を入居者に供給することが出来、更に「エコな電気を使える」という付加価値で他の物件との差別化を図ることができます。


入居者にとってのメリット・デメリット


 では入居者にとってはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。


電気料金の支払いが安くなる可能性


 場合によっては、大手電力会社よりも安い料金で電気を使える可能性もあります。


 ただし、大型マンションで使われる「高圧」一括受電とは異なり、「低圧」一括受電は仕組み上、電気料金削減の余地はとても小さいです。


 高圧一括受電は高圧電力(定価で16.08円/kWh:東京電力)を仕入れて供給するので、低圧電力(30.02円:東京電力 従量電灯B)との価格差が結果として「低料金」という形で入居者のメリットになる場合が多いです。


 低圧一括受電ではそのような仕入れ値の「価格差」がほとんど無いので、入居者が自分で安い会社(新電力)を契約した方が安くなることの方が多いはずです。


割高な電気料金を負担させられる可能性も


 プロパンガスを導入しているアパートでは、プロパンガス導入の見返りに工事費用を業者が負担してその分を入居者のガス料金に上乗せしたり、毎月のガス料金から一定額が大家に渡っている例があります。


 こうした事例があるので、今後低圧一括受電を導入する物件が増えていくとすると、入居者の電気料金の支払額がかえって高くなる可能性は否定できないでしょう。


低圧一括受電で電気料金が高くなる可能性も


 また、一括受電で無い場合は電力会社と入居者が直接契約するのでシンプルですが、一括受電では間に大家や管理会社などが入るわけです。階層が増えて複雑になるので、その分コストアップ要因になります。


 使用する電力会社については、家を借りる時の契約の際に重要事項説明で説明する義務があるので、よく確認する必要が出てきそうです。


まとめ


 低圧一括受電を単体で導入するのではメリットはほぼありません。太陽光発電や、ガス発電(エコウィルなど)、蓄電池などと組み合わせることで、初めて大家・入居者双方にメリットが生まれるものです。


 低圧一括受電だけが普及し、結果として賃貸住宅の電気料金を押し上げる要因とならないことを祈ります。




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