相次ぐ新電力の身売り・買収

新電力の「身売り」が相次いでいる


 2019年に入って、新電力会社が「身売り」され同業他社に買収される事例が徐々に目立ってきました。買収の事例や、背景にある事情を解説します。



新電力の買収事例


 まずは実際に「身売り」された新電力を紹介します。


滋賀電力


奥琵琶湖

奥琵琶湖

 滋賀県を中心に関西エリアで営業していた「地域新電力」です。香川県を中心に新電力事業や、プロパンガス事業を展開している藤田商店(スマイルパワー)に買収されました。


 2018年夏から売却が検討され始め(同社創業者サイトより)、2018年秋に全株式を売却(同社創業者サイトより)されています。更には2019年4月をもって滋賀電力株式会社は消滅、今後は藤田商店の支店として再スタートすることが公表されました。


 買収により「地域新電力」とは呼べなくなってしまった事例です。


坊ちゃん電力


坊っちゃん列車

坊っちゃん列車

 四国・愛媛を中心に新電力事業を展開していた「坊っちゃん電力」を、エネワンでんきのブランドで新電力事業に力をいれるサイサン(埼玉県)が買収しました。


 サイサンはプロパンガスを中心に展開している企業ですが、電力事業にも力をいれています。2019年1月に坊っちゃん電力を買収しました。





なぜ身売りされるのか?


 なぜ新電力の身売り・買収が相次いでいるのか、その背景にある事情を解説します。


新電力の4割が営業赤字という実情


 日本経済新聞が2018年に実施した調査によると、新電力大手100社の中で2017年度に営業黒字を確保できたのは6割。逆を言えば4割が「赤字」という厳しい状況があります。


 顧客の獲得が進んでいない上、さらに電力の調達を頼っている卸電力取引所の取引価格が地域によっては暴騰するなど、厳しい事業環境があり、特に地方の中小の新電力は経営が厳しいと言われています。


乱高下する卸電力取引所の取引価格

乱高下する卸電力取引所の取引価格

規模がものを言う電力小売りビジネス


 多くの産業と同じように、電力小売りビジネスも「規模」がものを言う世界です。特に顧客数が伸び悩んでいる中小の新電力は、経営も高コスト体質になりやすく、利益を出すのが困難な状況です。


 冒頭で紹介した買収「される」側が地方の中小新電力、「する」側は既存事業が強固な中堅企業であることからもわかるように、電力事業以外のところで基盤のある企業が、手っ取り早く大規模化を進める手段として、同業を買収するという方法が取られているようです。


今後も身売りは続いていく


 先にも説明したように、シェアが大きい新電力を含めても4割が赤字ということは、中小の新電力まで含めると半数以上が赤字である可能性があります。


 既に福島電力のように破産する新電力もありますが、倒産する前に「売却」という道を選択する新電力経営者は今後も続々と現れるはずです。


 また、こうした動きを見越して「新電力のM&A」ビジネスに注目する動きもあり、ビジネスとして今後盛り上げようと活動している人たちもいるようです。


契約者はどうなるのか


 そこで気になるのが、売却される新電力の契約者はどうなるのか、という問題です。


 基本的には売却後も、従来のサービス内容が維持されることが多く、電気料金プランなどはそのままなので、特に実害を被ることはないでしょう。


 ただし、売却を機に主要業務がごっそりと他県に移管したり、会社自体が他県企業に吸収されてしまう事例が今後も相次ぐ可能性があります。地域新電力を契約することで地域経済に貢献したいと思っていた人にとっては、「裏切り」とも言えるでしょう。


 買収によって組織やサービスに変更を加える新電力は、既存顧客に対して解約時の違約金を一時的に免除するなどの処置を講ずるべきだと思います。




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