「電力」を商材としたマルチ商法にご注意!

広告

電力ビジネスに関連したマルチ商法にご用心!


 かつて日本でも社会問題化したマルチ商法。最近でも形を様々に変えて生き残っているようですが、「電気」を商材として扱う業者も現れています。


 こうした「電力」を商材としたマルチ商法への注意点や問題点をまとめます。私自身はマルチ商法には否定的な立場です。



どんなものなの?


 電力を題材としたマルチ商法と言われてもピンとこない方もいると思うので、その概要を簡単に説明します。


そもそもマルチ商法とは?


 マルチ商法は「連鎖販売取引」「MLM」「ネットワークビジネス」とも言われる、商品の販売形態の一つです。


 マルチ商法の特徴は、新しく「会員」を獲得することで、その会員を獲得した人に報酬が発生して「儲かる」仕組みにあります。


マルチ商法のピラミッド


 単に商品を販売するだけでなく、組織の会員を集めて「ピラミッド」を形成していくことで、下の階層に位置する会員が上げた成果をピラミッドの上の階層に位置する人が得られる、ということを謳っています。


 自分が獲得した会員(子)が更に新しく会員を獲得(孫)、更にその会員がまた新しく会員(ひ孫)を獲得し、その人たちが成果を上げることで、大きな報酬が得られるとされています。


電力のマルチ商法は何をするの?


 商材が「家庭の電力契約」というだけの話で、他のマルチ商法とやることは何ら変わりありません。


 まずは電力の契約申込みを獲得すること。
 マルチ商法系の新電力の電力契約を獲得することで収入が得られるとされています。1件5000円程度が支払われるようです(アンビットエナジー)


 また、マルチ商法系新電力の宣伝を行う「ビジネス会員」を獲得することでも収入を得る機会があるとされています。会員を獲得していき、上でも説明した「ピラミッド型」の組織を形成することで、下の階層の会員が上げた成果を手にすることが出来ます。


何が問題なの?


 一般的にマルチ商法の問題点として指摘されている点を紹介します。
 なお、マルチ商法自体が直ちに悪徳商法や法令違反となるわけではありません。


儲かるとは限らない 損をする可能性も


マルチ商法には損するリスクがある


 マルチ商法(ネットワークビジネス)に参加するには、高額な入会金と月会費を負担する必要があります。


 入会金はおおむね「数万円程度」、月会費は「数千円程度」のようですが、新規会員の獲得が思うように進まなかったり獲得した会員が成果を出せなかった場合は、損をするリスクがあります。


 また、電力についてはその心配は少ないですが、在庫を抱えるような商材を扱う場合などには仕入れに掛かる費用が発生することもあります。多額の借金を抱えてしまう人もいます。


販売実績をあげるため、自分自身で商品購入をして借金を抱えるといったトラブルも起こりやすい。


引用元:友人からサイドビジネスに誘われて(連鎖販売取引・マルチ商法)(京都府)


人間関係を壊す恐れがある


マルチ商法で人間関係が破綻する


 最近はSNSを使った勧誘について国民生活センターなども注意喚起を行っていますが、マルチ商法は友人・知人など自分の周囲にいる人を勧誘相手とすることが多いです。


 その過程でしつこく勧誘してしまったり、あるいはマルチ商法に理解の無い多くの人にとっては、マルチ商法の勧誘を受けること自体があなたへの不信感へと繋がる恐れがあります。


利益を得るためには新たな会員を獲得し、販売実績をあげる必要があるため、大げさな商品説明や無理な勧誘活動による友人関係の悪化といったことが起こりやすい。


引用元:友人からサイドビジネスに誘われて(連鎖販売取引・マルチ商法)(京都府)


 京都府でもこのような注意喚起を行っています。


マルチ商法系新電力の電気料金を見てみよう


 マルチ商法(ネットワークビジネス)で一儲けしようと思っている人がいたら、まずは自分が扱おうとしている商品(今回なら電力)をちゃんとよく見てみましょう。


 各社のサイトを見ても電気料金の表が非常に見つけづらくなっており苦労しましたが、アンビットエナジーの料金表を入手したので紹介します(一部を抜粋)


区分 アンビットエナジー 東京電力EP
従量電灯B



20A 561.6円 561.6円
30A 842.4円 842.4円
40A 1123.2円 1123.2円
50A 1404円 1404円



〜120kWh 18.40286円 19.52円
121〜300 24.51201円 26円
300〜 28.30194円 30.02円

 見比べても分からないと思うので、当サイトで普段おこなっている世帯人数ごとの試算を当てはめてみます。


1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
お得率と年間節約額 -5.0%
-2501円
-5.2%
-5812円
-5.1%
-6699円
-5.1%
-7647円

標準的な世帯の場合

 東電の従量料金Bプランと比較しておおむね「5%安」になるという結果になりました。この水準は一人暮らし世帯では競争力がありますが、二人以上の世帯では「どうかな」というレベルです。
 詳しくは以下の記事の一覧表と見比べてください。


 また、一部の会社が導入している「市場価格連動型」の料金プランは、電気の市場価格に連動して料金単価がかわります。大手電力会社よりも電気料金が割高になるリスクもある点に注意が必要です。


マルチ商法の会社一覧


 家庭向けの電力を商材としたマルチ商法を行っている会社を一覧で紹介します。


スタート電気


会社名:アスカクリエイト(東京都渋谷区)


アンビットエナジー


会社名:アンビットエナジージャパン(大阪府大阪市)


 ※2022年5月で事業終了を発表


ACNジャパン


会社名:ACNジャパン(東京都港区)
「ズームエナジー」の電気を商材として提供


エトスでんき


会社名:Ethos合同会社


勧誘をしつこく受けた場合の対処方法


マルチ商法は消費生活センターに相談を


 勧誘をしつこく受けて困っている場合は、消費生活センター(地方公共団体が設置する公的機関)への相談をおすすめします。
 「188」に電話すると、お近くのセンターにつながります。




関連記事

電力自由化とは? 停電のリスクは?
乗り換えでいくら安くなるの? 乗り換えで料金が値上がりするケース
新電力とは?

どうやって契約するの? 乗り換えのメリット・デメリット
乗り換えにかかる初期費用 乗り換えに工事は必要?
賃貸住宅でも乗り換えられるの? 解約する時の違約金は?
安くなる理由 電気の調達は?


地域別 電気料金比較表

電気料金比較シュミレーション

電力自由化Q&A

項目別おすすめ

人気の電力会社