高すぎる燃料費調整額の請求が届いた時に確認すべきポイント | なぜ高額に?

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燃料費調整が高い!ときに確認すべき点


 電気代の請求が高い。詳しく見てみると燃料費調整が原因のようだ。そんな時に確認すべき点を、電力自由化の専門家としてこれまでに多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。誤請求かどうか確認する方法も。



そもそも燃料費調整額とは?


 燃料費調整額は、電気に掛かる変動コストを電気料金に転嫁する仕組みです。


 東京電力や関西電力など大手電力会社の燃料費調整の場合は、財務省の貿易統計にある燃料の輸入価格(液化天然ガス、石炭、原油)をもとに計算されます。多くの新電力会社も、大手電力会社と同様の計算方法を採用しています。


燃料費調整


 一方、最近は財務省の貿易統計以外のデータをもとに燃料費調整額を計算する新電力会社、大手電力会社の一部プランも増えてきています。


 いずれにせよ、電気の供給に必要な変動コストを電気代に転嫁してお客さんに負担してもらう仕組みであることは変わりません。


燃料費調整額が高い時に確認すべきポイント


 電気代の請求を見て燃料費調整額が「高い」「高すぎる」と感じた時に確認すべきポイントをまとめます。


使用量に異常が無いか確認する


 燃料費調整額は「燃料費調整単価」と呼ばれる単価に、使用量(単位:kWh)を掛けて計算します。まずは使用量を確認しましょう。


 使用量は「kWh」(キロワットアワー)という単位で請求書等に必ず記載されています。この使用量に異常が無いかを確認してください。前月分など過去の請求書・検針票と見比べるとよいでしょう。


 手元に過去の請求書などが無い場合は、以下の世帯人数別の平均使用量を参考にしてください。


世帯人数 平均使用量(月)
1人世帯 170kWh
2人世帯 348kWh
3人世帯 391kWh
4人世帯 437kWh

 例えば1Kのマンションで一人暮らしをしているのに、使用量が500kWhというのは特殊な電気の使い方をしているか、何らかの異常がある可能性があります。


 電力会社が使用量の数値を誤る場合が全く無いわけではありません。身に覚えが無いのに使用量が異常に増えている場合は、契約している電力会社のサポートセンターに確認を依頼してください。


 請求対象の期間の「日数」も念のため確認することをおすすめします。何らかの事情で30日分を大きく超えた分の電気料金が一括で請求される場合もあり、その場合は通常よりも使用量が大きくなります。


単価を確認 大手電力と見比べる


 次に確認すべきポイントが、燃料費調整額の単価です。請求書に燃料費調整単価として「○○円/kWh」という形で記載されている場合があります。


 記載が無い場合は、燃料費調整額を使用量(kWh)で割ると単価を求めることができます。


 燃料費調整単価を確認したら、お住まいの地域の大手電力会社の燃料費調整単価と見比べてください。家庭や小規模な店舗・事務所などでは「低圧」「従量電灯」の単価です。



 上記の大手電力の燃料費調整単価とくらべて、ご自身が契約している電力会社の燃料費調整単価が高くなっていないか確認してください。




燃料費調整の単価が高額化している新電力が少なくない


 燃料費調整の単価を大幅に引き上げている新電力会社が少なくありません。昨今の現状と注意点をまとめます。


燃料費調整に上限が無い新電力


 大手電力各社の「従量電灯」の燃料費調整には上限が設定されています。そのため燃料価格が異常に高騰した場合は燃料費調整額の上昇がある一定で止まります。2022年はロシアによるウクライナ侵攻、急速な円安や世界的なインフレにより北海道電力から沖縄電力まで全国の大手電力10社すべてがこの上限に達しています。


燃料費調整単価
2023年4月分
電気代の差
月300kWh
上限あり 上限無し
北海道電力エリア 3.66円/kWh 8.57円/kWh 4.91円/kWh 1473円
東北電力エリア 3.47円/kWh 11.80円/kWh 8.33円/kWh 2499円
東京電力エリア 5.13円/kWh 10.25円/kWh 5.12円/kWh 1536円
中部電力エリア 5.36円/kWh 9.93円/kWh 4.57円/kWh 1371円
北陸電力エリア 1.77円/kWh 9.34円/kWh 7.57円/kWh 2271円
関西電力エリア 2.24円/kWh 9.67円/kWh 7.43円/kWh 2229円
中国電力エリア 3.19円/kWh 13.77円/kWh 10.58円/kWh 3174円
四国電力エリア 2.55円/kWh 10.76円/kWh 8.21円/kWh 2463円
九州電力エリア 1.94円/kWh 7.56円/kWh 5.62円/kWh 1686円
沖縄電力エリア 3.98円/kWh 17.32円/kWh 13.34円/kWh 4002円

 一方、多くの新電力会社そして大手電力会社でも従量電灯以外のプランでは燃料費調整に上限が無いことがほとんどです。そのため燃料価格の異常な高騰が発生しているタイミングでは、燃料費調整額が高額になることで新電力の電気代が大手電力従量電灯よりも割高になります。


 実際、2022年末から2023年3月にかけて、燃料費調整に上限が無いほぼ全ての料金プランが、大手電力従量電灯よりも電気代全体として高くなっています。以前は安かったはずのプランが、ことごとく高くなってしまっています。


 一部の電気料金比較サイトやSNS等で「安い」と紹介されているオクトパスエナジーテラセルでんき出光でんきなどはいずれも燃料費調整に上限が無いため、大手電力従量電灯よりも電気代が高くなっているので注意してください。


 当サイトの電気料金一括シミュレーションでは燃料費調整を含めた電気代の試算が可能です。


市場連動型プランはかなり高騰している場合も


 多くの新電力は大手電力の従量電灯と同様に、財務省の貿易統計から燃料費調整額を計算しています。ですが昨今、貿易統計以外のデータを元に燃料費調整額を計算する新電力が増加傾向にあります。


 最近増えているのが、日本卸電力取引所での電力の取引価格に応じて燃料費調整額が変動する料金プランです。多くの新電力が電力取引所から電気を仕入れていますが、この取引価格が度々暴騰し、新電力の経営に深刻なダメージを与えています。そのため、掛かったコストを転嫁するために電力取引価格に応じた燃料費調整額を導入する新電力が増えています。


ある新電力の電源調達調整費の発生イメージ

ある新電力の市場連動型の燃料費調整額の発生イメージ

 契約当初にこのような料金体系ではなかった新電力でも、利用している間にこのような料金体系に移行するケースが最近増えています。注意してください。東急でんきシン・エナジー小田急でんきなどがこのような料金体系への移行を発表しています。


 このような特殊な燃料費調整額は一部の新電力では「電源調達調整費」という呼び方をしている場合もあります。グランデータHTBエナジーハルエネでんきジャパン電力などがこのような仕組みを採用しています。


 中には電力量料金とほぼ同額の燃料費調整額を請求している新電力もあります。もはや「調整」とは呼べないでしょう。電力業界の業界紙「電気新聞」(2022年4月7日)でも取り上げられました(私が取材協力させていただきました)




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