生活を変える?かもしれない次世代発電技術
これから世界中の人々の生活を変える「かもしれない」次世代発電技術を紹介します。これまで出来なかったことが出来るようになったり、エネルギーの供給コストの低下や供給の安定性向上に貢献するかもしれません。
注目される次世代発電技術
世界で注目される次世代の発電技術を紹介します。
ペロブスカイト太陽電池
メリット | デメリット・課題 |
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薄い・軽量 室内光でも発電できる 折り曲げが可能 |
寿命が短い 製造コストが現状高い 鉛を含有する |
次世代型の太陽電池です。桐蔭横浜大学の宮坂教授が考案した「日本発」の技術で、積水化学工業などの日本企業が実用化に向けて動いています。
材料を薄い膜の上に塗ったり、印刷することで製造することが出来ます。製造方法が簡単なので今後技術の進展や大量生産が実現すれば従来型の太陽光発電パネルよりも低コストで製造できるようになると言われています。
発電のパネル自体をわずか1mm程度の厚さにすることが出来るため、軽量でかつ折り曲げが可能。円柱の柱などの曲面にも設置が可能と言われています。重量も大幅に軽くなるため、これまで重量の問題で太陽光発電システムの設置が出来なかった場所にも設置が可能です。
低照度の環境でも発電効率が落ちづらいという特徴もあり、室内の照明の下でも発電量を確保しやすいというメリットもあります。
これまで太陽光発電を導入できなかった場所に、太陽光発電を設置できるようになる技術と言えます。
小型モジュール式原子炉(SMR)
メリット | デメリット・課題 |
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事故時の安全性が高い 工期が短い トラック等で移動できるものも |
既存大型原発より高コストとも |
従来の巨大な原子力発電所と比較して大幅に小さな原子炉を持つ原子力発電です。日本のIHIや日揮などが出資する米国のニュースケール社などが手掛けています。概ね、30万kW以下の出力のものをSMRと呼びます。
従来型と比較して大幅に小さいことが特徴です。主要な部品を工場である程度組み立てることが可能となるため、工期が短くなることがメリットとして指摘されています。より小型なものは「マイクロ炉」と呼ばれ、トラックなどでの運搬も可能とされています。三菱重工がトラックでの移動が可能なマイクロ炉の構想を発表しています。これまで高コストなディーゼル発電機で電気を供給していた離島などでの活用も期待されています。
格納容器をプールに沈めることで、事故が発生した際の重大事故を防ぐことが出来るとされています。電源を喪失した場合でもプール内の水が自然に循環することで冷却、更にプール内の水が蒸発した後は空気により冷却が可能とされています。
既存の大型原発と比較して発電コストは高いとも言われていますが、特に日本などの先進国では原子力発電所(大型)の建設が度々遅延し、コストの増大を招いています。SMRではそのような工事の遅延が少ないことが期待されています。
2020年代中に世界中で続々とSMRの運転開始が計画されています。
核融合発電
メリット | デメリット・課題 |
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従来型原発より安全性が高い(暴走が起きづらい) 数万年単位の管理が必要な核廃棄物を出さない 燃料は海水から取り出すことが出来る |
技術的ハードルが高い |
「太陽と同じ原理」で膨大なエネルギーを生み出す仕組みです。日本、EU、米国、韓国、中国、ロシア、インドが参加する「ITER計画」が進行しており、南仏で実験炉の建設が進められています。2035年の核融合反応開始を目指しています。OpenAI(ChatGPT提供企業)のCEOが出資する企業は2028年の運転開始を目指しており、発電した電力をマイクロソフト社に供給する契約を結んだと発表しています。
海水中に多く含まれる重水素と、トリチウム(リチウムから製造する)を燃料として使用し核融合反応を発生させます。1gのトリチウム・三重水素の反応で石油8トン分のエネルギーが発生するとされています。
従来型の原子力発電では一度核分裂が始まると連続じて反応が起こるため、反応を制御する必要があり、制御に失敗するとメルトダウンのような重大な事故になります。核融合発電では、反応を起こすために制御が必要であるため、制御を失うと反応が自動で停止する仕組みになっています。従来型の原発は「核分裂」で発生するエネルギーを使うのに対し、「核融合」はその逆の反応を発生させてエネルギーを生み出します。
従来型の原子力発電では数万年単位で管理が必要な高濃度放射性廃棄物が発生しますが、核融合発電では数十年〜100年程度の管理で済む核廃棄物しか発生しません。
核融合科学研究所によれば海水3Lとリチウム0.3gだけで日本人1人あたりの年間電気使用量分の発電が出来るとされています。わずかな資源から膨大なエネルギーを得ることが出来る革新的な技術と言えますがそれ故、実用化への道のりも険しいことが課題と言えるでしょう。
火力発電進化系(アンモニア、水素)
メリット | デメリット・課題 |
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既存の火力発電設備を活用できる 再生可能エネルギーの活用に貢献する CO2排出量を削減できる |
発電コストが大幅に高くなる 燃料の供給網の整備が必要 |
従来の火力発電の燃料として、水素やアンモニアを使用することが検討されています。水素やアンモニアは燃焼時にCO2を発生しないため、火力発電のCO2を削減する技術として注目されています。
既存の火力発電所の設備を活用することが出来ます。アンモニアや水素を単体で燃やす「専焼」のほか、石炭火力所のボイラーで石炭と一緒にアンモニアを燃やしたり、LNG火力発電所で天然ガスと水素を混ぜて燃やす「混焼」も検討されています。
アンモニアや水素自体は燃焼時にCO2を発生しない一方、それらを製造する過程でCO2が発生する場合があります。再生可能エネルギーによる発電が余剰になったタイミングで水を電気分解し水素を作ることも検討されていますが、製造コストは大幅に高くなります。
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