全然盛り上がっていません
2016年4月から始まった電力自由化。制度が始まればどんどん盛り上がっていくだろう、と予測していた関係者は多いですが、実際は全くその逆となってしまいました。「盛り上がっていない」根拠と、その原因を説明します。
盛り上がっていない根拠
定量的な根拠を挙げていきます。
Googleの検索回数
上のグラフは、Googleで「電力自由化」と検索された回数の推移を示すものです。Google トレンドという、グーグルが公式に提供しているサービスから引用しました。
グラフを見て分かる通り、4/2以降から検索回数が急減し、低調に推移していることがわかります。「電力自由化」以外の関連ワードも、軒並み低調といえる状況です。
当サイトのアクセス数
1月以降、月間100〜110万PVで推移していましたが、4/2以降は4割減のペースで推移しています。若干、モチベーションにも影響が出てきている状況です(´・ω・`)
私のサイトだけアクセス数が減っているのかと思いきや、ある情報源からの話によれば、他の「電力比較サイト」はもちろん、新電力各社のサイトも同様にアクセス数が低迷しているところが多いそうです(ちょっと安心)
切り替え件数
電力自由化では、電力広域的運営推進機関というところが電力会社の「切り替え」の手続きの仲立ちをしています。この機関の発表によれば、4/8時点で電力会社を切り替えた(スイッチング)件数は全国で57万7700件。全国の世帯数は5011万(平成25年)ありますから、切り替えたのは全体の1.1%ということになります。
電力自由化のデータ(切替件数)
なぜ盛り上がっていないのか?
続いて、なぜ盛り上がっていないのか、私の考察です。
制度が正しく理解されていない
「大きいところの方が安心」と考えている人が多いことが、乗り換えを妨げていると感じます。実際はどこを選んでも同じ(←停電などのトラブルについて)であるわけですが、そう言われても不安になるのは私も同じです。第一陣として乗り換えた人たちが「何も変わらない」ということを証明してくれれば、徐々に警戒心が解けていくのではないでしょうか。また、政府による広報も欠かせません。
高齢化
我が国は人口の26%を高齢者(65歳以上)が占めています。
歳を取ると、新しいものを受け入れる能力が低下する、というのは多くの人が知るところだと思います。電力自由化という新しい制度を受け入れられない高齢者も多いのではないでしょうか。また、電力自由化についての情報収集をするにはインターネットを活用するのが便利ですが、総務省「情報通信白書」によれば70代のネット普及率は48.9%、80代は22.3%となっています(全世代では82.8%)
恩恵のある世帯が限られる
多くの新電力は、電気を使う量が多い世帯の「お得率」を高くしています。一方で一人暮らし世帯のように、使用量が少ない世帯ではこれまでより割高になる料金設定をしている新電力も少なくありません。また、一人暮らし世帯に多い20Aの契約自体を受け付けていないところがほとんどです。
我が国の世帯数の内、26.5%(厚労省:国民生活基礎調査-H25年)が単身世帯です。約4分の1の世帯には、電力自由化の恩恵がほとんど無い、ということになります。
地方への参入企業が少ない
現在、競争が活発に行われているのは首都圏(東電管内)と関西圏(関電管内)だけです。冒頭で紹介した電力広域的運営推進機関のスイッチング件数を見ても、この2地域が全体94.2%を占める、という有様です。
傾向として都市部の方が世帯人数が少なく(一人暮らしが多い)、一方で地方の方が世帯人数が多いことは各種統計を見ても明らかです。世帯人数が多く、電気の使用量が多い地方部への拡がりが今後の鍵になるでしょう。
比較サイトの怠慢
自由化に向けて既に料金プランを発表している電力会社の数は67社(私しらべ、4/16時点)あります。ですが、多くの電気料金比較サイトでは、せいぜい38社とか35社くらいしか掲載していません。本当はもっと選べる会社、もっと安い会社があるのに、それが「シュミレーション」の結果に出てこないために乗り換えを諦めてしまった人は少なくないのでは、と私は思います。公平中立を謳うなら、全社掲載するのが筋でしょう。
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