市場連動プランの電気代高騰をピークシフトでは乗り切れない理由

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「市場連動型プランはピークシフトで電気代が安くなる」の誤解


 市場連動型の電気料金メニューの宣伝でよく見かける「ピークシフトで賢く使うと電気代が安くなる」という文言。実はこれは空想に過ぎない、という話を過去数年に起きた出来事を元に解説します。



ピークシフトで節約できるという宣伝が見受けられる


 市場連動型プランを提供している新電力の多くが、電力取引価格の動向を見て電気を「賢く」使うことで電気代の節約が可能であるとの旨の宣伝を行っています。


 市場連動型プラン(30分単位で電力取引価格が変動するもの)は30分単位で電気料金の単価が変動するため、取引価格が高い時間帯を避けて安い時間帯に電気の使用を「シフト」するピークシフトを行うことで、電力使用量が同じでも電気代を引き下げることが出来ます。


 ですが中長期的な視点で見ると、残念ながら日々のピークシフトによる努力はひとたび電力取引価格高騰が起こると一瞬にして吹き飛び、また電力取引価格高騰時にはピークシフトは意味を成さないものとなります。以下、過去数年に実際に起きたことを元に解説します。


ピークシフトでは取引価格高騰を乗り切れない


 ピークシフトでは電力取引価格高騰を乗り切ることが出来ません。過去数年の事例をもとに解説します。


取引価格高騰は月単位で発生することもある


 過去に発生した電力取引価格高騰は月単位で発生しています。


 例えば2021年秋から起きた電力取引価格の高騰は2023年春頃まで断続的に継続しました。


2022年の電力取引価格


 また、2020年末から翌2021年1月末までの間、1ヶ月にわたり電力取引価格の暴騰が発生しました。


2021年1月の電力取引価格高騰


 以上のように、電力取引価格の高騰は「月単位」で発生することもあります。


1ヶ月単位でのピークシフトは「不可能」


 2022年前後の長期に及ぶ電力取引価格高騰局面では、太陽光発電により電力供給に余裕がある時間帯の取引価格が安い局面もありました。このような場面でピークシフトに全力で取り組むことで電気代を「多少は」抑制できた可能性はありますが、特に東日本エリアでは大手電力標準メニューよりも電気代を削減することは難しい状況でした。


2021年1月15日の電力取引価格


 また、2021年1月の電力取引価格高騰では1ヶ月にわたり、24時間どの時間帯も電力取引価格が高い状況が続いたため、ピークシフトによる電気代削減は「不可能」でした。どの時間帯に電気を使っても、電力取引価格は通常の数倍以上という水準であったからです。このタイミングで市場連動型プランを利用していた場合、平均的な一般家庭では大手電力標準メニューと比較して電気代が4倍以上にのぼります。


日常的なピークシフトすら節約効果は怪しい


 そもそも日常的な「ピークシフト」でさえも、効果は限定的です。実際に30分市場連動型プランを利用した経験をふまえて解説します。


AI制御蓄電池が無いと効果は限定的


 我が家で実際に30分変動の市場連動型プランを約4ヶ月間利用しました。電力取引価格を毎日確認し、以下のことを行いました。



 最初の数日は上記に加え、エアコンの設定温度の調節も行いましたが面倒かつ快適性が損なわれたため早々に断念しました。


 実際にピークシフトを実践した結論としては、特に同居人がいる場合はピークシフトできる余地が大きくない点と、ピークシフトを手動で実践するのは「かなり面倒」でした。


ドラム式洗濯機でピークシフト


 電力取引価格を毎日チェックするだけでも、決して小さくない手間が発生しますしピークシフトを実践したところで、ドラム式洗濯機の洗濯乾燥運転で1回あたり10円未満の節約(運転1回1kWh、電気代単価10円差とした場合)になる程度ですから、労力に見合っていないと感じました。


 既に登場しているAIによる自動制御が可能な家庭用蓄電池では、電力取引価格などをふまえて自動で充放電を行う機能があります。現状の蓄電池の価格では初期費用を回収するだけの節約効果を得ることは不可能と言われていますが、今後蓄電池の価格が下落していくことでこのような自動制御の蓄電池によるピークシフトによって経済的メリットを得られる時代が訪れるかもしれません(ただし電力取引価格高騰が発生するとメリットは一瞬にして消し飛ぶ)




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