個人情報を売買している比較サイトがある
入力された個人情報を、顧客名簿として電力会社などに販売している「電気料金比較サイト」があることが判明しました。実際の利用規約や、国が公開している資料をもとに詳しく解説します。
目次
内閣府の資料に驚きの事実を発見
まずは、私がこの問題を知るきっかけとなった、内閣府のサイトに掲載されている資料を紹介します。
個人情報の売買で収益を得る電気料金比較サイト
比較サイト運営事業者の収益モデルは、ユーザーが比較サイト内で入力した個人情報を小売電気事業者に提供した件数で手数料が発生するケースと、比較サイト内で契約を締結した件数で手数料が発生するケースがある。
手数料の発生については、ユーザーが電力比較サイト内で入力した個人情報を事業者に顧客名簿として送信した件数で手数料が生じる場合と、契約を締結した件数で手数料が生じる場合があり、これは契約内容に依存する。(比較サイト運営事業者B 社)引用元:電力・ガス比較サイトの現状把握と課題抽出のための調査報告書 P.5(内閣府)
こちらは、内閣府が民間企業に委託して行われた調査報告書の内容です。電力・ガス比較サイトの問題についての調査の中で、実際に比較サイト数社にヒアリングを行って作成されたようです。
ここには、ユーザーが入力した個人情報を、比較サイトが外部の事業者に提供して手数料を得ている、と書かれています。
某比較サイトの利用規約を確認してみよう
では、実際にどのようなことが行われているのか、主な電気料金比較サイトを調べてみました。
個人情報を外部提供するとの記載があった
当サイトも含めて、ほとんどの電気料金比較サイトは、料金シミュレーションを行う際に個人情報の入力を必要としません。ですが、上場企業が運営する2サイトについては、試算をする際に氏名や住所、電話番号などの個人情報の入力が必要でした。
その内の1社の利用規約には、このように書かれています。
SBIホールディングスは、お客様に対して本サービスを提供するにあたり、必要となるお客様の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、その他本サービスを提供するウェブサイトにおいてお客様にご入力いただいた情報(以下、「個人情報」といいます。)を取得しますが、これらの個人情報は以下の目的で利用させていただきます。
[1] 第2条第1項第3号に基づき、SBIホールディングスから提携先電力会社に対して保護措置を講じた上で、当該提携先電力会社にお客様の個人情報を提供するため
(中略)
お客様は、第2条第1項(2)(3)所定のサービスを利用した場合、当該電力会社からお客様に対して直接連絡がなされる場合があることをあらかじめ同意するものとします。引用元:電力比較サービス(インズウェブ)
入力された個人情報は、提携している電力会社に提供しますよ、電力会社から連絡が来ることに同意してくださいね、と書かれています。
規約に書いてあるので法的問題は無いが・・
利用規約にしっかりと記載されているため、法的には何も問題は無いと言えるでしょう。
しかし、とても小さな文字で書かれた「利用規約」を読んでいるユーザーがどれだけいるのか、という点には不安もあります。また、個人情報を売ることで収益を得ていることを明示している電気料金比較サイトは、残念ながら見当たりませんでした。
また、個人情報が「どこに」提供されるのか明示されていない点についても、不安を覚えます。
電気料金の試算に個人情報の入力は必要か?
電気料金の比較シミュレーションをする際には郵便番号、電気使用量、世帯人数などの情報は必要ですが、住所や氏名は必ずしも必要とは言えません。
情報を一度入力すればそのまま電気の契約の申込みが出来る点では、利用者にとっても利便性はありますが、契約しない電力会社にも自分の個人情報が渡ってしまうことについては、不安もあります。
こうした問題は電気料金比較サイトに限らず、引っ越し会社比較サイトなどにも言えることです。個人情報の保護はユーザー自身が日頃から注意するしか、対策は無いと言えるのかもしれません。
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