不景気に弱い新電力、強い新電力

電力は景気変動に強いイメージがあるが・・


 電力会社は景気動向の影響を受けにくいイメージがありますが、それは規模が巨大で、様々な顧客を抱えている大手電力会社の話です。新電力について見ると、中には景気動向に業績が左右されやすいとみられる企業もあります。詳しく解説します。



不景気に弱い「法人向け」


 新電力の中でも特別高圧・高圧といった業務用の電力の販売を中心に手がけているところが少なくありません。そうした新電力は景気動向の影響を受けやすいと言えます。


経済活動の停滞で減る電力需要


 業務用の電力の需要は、景気動向に先立って減少を見せることが多いとされています(参考:東京電力 大口電力カーブ


 商品が売れなければ、その商品を生産する工場の機械の稼働時間は短くなります。あるいは業務が少なくなれば残業が減り、事務所の稼働時間も短くなります。そうやって不景気の際には業務用の電力需要が減少します。


不景気で工場の稼働が止まる

不景気は工場の電力需要を減らす

 電力会社にとって電気の消費量は売上に直結するため、電気が使われなくなることで売上が減少します。新電力の中には法人用の特別高圧・高圧電力、あるいは中小の店舗や事務所向けの低圧電力に特化しているところも少なくないため、そうしたところは影響を受けやすいでしょう。


取引先の倒産や事業所の廃止も


 契約先の企業が倒産し、料金の未納が発生したりあるいは工場や店舗などの閉鎖でお客さんの数を減らす新電力も出てくるでしょう。


 特に法人用の電力は毎月の電気料金が数十万円、あるいは数百万円を超えることも珍しくないため、倒産による未納、回収不能になることで少なくない痛手が発生します。


不景気に強い家庭向け


 景気動向に左右されやすい法人向けに対し、家庭向けの電力は手堅く推移するでしょう。


不景気でも減りにくい家庭の電力需要


 生産の停滞に伴い減少する法人向けの電力需要に対し、家庭向けの電力は景気動向の影響を受けにくいとされています。


 大和総研の調査をもとに2006年に発売された「サザエさんと株価の関係」では、サザエさんの視聴率が上がると株価は下がることを過去のデータをもとに表し、その原因を景気が悪くなると日曜夕方の外出を控え、在宅時間が長くなるためではないかと指摘しています。


不景気で伸びるサザエさんの視聴率

景気が悪化すると伸びるサザエさんの視聴率

 外出するとお金を使ってしまうため、景気が悪くなると外出を控える人が増えるというのはイメージしやすいでしょう。在宅時間が長くなればその分、家庭での電力需要が増えるため、家庭向けを中心に手掛ける新電力の売上が増えるという構図です。


 更に最近はテレワークの導入も進んでおり、この点でも家庭向けの新電力にとって追い風となります。


高まる節約意識


 電力自由化で参入した多くの新電力は、大手電力よりも電気代が安くなる点をメリットとしてアピールしています。消費者側も、電力会社を切り替えるメリットとして最も多くの人が電気代の削減を挙げており、電気代の削減効果が認知されているようです(電力小売全面自由化広報フォローアップ調査 P.50)


 景気が悪化する中では節約意識が高まるため、電気代の節約メリットを提供している新電力にとっては追い風となります。


コストの削減も進む


 景気が悪化する中では、新電力のコスト削減が進む側面もあります。


 世界の景気が悪化するのに伴い、石油や天然ガスなどの資源価格も下落することがしばしばあります。そうした資源価格の下落により、発電コストが下がる効果が期待できます。もっとも、日本の多くの電力会社(新電力を含む)では燃料価格を利用者に転嫁する燃料費調整制度を導入しており、それが大きく収益を左右することが無いようになっており、この点では直接的な影響は少ないでしょう。


卸電力取引所の取引価格

乱高下する卸電力取引所の取引価格

 ただし、多くの新電力が電力の調達を頼っている卸電力取引所からの調達価格については、不景気により下落が見込めます。法人向けの需要が減少することで需給が緩み、取引価格が下がることが見込めます。取引価格の高騰に苦しんでいる新電力が少なくないと言われており、取引価格の下落には小さくないインパクトが期待できます。最も、このメリットは法人向けを得意としている新電力も得られるものです。




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