新電力から大手電力に戻す方法を実体験を交えて解説します
新電力の値上げや撤退など、様々な理由により東電や関電といった「大手電力」に契約を戻したい人のために、実際に新電力から大手電力に戻った私が手順を分かりやすく解説します(一般家庭や小規模な店舗・事務所向けの記事です)
目次
新電力から大手電力に戻すことは可能です
まず前提として、新電力から東電や関電といった大手電力会社に戻ることは可能です。
法律によって提供が義務付けられている
東京電力や関西電力、中部電力といった電力自由化以前に電力供給を独占していた大手電力会社は、電気事業法という法律により「供給義務」を課せられています。
この供給義務は2020年に廃止される予定でしたが、大手電力のシェアが引き続き高いことなどから継続されています。そのため、一度新電力に転出した場合であっても、大手電力会社に契約を戻すことは問題無く可能です。実際、私も契約していた新電力が突然「事業撤退」を発表してしまい、東京電力に契約を戻した経験があります。その経験をふまえて、実際の手続きの手順や用意する必要があるものを分かりやすく解説します。
新電力から大手電力に戻す具体的な方法・手順
新電力から大手電力に契約を戻す方法を、実体験に基づき解説します。
大手電力に申し込みをするだけ
大手電力に契約を戻す際には、大手電力に申し込みを行うだけで完了します。現在契約している新電力会社に対し、解約手続きを行う必要は基本的にはありません。大手電力から新電力に移った際にも、大手電力に対し解約手続きは行っていないはずです。それと同じことです。
手続きに必要なものは?
手続きに必要な情報は主に以下のとおりです。
- 契約者名義、住所など
- 供給地点特定番号(22桁の番号)
- 現在契約している新電力の「お客様番号」
これらの情報が必要になります。いずれの情報も、現在契約している新電力のウェブのマイページや、マイページなどで確認できる請求書、契約時に交付された書面などに書かれています。これらの情報を手元に用意した上で、次に利用する電力会社に申し込み手続きを行ってください。
- 関連記事
- 供給地点特定番号の調べ方
詳しく解説
一部の大手電力はネット受付不可の場合も
大手電力の中には、最もベーシックな「従量電灯」プランの申し込みをネットでは受け付けていないとみられるところがあります。
私が2022年春に新電力から東電に切り替えようとした際、東電の公式サイトをいくら見ても従量電灯プランの申し込みフォームが見当たらず、電話で申し込みを行いました。以前取材していただいた週刊誌記者の方も、2022年秋に新電力から東電に切り替えようとした際に同じように従量電灯の申し込みフォームが見当たらず電話で申し込みをしたと言っていました。
大手電力でもネットで従量電灯プランの申し込みが出来るところはあるようなので、まずは各社の公式サイトをよく探してみてください。電話での手続きは電話が繋がるまでに15分以上掛かることも珍しく無く、時間が掛かります。特に引っ越しシーズンにあたる1〜3月は電話がより繋がりづらくなるので、時間に余裕をもって手続きをしてください。ネットで出来る場合はネットで手続きした方が断然スムーズです。
ネットから申し込める場合でも、切り替えの「期限」まで時間が無い場合など(例えば契約していた新電力が倒産した場合など)は電話で手続きをした方が安全です。ネットの場合は切替日を1ヶ月先などの日付しか指定できない場合があります。
大手電力に戻す際の注意点
新電力から大手電力に戻す際に注意すべき点をまとめます。
自由化向けプランではなく従量電灯を推奨
東電や関電といった大手電力では、「自由化向けプラン」と「従量電灯」(規制料金)の2種類の料金プランを提供しています。
従量電灯は経産大臣の認可を経て提供している(供給義務がある)料金プランで、自由化向けプランは電力会社で自由に条件を決めて提供している料金プランです。どちらも燃料の輸入価格の変動を電気料金に転嫁する「燃料費調整制度」を採用しており、計算式も同じである場合が多いですが、従量電灯プランの燃料費調整には「上限」があるのに対し、自由化向けプランの燃料費調整には上限が無いのが一般的です。
燃料費調整単価 2023年4月分 |
電気代の差 月300kWh | |||
---|---|---|---|---|
上限あり | 上限無し | 差 | ||
北海道電力エリア | 3.66円/kWh | 8.57円/kWh | 4.91円/kWh | 1473円 |
東北電力エリア | 3.47円/kWh | 11.80円/kWh | 8.33円/kWh | 2499円 |
東京電力エリア | 5.13円/kWh | 10.25円/kWh | 5.12円/kWh | 1536円 |
中部電力エリア | 5.36円/kWh | 9.93円/kWh | 4.57円/kWh | 1371円 |
北陸電力エリア | 1.77円/kWh | 9.34円/kWh | 7.57円/kWh | 2271円 |
関西電力エリア | 2.24円/kWh | 9.67円/kWh | 7.43円/kWh | 2229円 |
中国電力エリア | 3.19円/kWh | 13.77円/kWh | 10.58円/kWh | 3174円 |
四国電力エリア | 2.55円/kWh | 10.76円/kWh | 8.21円/kWh | 2463円 |
九州電力エリア | 1.94円/kWh | 7.56円/kWh | 5.62円/kWh | 1686円 |
沖縄電力エリア | 3.98円/kWh | 17.32円/kWh | 13.34円/kWh | 4002円 |
2022年以降、燃料費調整が上限に達している地域が多いため、上限がある従量電灯プランの方が上限が無い自由化向けプランよりも電気代トータルで見て安くなっています。自由化向けプランではなく、従量電灯を申し込むことを推奨します。
過去のオール電化プランの再契約は不可
オール電化住宅にお住まいで、過去に大手電力のオール電化プランを利用していた人は、以前利用していたプランに戻ることが出来ないケースがあります。
主に2016年以前に新規加入を受け付けていた料金プラン(東電の電化上手など)は、現在新規での加入受付が終了しています。過去に契約していた人であっても、再加入は出来ません。
その場合は大手電力の「現在の」オール電化プランか、一部の新電力が提供しているオール電化プランを申し込んでください。