「真夏の電力不足」が過去のものになりつつある意外な理由

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真夏の電力不足は過去のものに?


 一年でも最も電力需給が伸びる真夏と真冬。言うまでもなくエアコンの利用が増えることがその原因ですが、ここ数年は真夏の電力不足が解消されつつあるという事実があります。その背景にある意外な理由を解説します!





夏の電力不足は過去のものに?


 まずは、夏の電力不足が過去のものになりつつあると言える根拠を紹介します。


3年連続 夏の節電要請は見送りに


 2011年の東日本大震災以降、毎年夏と冬に政府から出されていた「節電要請」ですが、夏に関しては3年連続で「見送り」となっています(2015年が最後) ちなみに、冬の節電要請も2016年が最後となっています。


電力需給の見通し 2018年夏

2018年夏の見通し 出典:資源エネルギー庁

 節電要請を実施するか検討する根拠に、電力需給から予想した電気の「予備率」というデータがあります。需要に対して、どれだけの余裕を持って供給できるか予想したデータです。


 予備率は3%を下回ると危険とされていますが、資源エネルギー庁のデータによれば2018年夏の見通しは東日本で4.4%以上、西日本・中部で6.7%以上と以前と比べると余裕がある状況です。


8月21日追記
 今夏は全国的に記録的な暑さに見舞われていますが、それでも7月頭に書いたこの記事のとおり「電気は足りている」状況が続いています。世耕経産大臣も7月24日時点で「今、節電をお願いする状況には全くない」と発言しており、記録的な猛暑の中でも電力不足の心配は解消されています。


夏の電力不足が緩和された意外な理由


 あれだけ電力不足が騒がれていたにもかかわらず、今はピーク時でも若干のゆとりが生まれたのか。その意外な理由を紹介します。


○○○発電が増えた


 夏の電力不足が解消された理由の一つに、太陽光発電の増加が挙げられます。


 東日本大震災以降、急速に導入が進んだ太陽光発電。発電量が天候に左右されやすいといった欠点が指摘されていますが、真夏の電力供給との相性は良いです。


太陽光発電が増えて夏の電力不足が解消


 夏の電力消費が多いのは、気温が高い昼過ぎです。この時間帯は、太陽光発電がたくさんの太陽光を浴びて、さかんに発電している時間帯でもあります(発電量のピークは正午ごろ)


 日経エネルギーの記事でも、このように解説されています。


日中に発電量が増大する太陽光由来の電気を使って、揚水発電用のダムや貯水池に水を汲み上げる運転を行っている。それでも太陽光による発電を吸収しきれず、火力発電の出力を下げている。家庭などでは太陽光発電の自家消費も行われており、その分、電力需要が減少する。つまり、電力は余剰気味の需給状況になっていると推測できる。

引用元:今夏の電力市場は「太陽光相場」に(日経エネルギー)

 ただし、同じ記事でも指摘されているように曇りの日は発電量が大きく低下するため、注意が必要です。また、発電量が落ち込む夕方に電力需給が逼迫するという新たな問題も生まれています。


原発の再稼働が一部で進んだ


 九州電力、関西電力管内では一部の原子力発電所が再び稼働を始めています。


 原発は一基あたりの出力が大きいため、一部でも再稼働が進むことで電力供給を増加させる効果が大きいです。


原発再稼働も電力不足解消の要因


 冒頭で紹介した資源エネルギー庁の資料でも、原発の再稼働が進む西日本の「予備率」が高く、ゆとりがあることが見て取れます(九州は太陽光発電の導入量も多い)


 ただし、九州電力の瓜生社長が「6〜7年止めているので(再稼働した原発に)何があるか分からない」と発言したように、再稼働した原発がトラブルで停止するなどして、電力需給が逼迫するリスクや、住民訴訟により停止する可能性があります。


省エネ化が年々進んでいる


 これまで供給サイドの要因を3つ紹介しましたが、それに加えて電気を「使う」側の要因もあります。


省エネの進歩も電力不足解消の要因


 省エネ技術の進歩や人口減少などの理由により、日本全体の電力消費量は減少を続けています。特に東日本大震災以降は節電意識が高まったことで、大幅な減少を見せており、2010年度と比べて2015年度は10.2%も減っています。




冬の電力不足は今後も課題として残る


 1年で最も電力需給が逼迫するのは「真夏の昼過ぎ」だけではありません。「真冬の夕方」にも注目してみましょう。


夏は大丈夫でも冬が厳しい理由は?


 2016年度以降、冬の節電要請は見送られています。しかし、例えば東京電力管内では2018年2月に使用率が99%と逼迫した状態に陥っており、天候や発電所の状況によっては夏よりも厳しい状況が続いています。


 冬の電力需要が伸びるのは、自宅時間帯である夕方から夜にかけて。その時間帯は太陽光発電による底上げも期待できません。


薪ストーブ


風力発電の導入促進も対策になる


風力発電が冬の電力不足を救う?


 夏の電力不足解消の一因が急激に増えた太陽光発電であるというのは記事の前半で紹介したとおりですが、実は冬には「風力発電」が効果を発揮する可能性があります。


 風力発電は冬に発電量が伸びる特性があります。これは冬に風が強く吹くことが理由で、特に年間でも12〜3月頃が発電量のピークとなる風車が多いです(一方、夏は発電量が落ち込む)


 今後風力発電の導入が増えていくことで、冬の電力不足も緩和されるかもしれません。




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