地味に痛い「再エネ発電賦課金」
毎月の電気代の支払いに含まれている「再エネ発電賦課金」 一般家庭の負担額は毎月870円(使用量:300kWhの場合)と、日々の節約に励む人にとって決して無視できない金額です。
では、そんな再エネ発電賦課金を安くする方法は無いのか。制度上の仕組みを解説した上でアドバイスします。
目次
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同じく電気代に加算されている費用です
そもそも再エネ発電賦課金とは?
まずは再エネ発電賦課金が何のための費用なのかを簡単に説明します。
再エネの導入を増やすための制度
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、国の制度により電気代と一緒に徴収されている費用です。
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーは、導入コストが高いため何もしなければ導入が思うように進みません。そうした再エネの普及を促進するため、再エネで発電された電気を「大幅に高い値段」で買い取る固定価格買取制度というものがあります。
この固定価格買取制度で、再エネを発電した人から電気を「高値」で買い取るために、国民全体で負担しているのが「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。
分かりやすくいうと、自宅にソーラーパネルを設置した人に皆で毎月少しずつお金を払っている、というイメージです。
使用量に応じて一律に課金される
再エネ発電賦課金は、法令により全国一律の「単価」が決まっています。使った電気の量にこの単価を掛けて金額が決まります。
ちなみに2018年度の単価は1kWhあたり2.9円。
冒頭でも紹介したように、月300kWhの電気を使う標準的な家庭では、毎月870円/年間10440円!という金額になります。
単価は年々上昇中 今後の見通しは
再エネ発電賦課金は、再エネの導入が進むにつれて年々上昇を続けています。
制度が始まった2012年度には1kWhあたり0.22円でしたが、6年で10倍以上にまで上昇しています。
電力中央研究所の試算によると、2030年度の日本全体の賦課金は3.6兆円になる見通し。2017年度には2.1兆円だったので、更に大幅な値上がりが予想されています。
環境省の試算によると2030年頃まで再エネ賦課金は上昇を続けるものの、それ以降は急激に価格が下落していく見通しが示されています。また、2023年度は初めて値下げされます。
再エネ発電賦課金を安くする方法
では、そうした再エネ発電賦課金による「痛み」をやわらげる方法は無いのでしょうか。
唯一の方法は「節電」
家庭で負担する再エネ発電賦課金を安くできる唯一の方法は「節電」です。
前述のとおり、請求される賦課金の額は「単価×電気の使用量」で決まります。単価は法令で定められていて変えられないので、使用量を減らすことで賦課金の負担を安くすることができます。
例えば50Wの白熱電球を8WのLED電球に変えた場合、賦課金で年間446円、電気代で3931円の節約になります。(1日10時間使用 電気代は26円/kWh)
新電力でも賦課金は同額です
新電力に切り替えたら再エネ発電賦課金は払わなくていいのか、というのはよくある疑問です。
残念ながら、賦課金の単価はどの電力会社を使っても同じなので、賦課金の額も使用量が同じならどの電力会社でも一緒です。
自宅で発電するという選択肢も
再エネ賦課金は電力会社から電気を購入する際に発生します。電力会社から電気を購入しなければ、再エネ賦課金は発生しません。
完全に自給自足というのは難しいですが、自宅に太陽光発電や家庭用燃料電池エネファームを設置することで、再エネ賦課金の支払額を減らすことが出来ます。太陽光発電を設置して売電すれば、自分自身が再エネ賦課金の恩恵を直接受けることも出来ます。
最近は太陽光発電システムを「無料」で設置できるサービスも登場しています。
再エネ発電賦課金の意外なメリット
再エネ賦課金を払いたくない、高すぎるという声もチラホラと聞かれます。また、他人が儲けるための費用を負担させられるのは我慢ならない、と考える人もいるでしょう。
再エネ賦課金を負担する「メリット」を紹介します。
見えないメリットも
再エネ賦課金を負担することで、分かりづらい形でメリットもあります。
例えば国連国際防災戦略事務局によれば、直近20年間に日本国内で発生した「気候変動」による損失は41兆円と試算されています。国民一人あたり約34万円の計算です。
例えば火力発電で電気を作るには、1kWhあたり300〜800gのCO2を排出しますが、再エネの場合「ゼロ」です。再エネの普及が進み、CO2の排出量が減少することで気候変動(地球温暖化など)による被害が減少する効果が期待できます。
また、再エネは国内での雇用創出効果も期待されています。環境省の推計では2030年時点で維持管理だけでも7.6万人、設置・工事では28.6万人の雇用を生むとされています。特に経済的に疲弊している地方での雇用創出効果が大きいです。
いずれも体感しづらいメリットですが、支払った再エネ賦課金の全額が自分にとっての「損失」になるわけではありません。巡り巡って、いくらかは戻ってくると考えると、実質的な負担は額面よりも小さなものとなります。
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