台湾有事にそなえて今からやるべきことは?
懸念が高まる台湾有事。万が一現実のものとなった場合、日本で暮らす我々への影響は小さくないことが予想されています。今からやるべき「対策」をまとめます。
目次
懸念が高まる台湾有事
まずは台湾有事のリスクについて、新聞報道をもとにまとめます。
日本国政府の急な方向転換
日本国政府は台湾有事へのそなえを加速しています。
2022年12月には岸田首相が「防衛増税」を打ち出し、2027年度に1兆円強を確保し防衛力強化に充てるとしました。加えて2023年2月に行われた衆院予算委員会で岸田首相は米国製巡航ミサイル「トマホーク」を400発購入する方針を示すなど、防衛力強化を急速に進める姿勢を示しています。
対応が後手後手に周りがちな我が国政府が、これだけ迅速かつ矢継ぎ早に大胆な対応を打ち出しているということは、それだけ差し迫ったリスクがあるものだと捉えました。
日本への影響も避けられない
万が一、台湾有事が現実のものとなった場合、日本への影響も避けられないとされています。輸出入の停滞による経済活動の押し下げだけでなく、直接的な軍事的被害も以下のように試算されています。
死傷者 | 艦船 | 航空機 | |
---|---|---|---|
自衛隊 | 2500人 | 15隻 | 144機 |
米軍 | 10700人 | 19隻 | 400機 |
台湾軍 | 13000人 | 18隻 | 200機 |
中国軍 | 40000人以上 | 156隻 | 252機 |
上記は2023年2月23日の日本経済新聞に掲載された台湾有事の際の被害想定です。笹川平和財団が出した想定で、2026年に中国軍が台湾上陸を試みるところを起点としたものです。
この想定では戦闘は2週間あまりで収束し、中国による軍事制圧は避けられるという結果になったとのことですが、日本国内にある基地も攻撃を受けることで民間人を含めた死傷者が発生するとされています。
このように台湾有事が現実のものとなってしまった際、日本国内への影響は小さなものではありません。
物資の備蓄を進める
台湾有事にそなえた物資の備蓄を進める必要があります。
食料品の備蓄
まずは人が生きていく上で欠かせない、食料品の備蓄が必要です。地震への対策としては「最低3日分」、できれば1週間分が目安とされています。南海トラフ巨大地震のような巨大地震では1週間分の備蓄が望ましいとされています(内閣府) 台湾有事でも同様に、最低でも1週間分は最低ラインとなるはずです。
普段の食生活では食べない「非常食」を1週間分以上用意してしまうと、賞味期限が切れた時の処分に困ります。普段から食べている、食べられるような保存の効く食料品を中心に備蓄しておくのがおすすめです。具体的には以下のようなものがおすすめです。
- 飲料水・ペットボトル飲料(1人・1日3L)
- パックご飯
- 切り餅(おすすめ!)
- アルファ化米
- インスタントのスープ・味噌汁
- カップ麺
- 缶詰(フルーツもおすすめ)
- パウチゼリー
- パウチの豆、コーン、フルーツ
- 保存用菓子 ビスコ、羊羹
飲料水を普段ペットボトルで飲まない家庭では、備蓄用に賞味期限が長く設定されている「保存用水」がおすすめです。一般的なものよりも少々高いですが、入れ替えのコスト(費用・手間)を考えると安く済むはずです。水だけでなく、お茶やジュースもあると飽きが来ないと思います。
我が家では切り餅を多めに備蓄しています。カセットコンロがあれば3分で出来上がりますし、焼く網さえあればお皿や箸が無くとも食べられるのでパックご飯やアルファ化米よりも調理しやすく、また普段から食べているので賞味期限切れのリスクも低く、おまけに値段も安いです。カップ麺に使うお湯を沸かす場合と比べてガスの消費量も少ないです。
また、パウチの豆やコーンもおすすめです。そのまま食べることができ、栄養もあります。普段から料理に使用していますが、缶詰よりもゴミの処理が楽なので良いです。日持ちもします。サバやイワシのパウチも常温でおいしくいただけるので、普段からお酒のあてに重宝します。紙パックのコーンもおすすめです。
生活必需品の備蓄
普段使用している、ありとあらゆる生活必需品を少し余分に持っておくことも重要です。例えば以下のようなものがあります。
- 薬
- 洗剤、シャンプー、トイレットペーパーなど
- 衣服
- 乾電池
ありとあらゆるものの輸入が停滞し、物資不足が1ヶ月以上続く恐れもあります。洗剤やトイレットペーパーなどは「無くなりそう」になってから買うのではなく、常に1本はストックしておくことをおすすめします。
また、電気やガス、水道などのライフラインが使用できなくなる事態も想定すると以下のものも最低数日分以上は備えておくと安心です。
使い捨ての紙皿などは断水によって食器洗いが出来なくなった時の対策です。100円ショップで購入すると安いのでおすすめです。食器にラップを張ることで紙皿の代用とすることも可能です。
携帯ラジオは携帯電話の通信が途絶えた際にも情報収集に使える可能性があるので、一家に一台常備しておくと安心です。2000円以下で購入できるものもあります。
創エネ・蓄エネ
台湾有事が現実のものとなった場合、どのような被害が発生するか事前に見積ることは難しいため、大地震によるライフラインの寸断・復旧の状況を参考にします(以下は東日本大震災発生時のもの)
復旧に掛かった日数 | |
---|---|
電気 | 3日後に約80%復旧 1週間で99%が復旧 |
水道 | 1週間で57%が復旧 3週間で99%が復旧 |
都市ガス | 1週間で9%が復旧 3週間で42%が復旧 |
電気は最低でも3日は使えなくなることを想定すべきです。
対策としては以下のようなものが挙げられます(対策しやすいものから順に)
- 乾電池を多めに用意する
- カセットコンロ
- モバイルバッテリー(スマホ用)
- ポータブル蓄電池
- ポータブル太陽光発電
- 屋根に太陽光発電を設置
- 家庭用蓄電池
乾電池は製造から年数が経つと液漏れしやすい点には注意が必要です。我が家では充電池を使用していますが、これは10年以上経っても液漏れがみられないので長期間使えます(ただし残量は少しずつ減っていくため年1回程度は充電が必要)
情報収集に欠かせないスマホの充電のためにモバイルバッテリーは手軽に用意出来ると思います。残量は少しずつ減っていくので1年に1度程度は充電しましょう。私は数ヶ月に一度点検しています。
ポータブル蓄電池はモバイルバッテリーよりも大きなバッテリーです。片手で持ち運びが出来る蓄電池です。ACコンセントを備えたものもあり、消費電力が大きくない家電製品を動かすことも出来ます(テレビ、扇風機など)
非常時には必要なサイズの乾電池が手に入りづらいです。電池スペーサーを常備しておくと、小さなサイズの乾電池を大きなサイズの乾電池として使用できるので災害用の備蓄としておすすめです。100円ショップで購入できます。
冬の停電対策にそなえて、電気を使わない暖房器具の備蓄もおすすめです。我が家ではカセットコンロのボンベだけで暖を取れるカセットストーブを備蓄しています。
生活スタイルを変えていく
生活スタイルを少しずつ変えていくことも重要です。
中国企業製通信機器やアプリの排除
中国政府は自国企業をコントロール下に置いています。例えば国家情報法という法律では、中国政府の求めに応じて企業や国民は諜報活動への協力が義務付けられています(朝日新聞)
昨今、欧州委員会や日本国政府が職員の業務用スマートフォンなどへのTiktokのインストールを禁じるなどの動きがあるのは、このような法律の存在が背景にあります。
「自分は重要人物ではないから、情報を抜かれても問題無い」と考える人もいるかもしれませんが、重要でない人物の情報をつなぎ合わせることで「重要人物」への諜報活動に活用することも可能です。例えばターゲットと定めた重要人物の「知り合い」を辿っていくことで、重要人物の知り合いになりすまして重要人物に対してウイルスメールを送付するといったことが可能になります(知り合いから届くメールは開封率が高い)
また、ネットワークに接続した機器は台湾有事が発生した際に遠隔操作によって使用不能になるリスクも想定しておくべきです。例えば日本中で一斉に中国企業製のスマートフォンが使えなくなったとしたら、日本の社会はたちまち混乱に陥ります。
優れた製品を多くの人に使ってもらいたいという思いで製品を作っている中国企業や国民は、いわば独裁体制の被害者と言えます。非難の矛先をそのような民間の企業や国民に対して向けることは絶対にあってはなりません。
省エネ化の徹底
台湾有事に発生により、エネルギーの輸入に支障が生じるリスクが高いです。あらゆるエネルギーを使う量を減らす、国内で自給できる体制を整えることが重要です。万が一エネルギーの輸入に支障が生じた際の対策を個人レベルで予め考えておくことも必要です。
国産品の購入を増やす
日本人の身の回りには、中国製の製品が溢れかえっています。中国製品が無ければ生活が成り立たないといっても過言ではありません。
台湾有事が発生せずとも、中国は輸出に規制を加え相手国を揺さぶることがあります。例えば日中関係の緊張が高まった2010年、中国は日本へのレアアースの輸出枠を前年と比べて4割削減する方針を打ち出しました。
海上・航空輸送の停滞による支障に加え、このような輸出規制も念頭に置いて、身の回りのものを出来るかぎり国産品で賄うように消費行動を転換していく必要があります。メーカーも原材料のサプライチェーンを見直し、輸入が停滞しても生産活動を継続できる体制を構築することが急務です。
避難場所・経路の確認
台湾有事では日本国内にある米軍基地なども攻撃の対象となると言われています。このような基地が身近にある場合も無い場合も、武力攻撃が発生した際の避難場所・避難経路を予めシミュレーションしておくことは「もしも」の時の生存確率を高めることに必要不可欠です。
爆発音が聞こえた、Jアラートや防災無線で避難が呼びかけられたといった異常が発生した際、間髪入れずに即行動できるようにシミュレーションしましょう。
市場連動型の電気料金プランの解約
2020年末から2021年1月にかけて約1ヶ月にわたり、LNG(液化天然ガス)の日本への輸入が滞りました。新型コロナウイルスの感染拡大により産ガス国側で輸出が滞ったことが原因とされています。
結果として全国でガス火力発電所が発電量を減らしたことで電力不足が発生。そして日本卸電力取引所における電力の取引価格が通常の5倍以上に暴騰しました。
このようなタイミングで「市場連動型プラン」と呼ばれる電気料金プランを契約していると、電気代が大手電力標準メニューの数倍以上に跳ね上がる恐れがあります。
台湾有事が起これば燃料の輸入価格上昇が発生し、市場連動型でない電気料金プランでも電気代が上昇します。ですが市場連動型プランの上昇幅は、一般的な料金プラン以上のものとなる場合があります。
信頼できる情報ソースを確保しておく
ロシアによるウクライナ侵攻の際にも、様々な偽情報が飛び交いました。ゼレンスキー大統領が投降を呼びかける「偽動画」がその代表と言えます。
このような偽情報に惑わされないためにも、平時から信頼できる情報ソースを複数確保しておくことが重要です。SNSなどを通じて意図的に偽情報を流されるリスクがあることは、平時から常に意識しておくべきです。
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