停電対策として出来ることは?
地震や台風など、災害によって引き起こされる停電。大規模な停電が長期化する事例も相次いでいます。家庭で出来る「停電対策」を紹介します。
目次
手軽に導入できる停電対策
まずは導入しやすい対策から紹介します。
乾電池
家電製品を動かす電源としては使えませんが、ラジオや懐中電灯など停電時に役立つ小型機器を動かしたり、あるいは電池対応のスマホ用充電器とセットで用意しておくと、スマホの充電にも利用できます。
乾電池とあわせておすすめしたいのが、「スペーサー」です。小さな電池を、大きなサイズの電池として使うためのアダプターです。単4を単3電池として使えたり、単2を単1として使えます。
災害時でも単4サイズなどの小さな電池は入手しやすい場合もあるので、スペーサーがあると役立つこともあると思います。東日本大震災直後の東京では単4電池だけ売れ残っているところが目立ちました。スペーサーは100円ショップでも買えます。我が家では単4→単3、単3→単2、単3→単1を常備しています。
なお、一般的な乾電池は長期間保管していると液漏れなどのトラブルを起こすことがあります。定期的に入れ替えるか、あるいはeneloopなどの充電式電池は液漏れしにくいので、おすすめです。我が家には10〜12年使用している充電式電池が何本もありますが、いずれも現役です。
カーインバーター
マイカーをお持ちの方におすすめしたいのがカーインバーターです。
車内のシガーソケットから電源を取って、家庭用の100V電源に変換する装置です。最大で300W程度の機器まで動かすことが出来ます。小型テレビやスマホの充電などに活用出来ます。
最近は車内にUSBの差込口を標準装備している車も増えていますが、もしもの時のために車にスマホ用の充電ケーブルを積んでおくと何か役に立つこともあるかもしれません。

モバイルバッテリー・ポータブル蓄電池
スマホの充電に使えるモバイルバッテリーも、停電への備えとして有効です。
注意点としては、フル充電の状態から長期間放置すると、徐々に放電して容量が減ってしまうので、定期的な充電が必要です。我が家では災害用に2台のモバイルバッテリーを備えていますが、毎月「1日」に充電するようにしています。
モバイルバッテリーよりも高価ですが、ポータブル蓄電池という製品もあります。
家電製品を動かす電源として使えるものもあるので、もしもの時に役立つかもしれません。容量が大きい分、価格は数万円〜と安いものではありません。

ポータブル太陽光発電
持ち運び出来る太陽光パネルもあります。晴天時の発電能力は最大60W〜120W程度と、家電製品を動かすには不足感がありますが、スマホの充電やモバイルバッテリー・蓄電池と組み合わせることで停電時に活用出来ます。
本体もコンパクトなので保管しても邪魔になりませんし、価格も1万円以下から購入出来ます。我が家でも1台常備しています。

お金は掛かるが効果が大きい停電対策
より大きな家電製品を動かしたり、あるいは家全体の停電を防ぐことが出来る対策を紹介します。
発電機
ポータブル発電機は価格が10万円前後から購入出来ます。コンセントを備えているので、炊飯器や電気ポットなど多くの家電製品を動かすことが出来ます。
ガソリンを燃料としているものが多いですが、カセットボンベで発電出来るものもあります。難点としては発電時に排ガスや騒音を出す点や、オイル交換などのメンテナンス、使用しない場合は月1回・10分程度の「試運転」が必要になる点があります。

PHV・電気自動車
PHV(プラグインハイブリッド)や電気自動車は、大容量の蓄電池を装備しており、非常用電源として役立ちます。オプション扱いになっていることが多いですが、車内の100Vコンセントで家電製品を動かすことが出来ます。プリウスPHVの場合、1500Wまで対応出来るので炊飯器や電気ポットなども難なく動かすことが出来ます。
また、電気自動車とあわせて「V2H」(ビークルトゥホーム)というシステムを自宅に導入することで、電池に貯めた電気を取り出して、自宅に供給することも出来ます。自宅を停電させない対策として役立ちます。ただし、費用はかなり高額です。
- 日産リーフ 約400万円
- V2H設置費用 100万円以上
日産リーフの電池容量は40kWh(62kWhモデルもある)なので、1日10kWhの電力を消費する平均的な家庭の4日分の電力をまかなうことが出来ます。また、燃料電池車トヨタ・ミライも水素が満タンの場合は60kWh程度を給電出来るので、6日分の電力を賄えます。
家庭用蓄電池
停電対策として真っ先に多くの人が思い浮かべるのが蓄電池です。日本でも徐々に導入が進みつつあります。電池の容量は5〜10kWh程度と、フル充電で一般家庭の使用量の約半分〜1日分をまかなえるものが一般的です。
難点としては設置費用が高価である点です。工事費を含めると最低でも150万円以上するのが一般的です。2020年春に国内で発売されるテスラ社製の蓄電池は低価格で知られていますが、工事費を含めるとやはり150万円以上掛かります。
太陽光発電システム
停電時でも発電を続けられる太陽光発電システムは、停電対策として非常に有効です。
多くの太陽光発電システムには、自立運転モードと言って停電時に非常用電源として使用できるモードがそなわっています。発電量にも左右されますが、専用のコンセントから最大1500Wの電源を取ることが出来るため、炊飯器や電気ポットのような消費電力が大きな家電製品を使える場合もあります。
また、蓄電池と組み合わせることで、夜間にも電力を使うことが出来ます。
設置費用は発電能力やパネルのメーカー、あるいは販売業者によって大きく異なりますが、150〜300万円程度が一般的です。ただし、売電収入や電気代の削減効果を得ることも出来るため、売電価格が下落した昨今においても「元が取れる」ことが珍しくありません。
同じメーカーのパネルでも、販売業者によって1.5倍程度の価格差が生じている、と経産省傘下の研究会が報告しており、一括見積りサイトで価格をよく比較することが重要です。
最近は太陽光発電システムを自宅に無料で設置できるサービスもあります。売電収入を得られない(設置業者が得る)代わりに、無料で設置することが出来るというものです。発電した電力を自宅で使用できるので電気代の削減メリットと、停電時には非常用電源として自由に活用できるものです。
電気以外の「熱源」も準備しよう
特に停電が長期化する場合は、蓄電池や太陽光発電があっても賄いきれない場合もあります。そこでおすすめしたいのが、エネルギー源の分散です。
カセットコンロ
停電時にはIHコンロが使えなくなるのはもちろん、都市ガスの供給が止まる場合もあります。そこでぜひ準備しておきたいのがカセットコンロです。
カップラーメンは常温の水でも作ることが出来ますが、とはいえ熱湯で作った方が遥かにおいしいです。カセットコンロがあれば熱湯を作ることが出来ますし、レトルト食品の温めや簡単な調理も可能です。
なお、プロパンガスを利用しているご家庭については、停電でもガスの供給は停止しません。ただし、地震や台風などで自宅が損壊している場合はコンロの使用が出来ない場合もあるので、やはりカセットコンロとボンベは備蓄しておくことが望ましいでしょう。

カセットストーブ
冬の時期の停電で困るのが、暖房の停止です。その対策として有効なのが、電気を使わない暖房器具です。
我が家でも一台備蓄していますが、カセットコンロで使用するボンベを燃料とする「カセットストーブ」は、小さいながらも狭い部屋で暖を取れるほどの暖房能力があり、寒さをしのぐことが出来ます。
あるいは、ファンヒーターではない石油ストーブについても、電源を必要としないタイプもあるので、石油ファンヒーターを日常的に使用しているご家庭では、停電用に電源のいらない石油ストーブも置いておくと役立つ時が来るかもしれません。

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