東京電力に電気代再値上げの可能性が浮上。2024年に再び値上げが?

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東電が2024年頃に再び値上げ?


 東電が2024年頃に再び電気代を値上げする可能性が浮上してきました。東電を取り巻く最新事情をお届けします。



2023年6月に電気代を値上げした東電


 東京電力は法人向けの高圧電力を2023年4月以降から、家庭向けを含む低圧を6月から値上げしています。低圧で最もベーシックな従量電灯Bの場合、一般家庭の平均的な使用条件では15.9%という値上げ率です。


 値上げの要因としては、燃料の輸入価格の高騰によるところが大きいです。ロシアによるウクライナ侵攻による国際情勢の変化だけでなく、急速な円安の進行、またコロナ禍以降の大規模な金融緩和や資源開発の停滞・急激な経済活動再開に伴う需給ひっ迫などがその背景としてあります。


再値上げの可能性が浮上してきた理由


 では、2023年6月に家庭向けを値上げした東電がなぜ再び値上げをする可能性が出てきたと言えるのか、最新事情を解説します。


柏崎刈羽原発の再稼働の遅れ


柏崎刈羽原子力発電所

柏崎刈羽原子力発電所

 2023年5月中旬に、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が当初想定よりも遅れる可能性が濃厚となりました。


 柏崎刈羽原子力発電所は原子力規制委員会がテロ対策の不備などを理由として、事実上の運転禁止を言い渡しています。そうした状況の中、東電は2023年10月の再稼働に向けて準備を進めていましたが、10月の再稼働が事実上難しい状況となったと報じられています。


東京電力ホールディングスが10月を想定している柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働が厳しくなってきた。原子力規制委員会は17日の定例会合で、テロ対策の不備についての検査を継続すると決めた。

引用元:柏崎刈羽原発、10月再稼働厳しく テロ対策改善できず(日本経済新聞 2023年5月17日)

 柏崎刈羽原子力発電所をめぐっては、原発の構内に入るために必要なIDを複数人で使い回し中央制御室まで入室する、書類を車の屋根の上に乗せたまま走り出し周辺道路などで一部を紛失するなどのトラブルが発生しています。


電気料金の算定に再稼働が織り込まれていた


 柏崎刈羽原子力発電所が2023年10月に再稼働することは、実は東電の電気代の値上げの際の計算に織り込まれています。法人向けの高圧電力だけでなく、家庭向けの低圧電力(従量電灯)の値上げでも柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が織り込まれています。


 つまり、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が予定より遅れるということは、当初の計画が崩れることを意味します。原子力発電所は特に現在のように燃料価格が高騰する中では、発電コストが安い発電方法と言えます。発電コストが安い発電所が再稼働できないことは東電にとってコスト増に繋がるため、再値上げの可能性が浮上したというわけです。


再値上げの可能性は?


 では、再値上げの可能性はどれくらいあるのでしょうか。


 再稼働の遅れ期間の長さにもよりますが、家庭向けを含む低圧電力(従量電灯)などに関しては経済産業大臣の認可が必要であるため、政治の問題となります。2023年6月の値上げに関しても、東北電力や北陸電力などは当初4月の値上げを予定していましたが、政治がストップを掛けた影響で6月に先延ばしとなりました。


 「再値上げ」となれば政治からの圧力、あるいは国民からの批判の声も大きくなることが予想されるため、実現可能性はかなり低いと言えるでしょう。とはいえ、東電も財務状況がかなり悪化、2022年6月には東京電力エナジーパートナーが一時債務超過に陥るなどしているため、経営が深刻な状況になれば値上げせざるを得なくなります。


 一方、法人向けの高圧電力・特別高圧については比較的容易に値上げを行えるため、低圧電力と比べると値上げのリスクは高いと言えます。


 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の状況や、エネルギー価格によっても値上げの実現性やタイミングは大きく前後しますが、値上げをするとすれば2023年末から2024年夏頃になる可能性が大きいと言えます。




東電の値上げ以外の要因でも値上がりする懸念も


 東電が値上げを実施せずとも、電気料金が今後値上がりする可能性があります。


政府補助金の終了


 物価高騰対策として、電気代に補助金が支払われています。家庭向けでは1kWhあたり7円、法人向けの高圧電力では3.5円という金額です。家庭向けの場合、補助金によって電気代が1割前後引き下げられています。


 この補助金は2023年秋に終了します。同様に補助金が支給されているガソリンについても、6月から段階的に補助金が削減され9月末で終了する予定のため、電気代の補助金についても延長される可能性は低いでしょう。


 補助金の支給が縮小する8月分以降、電気代が約1割(一般家庭の場合)上昇することになります。


再エネ賦課金の再上昇


風力発電


 電気代に加算されている再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は毎年単価が改定されています。2023年度分は制度開始以来初めて、単価が引き下げとなりました。


再エネ賦課金単価の推移

再エネ賦課金単価の推移

 引き下げとなった要因が足元では解消されているため、2024年度分の単価は再び以前の水準に戻る可能性があります。おそらく、2024年度分は1kWhあたり1円以上の値上がりとなるでしょう。


燃料価格の再高騰


燃料費調整額


 政府は2023年6月に取りまとめた「エネルギー白書」の中で、2025年頃にかけて世界的に「LNG争奪戦」が起こると指摘しています。


 LNG(液化天然ガス)による発電は日本の電力の3割(2022年)を支えています。このLNGが奪い合いとなり、価格が高騰することが懸念されています。エネルギーの輸入価格は燃料費調整制度によって消費者が支払う電気代に反映されるため、電気代高騰の原因となります。




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