時間帯で電気料金が変わるプランは95%の家庭で割高

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時間帯別料金制は避けるが吉


 時間帯や曜日ごとに電気料金の単価が変わるプランが、電力自由化を機に注目を集めています。スマートメーターと呼ばれる、30分単位での検針が可能な次世代の電力メーターが可能にした「未来の」料金プランともいうべきものですが、実はここには大きな落とし穴が潜んでいます。


 今回はこうした時間帯別料金制について、我が家の実際の使用量データも交えながら詳しく解説していきます。



実は95%の家庭で割高になるという話


 まずは、95%の家庭で割高になるという根拠を説明します。


日本経済新聞 2017年3月27日の記事


 この記事を書くきっかけとなったのが、2017年3月27日に日本経済新聞に掲載された『電力全面自由化1年 (中)』という記事です。こんなことが書かれていました。


一律型電気料金から時間帯別電気料金へ乗り換えた場合、どれだけの家庭が電気料金支払いで得になるのかを計算してみた。その結果は衝撃的だった。95%の家庭が時間帯別料金に切り替えると電気料金の支払いが増えるという結果が出たのである。
引用元: 電力全面自由化1年(中)訴求力あるセット料金カギ (日本経済新聞)

 この記事は京都大学教授の依田高典先生が執筆されたもので、先生が横浜市内の戸建て家庭1千世帯のスマートメーターのデータを元に解析した結果だそうです(参考


我が家のデータでも試算してみました


 わが家(都内/戸建て/昼も在宅)の2017年4月2〜8日の30分ごとの電気使用量データを使って試算してみました。結果は次の通りです。


種別 会社名 プラン名 料金名 差額
固定 東京電力 従量電灯B 8390円 -
変動 東京電力 夜トク8 10041円 +1652円
変動 東京電力 夜トク12 9739円 +1349円
変動 洸陽電機 生活フィットプラン 9354円 +964円
固定 Looopでんき おうちプラン 8070円 -319円

 1週間分のデータを集計し、4倍して1ヶ月分換算で計算しています(1週間で合計77.6kWh)


 結果を見ても明らかですが、時間帯によって料金が変動するプラン(夜間に安くなる)では、東電の従量電灯B(一般的なプラン)よりも大幅に割高になるという試算結果になりました。


 わが家は昼も常時人が在宅しており、また料金変動がないプランを利用している状況ですから、変動型プランに切り替えて「努力」すれば差額は小さくなる余地はあります。とはいえ、20%も割高になるならば最初から固定額で安くなる新電力を選ぶのが賢明といえそうです。


そもそも時間帯別料金の目的とは?


 時間帯によって異なる料金を提示するのは、電気の使用量が一日の中で大きく変動する、という社会的な問題が背景にあります。


 夜は職場も家庭も寝静まっているため、電気の使用量が落ち込みます。一方、昼間は工場もオフィスも、家庭も電気をたくさん使います。


電気料金の変動グラフ
2016年8月1日の電気料金市場価格(JPEX)


 一方、需要が増えたからといって、数時間で発電所を建設することはできませんから、供給量には制約があります。


 こうした需要と供給のバランスにより、一日の中でも電気の「調達コスト」は大きく変動を繰り返しています。この変動を少しでも少なくするために、時間帯別料金制の普及が進められています。


時間帯別料金を選ぶ際の注意点


 95%の家庭で割高になるわけで、その逆を言えば5%の家庭では割安になるわけです。


 例えば夫婦共働きで、平日は2人とも家を空けがちなご家庭では、時間帯別料金のメリットを最大限に享受することが出来るでしょう。


 変動型のプランを契約する際は、まずスマートメーターで一日の電気使用量を確認し、そのデータを元に詳しく試算してみてからの方がよいでしょう。LooopでんきHTBエナジーを利用すれば、電気の使用量を30分単位で確認出来るようになります。


Looopでんきの「見える化」サービス
30分単位の電気使用量グラフ

 時間帯によって料金が変わるということは、これまでのように「使いたい時に使う」電気の利用スタイルからの転換を意味します。それはつまり、例えば早朝や深夜に洗濯機を回すなどの努力が必要になるということです。その点にも注意が必要です。




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