電力使用量が大きく環境に悪いタワーマンション
タワーマンションは低層マンションなどと比べて共用部の電力使用量が著しく大きく、「環境に悪い」と言えます。タワーマンションの管理組合理事を務めている私が実際の数字を提示しながら解説します。
目次
電気を爆食いするタワーマンション
実際の数字を示しながら、低層マンションと比較して解説します。
タワマン共用部の電力使用量データ
タワーマンションは共用部で大量の電力を消費します。私が管理組合理事を務めているタワーマンションの共用部の電力使用量と、我が家が一棟所有している小規模低層マンション共用部の電力使用量を戸あたりで比較します(4月実績での比較)
タワマン 共用部 |
低層マンション 共用部 | |
---|---|---|
使用量(月) | 244kWh/戸 | 40kWh/戸 |
備考 | 空調あり内廊下 | 共用部空調無し EVあり(EV分込み) |
戸あたりの電力使用量は低層マンションの6倍という結果です。タワマンは共用部の電力使用量が「非常に大きい」と言えます。冷暖房をフルで使う時期は更に差が大きくなるはずです。
タワマンが電気を大食いする原因は?
タワーマンションの共用部の電気使用量が大きくなる要因は以下のとおりです。
- 共用部の空調
- 共用施設での電気使用
- エレベーター
- 増圧ポンプなど
イメージしやすいのは空調です。小規模なマンションでは一部の高級物件を除き共用部に空調が入っていないものがほとんどですが、内廊下のタワマンでは空調を利用しているのが一般的です。また、外廊下のタワマンであっても共用施設内(ジムやパーティールームなど)で空調を利用しているため、電力使用量が大きくなりがちです。
また、タワマンはエレベーターで数十メートル、あるいは100mを超える距離を上り下りする必要があるためエレベーターによる電力使用量も大きくなりがちです。低層マンションで2階などにお住まいの方は階段で上り下りしている場合も多いですが、タワマンで非常階段を利用している人は皆無です。私はタワマンの非常階段を毎日上り下りしていますが、ほかの住民の方とすれ違ったのは1年でたった1度だけです。
更に、水道水を上階まで運ぶためのポンプなども電気を使います。
AIが描いた風景
管理費を押し上げる一因にも
タワーマンションの管理費は低層マンションと比べて「高い」のが一般的ですが、共用部で多くの電力を使用することも管理費を押し上げている要因の一つと言えます。
タワマン 共用部 |
低層マンション 共用部 | |
---|---|---|
電気代(月) | 約5000円 | 約1500円 |
備考 | 空調あり内廊下 | 共用部空調無し EVあり(EV分込み) |
私が管理組合理事をしているタワーマンションの場合、共用部の電気代は1戸あたり月5000円にのぼります。一方、低層マンションでは1500円程度です。もちろん、他にも有人管理のための人件費であったり、充実した共用設備の維持管理コストなどでもコストに差が生じていますが、電気代も管理費を押し上げている小さくない要因の一つと言えます。
AIが描いた風景
環境対策を見据えた住宅政策の進むべき道は?
地球温暖化対策を見据えた、日本が進むべき住宅政策の方向性をまとめます。
低層マンションが「エコ」
結論から言えば、地球温暖化対策を重視するのであれば低層のマンションを優遇することが日本全体の二酸化炭素排出量削減に繋がると思います。
私は現在のタワーマンションに引っ越す直前、高気密高断熱を売りにした中堅ハウスメーカーの木造戸建住宅(2016年築)で暮らしていました。アクアフォーム、アルミ樹脂複合サッシ・Low-eガラスなど、最近の戸建住宅の「平均以上」の設備が整った戸建住宅でした。
今暮らしているタワーマンションは、以前暮らしていた戸建住宅より床面積は12平米大きくなりましたが、それでも冬場の「専有部」の電気使用量はタワマンの方が戸建てより約3割少ないです。戸建住宅は電気使用量が大きくなりやすい、というのは総務省家計調査などの統計を見ても明らかです(戸建ての方が床面積が広い傾向があるなど様々な要因がある)
電力使用量 | 専有部 | 共用部 |
---|---|---|
タワマン | 大きい | 小さい |
低層マンション | 小さい | 小さい |
戸建て | 大きい | 無し |
とはいえタワマンは共用部で多くの電力を使用しているため、共用部と専有部を合計すると戸あたりの電気使用量は実は戸建てよりも大きくなる場合があり、エコではありません。戸建てとくらべても電力使用量が大きく環境に悪い、と言えます。
低層マンションは共用部・専有部共に電気使用量を小さく抑えることが出来るため、戸建てやタワマンよりも環境負荷が小さいと言えます。地球温暖化対策を真剣に考えるのであれば、断熱をしっかりと施した低層マンションが理想的と言えるでしょう。
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