水道スマートメーターの普及のメリット・デメリット | どう変わる?

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水道スマートメーターのメリット・デメリット


 これから日本国内でも普及が進んでいく水道のスマートメーター。個々の消費者や社会全体で見たメリット・デメリットを解説します。



今後普及が進む水道スマートメーター


 まずは水道のスマートメーターの概要を解説します。


水道スマートメーターとは


水道スマートメーター(画像:東京都水道局)

水道スマートメーター(画像:東京都水道局)

 スマートメーターとは、通信機能を持ったメーター(計量器)のことです。


 従来型の水道メーターには通信機能が無いため、検針員が目視で一つ一つ水道メーターを確認し、使用量を確認する作業が必要です。スマートメーターになると通信機能を通じて遠隔で使用量の確認ができます。


 通信には低消費電力の携帯電話通信網(NB-IoTやLTE-M)が使われます。われわれが普段使っている携帯電話回線よりもかなり低速(NB-IoTで最大250kbpsとも)な通信回線です。


電気・ガスはスマートメーター化が先行


電気のスマートメーター

電気のスマートメーター

 電気は日本中で概ねスマートメーター化が完了しています。2015年ごろから導入が本格化し、2023年度末時点で全国の多くの地域において、概ねスマートメーターが完了化しています。


 ガスについても東京ガスが2024年1月から設置を開始、2030年代前半の導入完了を目指しているほか、プロパンガス大手のニチガスもスマートメーターを導入しています。


 スマートメーターは通信を行うため、わずかながら電源を必要とします。電力計の場合、メーターに通電しているため電源の確保が容易ですが、ガスや水道メーターには通電がありません。東京ガスでは最大10年間駆動する電池をスマートメーターに内蔵することで電源を確保しています。


水道スマートメーターのメリット


 水道がスマートメーター化するメリットを解説します。


コスト削減


検針員


 従来型のメーターでは、メーター一つ一つを検針員が目視で確認し、使用量を特定する作業が必要です。スマートメーターではこうした作業が原則必要無くなるため、検針員の人件費をはじめ検針に掛かるコストを削減することが出来ます。


労働力不足への対応


 昨今深刻化している人手不足にも、スマートメーター化は貢献します。


 検針員が原則必要無くなるため、これまで検針員として働いていた人たちが別の職業に移ることで、社会全体での人手不足の解消に貢献する効果が期待できます。


時間帯別の使用量が把握可能に


 現在の水道メーターでは1ヶ月ごともしくは2ヶ月ごとに1回、目視で使用量を確認します。使用量は原則1ヶ月or2ヶ月単位で把握します。


 スマートメーターでは1日1回、あるいはより細かな単位での使用量把握が可能となります。例えば1時間ごとの自宅の水使用量をウェブで確認できる「見える化」の提供や、時間帯によって水道料金を変動させることで水需要の平準化をはかり、社会全体でコスト削減を目指す取り組みが検討されています。


CDエナジーの見える化

電気使用量の見える化(CDエナジー)

漏水の早期発見


 現在、多くの地域で水道の検針は2ヶ月ごとに行われています。仮に漏水が発生し異常な水使用が発生した場合、最長2ヶ月発覚しない恐れがあります。


 スマートメーターは前述の通り、1日単位あるいは時間単位での使用量把握が可能です。利用者がウェブから使用量データを確認したり、あるいは水道局が異常な水の使用を検知することが可能となり、被害を最小限に留めることが可能となります。


安否確認サービスに役立てる


 人が日常生活を送る上で欠かせないのが水道です。通常の生活を行っている住宅では必ず水道の利用があります。


 例えば独居高齢者の住宅などに向けて、水使用量の推移から生活の異変を検知するサービスの提供が想定されます。遠方に住む親族がウェブから目視で使用量を毎日確認することでも安否確認が可能となります。


水道の効率的運営への貢献


 水使用量をきめ細かく把握できるようになることで、効率的な配水が可能となる効果が期待されています。


 また、時間帯によって料金単価が変動する料金メニューを導入することで、水道使用量の1日の変動を平準化(なだらかにすること)することが可能です。水道があまり使われない時間帯の料金を安くし、使用量が多い時間帯を高く設定することで水道利用の「ピークシフト」が期待できます。


 水道を供給するための諸々の設備は、水道使用量のピークに合わせて用意する必要があります。しかし1日の中で使用量が伸びる朝・夜の時間帯に合わせて用意された設備は、使用量が減る昼間や深夜には有効に活用されません。ピークシフトを促すことで水道施設を削減し、コスト削減が可能となります。


ミスの減少


 現在行われている目視による検針では、ミスが発生する場合があります。使用量を誤ったり、検針票を誤ったポストに投函するなどのミスがあります。


 スマートメーター化により機械的に検針を行うことで、使用量の計測ミスが大きく減少することが出来ます。また電気やガスではスマートメーター化にあわせて、紙の検針票のポストへの投函が原則終了しています(希望者のみ有料で郵送、ウェブでの確認は無料) スマートメーター化とあわせて使用量データや請求金額の確認をウェブに移行することも、そのようなミスの減少に貢献します。


水道スマートメーターのデメリット


 デメリットを指摘します。


導入による一時的なコスト増


 水道スマートメーターは従来型のアナログメーターと比較して導入費用に課題があると言われています。まだ水道メーターの導入が実証実験段階であるため今後の大量導入による量産効果や技術革新によるコスト削減に期待したいところですが、


検針票発行の有料化


 電気・ガスではスマートメーター化とあわせて検針票(紙)の発行を有料化した電力・ガス会社が多いです。使用量や請求金額の確認はウェブのマイページから確認(無料)する形に移行しています。


 従来型のアナログメーターでは、検針員は検針をする際にその場で検針票を発行し、その場でポストに投函することが可能でした。しかしスマートメーターでは検針員による検針が無いため、紙の検針票の送付は郵送が必要となるため、紙による発行・郵送には追加点なコストが生じます。そのコストを顧客に転嫁する形で検針票発行の有料化が進められています。


 一方でスマートメーター化は前述の通り、コスト削減効果が期待されるものです。紙による検針票の発行を希望する人にとっては負担増となる恐れがありますが、そうではない人(ウェブで確認)にとっては料金の引き下げ効果が期待できます。




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