普及が加速しているDCモーター扇風機にはデメリットも
電気代が安いということで普及が進むDCモーターの扇風機。ですが実は「トータルコスト」で見るとACモーターの扇風機の方がお得になるケースも少なくありません。トータルコストでDCモーターとACモーターを比較します。
目次
DC/ACモーター トータルコストの比較
トータルコストで比較します。
本体価格がACモーターが大幅に高価
まず本体価格はACモーターと比較してDCモーターの方が大幅に高価です。同じメーカーの売れ筋商品でAC/DCを比較します(価格は2023年6月記事執筆時点でのAmazonでの販売価格)
低価格で有名な2メーカーのAC/DCモーターの代表的な扇風機を抜粋してみました。
ACモーターとDCモーターでは、2〜3千円の価格差があることが分かります。価格差はこの数年で大幅に縮小しており、以前ほどは大きくないものの厳然とした差は今も残っています。
消費電力はDCモーターが小さい
DCモーターのメリットとして消費電力が小さく、電気代が安い点がしばしば挙げられます。実際のスペックを比較してみましょう。
メーカー | DC | AC | 電気代差 100時間(30円/kWh) |
---|---|---|---|
山善 | 20W | 31W | 33円 |
アイリスオーヤマ | 16W | 35W | 27円 |
電気代を1kWhあたり30円とした場合、電気代の差は100時間ごとに約30円という結果です。1時間あたり0.3円、DCモーターの扇風機の方が電気代が安いことになります。
なお、扇風機のカタログ値の消費電力は最大風量で使用した際の値です。過去にACモーターの扇風機2台で実測した結果は以下の記事にまとめているので、こちらをご覧ください。
結論:トータルコストではACモーターの方が安いケースが多い
本体価格の差を2500円、電気代の差を1時間あたり0.3円とした場合、8333時間以上使うとACモーターよりDCモーターの扇風機の方がトータルでお得になります。
扇風機を毎年7〜9月の3ヶ月間、毎日8時間使用すると1シーズンで720時間です。この条件の場合、12年目以降はDCモーターの方がお得になるという結果です。
いかがでしょうか。扇風機を12年使い続けると考えると、なかなか不透明な部分があると思います。とあるメーカーの扇風機の設計耐用年数は「6年」とされているため、12年は想定されている耐用年数を大幅に超えています(1日の使用時間が16時間の場合は、トータルコストは6年程度で逆転)
毎日の使用時間が長い場合や、使用期間が長い場合は10年以下で逆転する場合もありますが、一般的な使用環境ではACモーターの方がややお得と言えるでしょう。とはいえDCモーターの価格も年々下落しており、価格差はかなり小さくなっていると言えます。
コスパは優れないがDCモーターならではのメリットも
コスパの面ではACモーターにやや劣るDCモーター扇風機ですが、コスト以外の部分でACモーターには無いメリットがあります。長く使い続ければトータルコストに大きな差は無いので、以下の利点に魅力を感じるのであればDCモーターの扇風機は「買い」です。
環境負荷が小さい エコ
消費電力はDCモーターの方が間違いなく小さく、環境負荷が小さいと言えます。例えばACとDCの差を11W、トータルコストが逆転する8333時間使用するとCO2排出量は37.4kgの差です(1kWhあたり排出量を500gとした場合)
37.4Kgと言われてもイメージしづらいですが、一般家庭で使う電力の1週間分のCO2排出量に相当します。ACではなくDCモーターの扇風機を選ぶことで、1週間電気を使わなかったのと同じくらいのCO2排出量削減効果を得ることが出来ます。
風量調節を細かくできる
DCモーターは風量調節を細かく設定することが出来ます。一般的なACモーターの扇風機では3〜4段階で設定できますが、DCモーターでは10段階以上の風量調節が可能な機種も多く、心地よい風量を選択しやすいです。
ACモーターの扇風機では最も弱い風量でも風が強いと感じてしまう人もいると思いますが、DCモーターでは「そよ風」のように小さな風量で運転することも可能です。まるで扇風機の羽が止まってしまいそうな、弱い風量で運転できる機種もあり、就寝時や長時間使う時に心地よいです。
モーター音が静か
一般的にACモーターよりもDCモーターの方が、モーター音が小さいです。モーター音よりも羽から生じる風切り音の方が大きいためモーター音が気になる方はあまり多くはないかもしれませんが、就寝時に使う場合はDCモーターの方が適していると言えるでしょう。寝室で使うのであればDCモーターが圧倒的におすすめです。最小風量で使用すれば、風切り音を含め動作音は全くと言っていいほど聞こえません。
おすすめの高コスパDCモーター扇風機
最後に「高コスパ」のDCモーター扇風機を紹介します。
山善 YLX-AED30
家電量販店やホームセンターなどでもよく見かける山善(ヤマゼン)のDCモーター扇風機です。モーターのトップメーカー、日本電産製のDCモーターを採用しています。
価格がDCモーター扇風機の中では安価なことに加え、風量を12段階で調節可能でリモコン機能も付いており高機能です。コスパに優れる一台と言えます。
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