電動キックボードの電気代はとても安い。
法改正により公道でもヘルメット・免許なしの走行が一部解禁される見通しの電動キックボード。そんな次世代モビリティには電気代がいくら掛かるのか、1Kmあたりの金額を原付きバイクなどと比較しながら解説します。
目次
電動キックボードの電気代の計算結果
代表的な製品のカタログスペックから、電気代を試算します。
満充電1回の電気代
まずはフル充電1回あたりの電気代を計算します。
製品名 | バッテリー容量 | 電気代 | |
---|---|---|---|
大手電力 平均水準 |
新電力 最安水準 | ||
COSWHEEL EV Scooter | 48V/10Ah | 13.0円 | 11.5円 |
Ninebot ES1LD | 42V/5.1Ah | 5.8円 | 5.1円 |
Ninebot G30L | 42V/10.2Ah | 11.6円 | 10.3円 |
1台目のCOSWHEEL EV Scooterのみ、公道走行可能な電動キックボードです(原付1種規格)
満充電1回の電気代は5〜10円程度です。原付きバイクの場合、例えばスーパーカブ50ccモデルの燃料タンクは4.3Lなので、レギュラーガソリン1L130円とすると満タンで559円となります。
1Km走行コストは原付きバイクの4分の1
1Km走るのに掛かる電気代を、カタログスペックから計算します。
製品名 | 航続距離 | 満充電1回 | 1Kmあたり |
---|---|---|---|
COSWHEEL EV Scooter | 35Km | 13.0円 | 0.3円 |
Ninebot ES1LD | 20Km | 5.8円 | 0.29円 |
Ninebot G30L | 40Km | 11.6円 | 0.29円 |
上で挙げたいずれの機種も、1Km走るのに掛かる電気代はわずか0.3円前後という結果になりました。実際の走行シーンではこれより大きな額となることが予想されますが、それでも1円を超えるということは無いでしょう。
他の乗り物と比較すると以下のような差となります(ガソリン130円/L、カタログ燃費で計算)
乗り物 | 1Km走行コスト |
---|---|
電動キックボード | 0.3円 |
原付き(スーパーカブ50) 105Km/L |
1.2円 |
トヨタ・ヤリスHV 36.0Km/L |
3.6円 |
電動キックボードの走行コストは、同じ規格の原付きバイクと比べても4分の1と非常に安いと言えます。
原付きバイクと比べて走行コストが「安い」理由
「原付き」の規格で公道走行も出来る電動キックボードは、なぜガソリンエンジンで動く原付きバイクと比べても走行コストが圧倒的に安いのか、その原因を考察します。
エンジンとモーターの違い
原付きバイクが動力源としているエンジンは、燃料であるガソリンを燃料することで動力を得ていますが、燃焼したガソリン全てを動力に変えられるわけではありません。
現在最も高効率なガソリンエンジンでも、「熱効率」は30〜40%台といわれており、分かりやすく言えば燃やしたガソリンの60%以上は熱として捨てられています。
モーターはこのような損失が少ないため、モーターを動力源としている電動キックボードは「高効率」と言えます。
車重に3倍以上の差がある
電動キックボードは公道走行可能なモデルでも20Kg台、公道走行できないものでは10Kg台と軽量です。一方、原付きバイクはスーパーカブ50の場合、車体重量だけで96Kgの重さがあります。
車体重量が重ければ燃費が悪くなるのは当然のことで、機構がシンプルで車重が軽い電動キックボードがその点で有利となります。
ガソリン税という問題も
原付きバイクの燃料であるガソリンには、重い税金が掛けられています。レギュラーガソリンの販売価格は130円程度ですが、ガソリン税は約53.8円と4割以上を占めます。電動キックボードの「燃料」である電力にはこのような重い税金は課せられていないため、その分電動キックボードが有利です。
日本では再生可能エネルギーの導入促進のために設けられている「再エネ賦課金」が電気代とは別途1kWhあたり3.36円(2021年度)発生しますが、記事執筆時点では「燃料費調整単価」が同程度のマイナスとなっているため、差し引きでプラスマイナスゼロです。
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