卒FITで電気の契約を変えると電気代が大幅値上がりする危険性がある

広告

お得になるはずが、逆に大損に。


 卒FIT太陽光の買取メニューでは、電気の契約(売電ではなく買電)のプランとセット契約としているものが多数あります。しかし、利用条件によっては電気料金プランの変更で大幅に電気代が高くなり、結果としてトータルで大損となるケースも少なくありません。以下、詳しく解説します。



切り替えで年間数万円以上「損」するケースも


 損になるケースを実例をもとに紹介します。


過去のオール電化プランは超お得


エコキュートを核としたオール電化システム

エコキュートを核としたオール電化システム

 太陽光発電を導入している戸建て住宅では、ガスを使わない「オール電化」を採用している例が少なくありません。オール電化の設備を導入している場合、大手電力会社のオール電化用の料金プランを契約しているはずです。


 最初期に「卒FIT」を迎える世帯がオール電化プランを契約した頃は、大手電力会社が今よりも「とてもお得な」オール電化プランを提示していました。


 例えば2016年3月で新規契約の受付が終了した東京電力の「電化上手」は、夜間の料金単価が12.25円/kWhです。一方、現在のオール電化用プランである「スマートライフ」は17.46円となっています。東京電力公式サイトのシミュレーションによれば、プランを切替えることで実に年間37645円高くなるという結果が出ました(年間電気使用量7327kWh)


オール電化プランの切り替えで年間37645円高くなる

東電公式サイトのシミュレーション結果

 かつてとは日本の電力事情が大きく変わっており、それを反映した「値上がり」です。新電力は電気代が安いイメージがありますが、それでも太刀打ちできません。


一度解約すると戻れない場合も


 過去のお得なオール電化用プランは、現在は新規契約を終了しているものがあります。例えば上で紹介した東電の電化上手は2016年3月31日をもって新規受付終了となりました(既存契約者は継続利用が可能)


 料金プランを他社に変更するなどして一度解約すると、もう二度と戻ることは出来ません。


東電の公式サイト 「電化上手」は新規申し込み終了

東電公式サイト 新規申し込みが終了とのこと

非オール電化プランへの切り替えは論外


 電気とのセット契約が必要な卒FITの買取メニューを提示している業者の中には、オール電化用の料金プランを用意していないところが少なくありません。


 オール電化用のプランは、深夜に電気を使って大量のお湯を沸かすエコキュートの経済性を上げるため、深夜時間帯の料金単価が概ね10円台/kWhに設定されており、オール電化住宅でお得に使える料金体系となっています。


オール電化用プランの料金単価のイメージ

オール電化用プランの料金単価のイメージ

 それに対し非オール電化用プランは一日中同じ料金単価です。その分、昼間の電気料金はオール電化プランよりも安く設定されていますが、エコキュートによって電力消費が大きい深夜帯の割引が無いため、電気代トータルで見て大幅に割高になるケースが多いです。


 例えば東電の「電化上手」で月15421円の電気料金を払っている場合、東京ガスの電気に切替えることで月20676円に値上がりします。安い新電力会社に切り替えたとしても、非オール電化用プランへの切り替えで電気代が大幅に高くなる恐れがあります。


電力会社 料金目安(月)
東京電力「電化上手」
(オール電化用プラン)
15421円
東京ガス 20676円
ENEOSでんき(2年契約) 20452円

 特に太陽光発電を設置している世帯は通常の家庭と比べて昼間の電力消費量が少ないので、昼間の料金単価が安い非オール電化用プランの恩恵が更に小さくなります。


説明が不十分な業者が少なくない


 電気の供給とセットで卒FIT買取を提案している業社のサイトを見ると、ここまで説明してきたような「電気代値上がりリスク」を十分に説明していると言える例は見当たりません。


 さすがにオール電化用プランから非オール電化用プランへの切り替えに対しては注意書きや「申込みを受け付けない」旨を記しているところが多いですが、過去の爆安オール電化用プランからの切り替えで電気代が割高になるリスクまで説明しているところは見当たりませんでした。


 業社の言い分を鵜呑みにせぬよう注意が必要です。試算をする場合は、試算前提(比較対象の料金プラン名など)をよく確認することをおすすめします。


セット契約の必要無いプランも多数あります


 卒FIT買取では、買取のみで利用できる買取メニューも多く存在します。現在、お得な電気料金プランを利用している場合は、そうした買取だけで利用できるメニューと組み合わせることをおすすめします。


非オール電化住宅は切り替え検討をおすすめ


 オール電化住宅では電気料金プランの変更で、月々の料金が値上がりするリスクがありますが、非オール電化ではそうしたリスクは少ないです。


従量電灯プランからの切り替えなら節約効果大


 大手電力会社の「従量電灯」プランは、標準的なプランとして多くの住宅や事務所、商店などで利用されています。電力自由化によって参入した新電力会社の多くは、大手電力の従量電灯を比較対象として、それよりも安くなる料金プランを投入しています。


 卒FITの買取メニューとのセット契約の電気料金プランもありますが、多くの場合、売電・買電を別々の会社と契約した方がお得です。


ケース 電気代削減 買取金額上積み 合計(東電比)
売電・購入ともに東電 0円 0円 0円
売電・購入ともに千葉電力 -11728円 +5250円 16978円トク
売電・購入ともに東京ガス -11213円 +7000円 18213円トク
売電をスマートFIT
購入を熊本電力
-16951円 +10500円 27451円トク
年間売電量を3500kWh、電気の使用量を40A・月391kWhとした場合の試算


 電気料金プランは以下のページで簡単に比較ができます。




関連記事

電力自由化とは? 停電のリスクは?
乗り換えでいくら安くなるの? 乗り換えで料金が値上がりするケース
新電力とは?

どうやって契約するの? 乗り換えのメリット・デメリット
乗り換えにかかる初期費用 乗り換えに工事は必要?
賃貸住宅でも乗り換えられるの? 解約する時の違約金は?
安くなる理由 電気の調達は?


地域別 電気料金比較表

電気料金比較シュミレーション

電力自由化Q&A

項目別おすすめ

人気の電力会社