蓄電池の普及が電気料金の水準を押し下げる可能性

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蓄電池の普及が電気料金を下げる?


 まだまだ価格が高く、普及段階にはほど遠い蓄電池。しかしこれが普及することで、将来的には日本の電気料金の水準を下げられる可能性があります。その理由を詳しく解説します。



年間88時間のためだけの発電所


 まずは現在の日本の「電力事情」を紹介します。


季節・時間帯で大きく動く電力需要


 電気の需要は季節や時間帯によって大きく変動します。


 人々が活動している昼間に需要が増え、寝静まっている夜は減るという毎日のサイクルに加え、エアコンに使用が増える季節には電力需要も大きく伸びます。


電力需要のグラフ


 上図は経産省の公式サイトに掲載されている、夏季ピーク時の1日の中の総電力需要の推移を表すグラフです。例えば2010年8月23日は14時台に17780万kWのピークを記録していますが、朝6時台は9180万kWと約半分にまで落ち込んでいます。


「発電所フル稼働」は年間88時間


 電気は消費される量と同じ量を送電線に流しておかなければ、停電や質の低下(電圧の変動など)という事態を招きます。皆がたくさん使うのにあわせて、供給を増やす必要があります。


 電力需要が大きく変動する現在は、日本中で発電所がフル稼働になるのは年間でも限られた時間だけです。
 例えば経産省の資料で一例と示されているのが、ピークの1%分(年間88時間)をカットできれば、東京電力管内だけで384万kWの発電所を削減できるという試算が紹介されています。


ピーク時の需要を削減する

経産省資料より

 384万kWというと、中規模の火力発電所で換算して7基分に相当します。つまり、年間88時間しか稼働しない発電所が東電管内だけで7基あるということになります。


 ピーク時の需要を減らすことで、発電所の建設・維持費用の削減という長期にわたるコスト削減効果と、発電コストが高いピーク時の電力供給コスト(高価な石油火力発電を動かすため)の削減効果も期待できます。




なぜ蓄電池が必要なのか


 では、なぜピーク需要を減らすのに蓄電池が効果的なのか。その理由を説明します。


蓄電池が電力需要を「平ら」にする


 蓄電池は電気を「貯める」ことができます。


 例えば電力需要が少ない夜間に充電し、電力需要がピークを迎える真夏の昼間に放電するという使い方が出来ます。


 家庭に蓄電池を設置し、夜間に充電→電力需要ピーク時間帯に放電という使い方をすることで、ピークの数時間の電力供給のほぼ全てを蓄電池からまかなうことも可能です。


 蓄電池が普及することで、冒頭で紹介した電力需要のグラフを「平ら」に近づけることができ、発電所の削減や発電所の稼働率の改善により電気料金が下がる効果が期待できます。


課題もある


 蓄電池の普及にあたっては課題もあります。


蓄電池の更なる低価格化が必要


 最大の難点は蓄電池の設置費用が高額である点です。


 現在の蓄電池の相場では、一般家庭に蓄電池を設置して自宅の太陽光発電の電気を活用したり、あるいは時間帯によって料金単価が変わる電気料金プランを選択しても「元を取る」ことは難しいです。


 量産効果や技術革新による値下げや、電気自動車に搭載していた中古の電池を家庭用蓄電池として再利用することで設置コストを下げていく必要があります。


料金プランの工夫も必要


 蓄電池を普及させるにあたって、料金プランにも工夫が必要です。


 現在は季節や時間帯に関係なく、いつでも一律の料金単価を適用するプランが一般的ですが、それでは蓄電池を設置する経済的メリットがありません。


 電力需要の増減にあわせて料金単価が大きく上下する料金プランを導入することで、蓄電池を導入する経済的メリットを「作り出す」必要があります。


 また、太陽光発電を設置している世帯向けに時間帯によって売電価格を変動させるというのも一つのアイデアになるでしょう。今は固定価格買取制度で一律に買取が行われていますが、2019年から固定価格買取が終了する家庭が出て来るので、今後はそのようなサービスを導入しやすくなります。




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