家庭用蓄電池が「高い」理由

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蓄電池はなぜ「高い」のか


 車が買えるほど高価な家庭用蓄電池。なぜそれほどまでに高額なのか、その理由をデータを交えながら分かりやすく解説します。



リチウムイオン電池が高額


 蓄電池が高い最大の理由は、主要構成部品であるリチウムイオン電池が高額であることが挙げられます。なぜ高いのか、その理由は以下のとおりです。


原材料費が高い


電気自動車用バッテリーの中身

電気自動車用バッテリーの中身

 国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターの資料(平成30年)によると、リチウムイオン電池の製造コスト12.5円/Whの内、原材料費が10.0円とされており大きな比重を占めています。


 同じ資料によれば、その中でも正極材に掛かる原材料費が4.8円と、実にリチウムイオン電池の製造コストの3分の1以上、あるいは経産省の資料では45%を占めているとされています。


 正極材にはレアメタルのコバルトや、高度な技術が必要とされるポリフッ化ビニリデンなど、高価な原材料を多く必要とするため、原材料コストがどうしても高くなってしまいます。


製造コストが高い


 以前、世界中でノートパソコンやスマホ、あるいはボーイング787型機のバッテリーの発火が話題となったことがありますが、リチウムイオン電池は発火や破裂などを引き起こす場合もあります。


 製造には高い技術と品質管理が求められるため、製造コストが高くなりやすいという事情もあります。


ボーイング787

ボーイング787はリチウムイオン電池を搭載

 また、リチウムイオン電池自体は1991年に世界で初めてソニーが実用化して以来、普及している技術ではありますが、家庭用蓄電池のような大容量のものはまだ普及しているとは言い難い状況にあり、電気自動車用のバッテリーとあわせて量産効果が充分に働いていないという事情もあります。


 更に、製品としての家庭用蓄電池を見ても、2020年度の国内市場規模は1000億円程度(日本能率協会総合研究所調べ)と、1台200万円と仮定しても年5万台程度の市場規模に過ぎません。まだコスト削減を含めたノウハウの蓄積や、あるいは参入企業が少ないことで競争が活発化していないことも高コストの原因として考えられます。


寿命が10年程度と短い


 スマホや携帯電話を使っている多くの人が実感したことがあると思いますが、リチウムイオン電池は繰り返し充電することが可能ではあるものの、使い続けることで容量(充電・放電できる量)がどんどん落ちていきます。


 導入コストが高価であっても20年、30年と使い続けることが出来れば導入コストを回収できる可能性もありますが、家庭用蓄電池の場合は概ね寿命は10年程度とされており、長く使い続けられるものではないというのも「高価」と言える原因の一つです。


 最近はメーカーによっては「15年保証」を謳ったものもありますが、使い続けることで容量は少しずつ低下していきます。


流通段階で価格が吊り上がっている


 蓄電池に限った話ではありませんが、流通段階で価格を押し上げられている側面も否定できないでしょう。


三菱総合研究所が調査したところ、設備関係費が1キロワット時あたり15万円の蓄電システムで、卸売業者などに払う流通費は7万円もかかる。

引用元: 蓄電池、テスラ解禁の賭け 国内勢の競争力向上促す (2019/11/3 日本経済新聞)

 日経の記事ですが、家庭用蓄電池の導入費用の約半額近くが流通段階で上乗せされているとの調査結果です。


 例えば太陽光パネルの場合、同じメーカーの同じ製品でも販売価格に1.5倍の差が生じていると、経産省傘下の太陽光発電競争力強化研究会が2016年に公表しました。蓄電池についても同様のことが言えるでしょう。


今後は大幅な価格低下が見込まれる


 蓄電池や電気自動車用のバッテリーは、今後世界で爆発的な普及が見込まれており、普及にあわせて急速に価格の低下が進むと予測されています。


 また、日本の家庭用蓄電池についても、アメリカのテスラが本体価格100万円程度の新商品を2020年に日本でも発売するなど、価格破壊が進む予兆もあります。


 現状の価格では全く「元が取れない」高価な家庭用蓄電池ですが、今後数年で手が届く商品になることは間違いありません。




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