店舗物件で大家や管理会社に電気代を払う理由 | 電力会社でないのはなぜ?

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店舗物件で大家や管理会社に電気代を払う理由は?


 店舗や事務所の賃貸物件では大家や管理会社に電気代を支払うケースが多いです。なぜ電力会社ではなく大家や管理会社を通す必要があるのか、解説します。



大家や管理会社に電気代を払う理由


 電力会社ではなく大家や管理会社に電気代を払う理由は以下のとおりです。


原則として建物1つに1供給


 電力会社による電気の供給は、原則として建物1つにつき1契約と決まっています(「1需要場所、1引き込み」)


 例えば数百店舗が入居する巨大なショッピングモールや、数十社が入居する巨大なオフィスビルであっても、電力会社は原則としてその施設につき1契約しか応じません。制度としてそのような形になっているためです。


 したがって、1施設に複数のテナントが入居している場合は大家や管理会社、管理組合などがまとめて電気代を支払い、個別に各テナントに電気代を請求することになります。


住宅では例外的に住戸ごとに供給


 マンションやアパートでは各住戸ごとに電気が引き込まれ、各自で電気代を支払っているではないか、と疑問を持つ方もいると思います。


 実は住宅に関しては「特例」として住宅ごとに電気の引き込みが可能となっており、個別に電力会社から電気を引き込んで電力会社と直接契約することが可能です。


 「1需要場所、1引き込み」が原則であり、住宅は例外的な対応といえます。


 住宅でも古いアパートや、新しい物件でも大型マンションなどで「一括受電」を導入している場合は建物全体で同じ電力会社と一括で契約しているケースがあります。


電気自動車の充電器のために特例がつくられた


電気自動車の充電器


 実は住宅以外にも例外的な対応が行われているものがあります。電気自動車の充電器です。


 2021年に経済産業省の省令が改正されたことで、電気自動車の充電器について「1需要場所、1引き込み」の例外として扱うことが可能となりました。


 例えば道の駅などで駐車場に充電器が設置されている場合がありますが、これまでは従来からある電気の引き込みルートを利用して充電器に電気を引く必要がありました。ですがこの場合、従来の引き込みルートに容量の成約があるケースがあったり、工事費用が高額になるケース(電線のルートが遠回りになる等)があり電気自動車用充電器の普及の妨げとなっていたため、特例的に充電器への別口での引き込みが可能となりました。


 他にも農事用電力や臨時電力、自家発電補給電力などに特例が設けられていますが、わざわざ「特例」が設けられない限りは原則として電気の引き込みは「1需要場所、1引き込み」となるため、大家や管理会社などに電気代を支払うケースが発生します。




大家・管理会社に支払うデメリット


 大家や管理会社に電気代を支払うデメリットを指摘します。


電力会社を自分の意思で切り替えできない


 大家や管理会社が電力会社と契約し、また建物全体で同じ電力会社から電気の供給を受けるため、テナント各自で電力会社を選択することが出来ません。


 電力小売自由化により、電力会社を自由に選べるようになりました。大手電力より電気代が安い会社、電気代は高いが再生可能エネルギー100%の電気を供給する会社など様々なサービスが登場しています。そのような特色ある電力会社を選ぶことが出来ない点はデメリットと言えるでしょう。


電気代の請求内容が不透明な場合も


 電力会社から請求される電気代と同額を大家・管理会社等からテナントに請求する義務があるわけではありません。請求する側にある程度の裁量が認められています。


 そもそも、実際に電力会社から請求された電気代をテナントに実費で請求すること自体が難しいと言えます。使用量については電力計を設置することで正確な検針が可能ですが、契約容量・基本料金部分の按分などで計算がどうしても曖昧になるケースがあります。


 加えて電気代の請求を行うにも事務コストが発生します。電気代を計算し、請求し入金を確認する作業にも人件費が発生します。それらを鑑みると「実費」での請求は困難であると言えます。相場と比較してあまりにも高額な請求は不当と言えますが、数割程度の上乗せであれば請求する側の裁量として認められるケースが多いです。


 ご自身で電気代の水準が適正かどうか確認される場合は基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金の4点を含めて計算してください。


 大型の建物で高圧電力を引き込んでいる場合は、小規模な店舗・住宅などで利用する低圧電力と比較して電気代の単価が大幅に安価です。高圧引き込みの施設は低圧引き込みの施設(小規模なビル等)と比較して電気代の面でメリットがあります。




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