解約手数料に要注意。アルカナでんきのメリット・デメリット
新電力の中でも後発のアルカナエナジー(アルカナでんき)のメリット・デメリットを、電力自由化の専門家としてこれまでに多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。

アルカナでんきのメリット
アルカナでんきのメリットを整理します。
ファミリー世帯向きの料金体系
アルカナでんきの家庭向け料金メニューは「基本料金0円」で1段階制従量料金です。こうした料金体系は電気を多く使うファミリー世帯でメリットが大きくなりやすいです(一方、単身世帯などではデメリットになりやすい)
多くの地域では契約容量が大きくなるごとに基本料金が高くなります。アルカナでんきは契約容量に関係なく(60Aまでは)基本料金が0円なので、契約容量が大きく基本料金が高い使用シーンでメリットが大きくなります。
また、日本の多くの電力会社では電気を多く使うほど従量料金単価が3段階で高くなる料金体系を採用しています。アルカナでんきは使用量に関係なく一律の従量料金単価を採用しているため、電気を多く使うと大手電力会社よりも割安になりやすいです(一方で使用量が少ない場合は割高になりやすい)
ただしファミリー世帯で必ず安くなるわけではない点には注意が必要です。電気料金本体部分(基本料金+従量料金)だけで比較するとかなり安く見えますが、燃料費調整額(アルカナでは調達調整額)の部分がアルカナが割高になる場合があり、電気代トータルで見た場合もアルカナが大手電力各社より割高になる場合があります。試算する場合は必ず、毎月変動する調整額を含めて確認してください。
なお、当サイトの電気料金一括シミュレーションでは当面、アルカナでんきは掲載しない予定ですがこの記事のアクセス数が増加した場合に掲載を行う予定です。

アルカナでんきのデメリット
続いて、契約する前に必ず確認すべきアルカナでんきのデメリットをまとめます。
解約手数料が高額
アルカナでんきは供給開始から1年以内に解約した場合に22000円の解約手数料が発生します。
1年以上利用すれば解約手数料が掛からない点では解約条件が厳しいとは言えないものの、22000円という解約手数料は家庭向けの電気料金メニューとしては明らかに「高額」と言えます。解約手数料や解約違約金が一切発生しない新電力が多いですし、また解約手数料を設定しているところでもその額は3千円前後が一般的です。
当サイトでは原則として5千円以上の解約手数料・解約金等が発生する電力会社の利用は推奨しません。
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解約違約金が無い電力会社の一覧
一覧で紹介
市場連動で電気代高騰リスクがある
アルカナでんきは電力取引価格によって変動する「調達調整額」という仕組みを採用している市場連動型プランです。
市場連動型プランは電力取引価格によって電気代が変動する料金プランです。電力取引価格が下落すると電気代が安く、高騰すると電気代が高くなります。大手電力会社の標準メニューで採用されている「燃料費調整額」とは異なる動きをします(燃料費調整は燃料の輸入価格に連動)
電力取引価格はしばしば高騰しており、アルカナでんきのような市場連動型プランの電気代が高騰する原因となっています。
また、調整単価自体も他社と大きく異なり、電気料金を比較する際の注意点となっています。以下、東京電力エリアの調整単価を東京電力エナジーパートナーと比較します。
アルカナ | 東京電力 | |
---|---|---|
2024年4月分 | 11.61円/kWh | -5.71円/kWh |
2024年3月分 | 0.35円/kWh | -5.78円/kWh |
例えば2024年4月分の調整単価で比較した場合、月300kWhを使う一般家庭では調整額の部分でアルカナと東電の間には5196円(17.32円/kWh)もの差が生じます。東電の標準メニューとアルカナでんきの電気料金本体部分に5196円も差は無い(30A/300kWh)ため、調整額を含めた料金比較でアルカナでんきは東電標準メニューよりも(少なくとも単月では)大幅に高くなる恐れがあります。
この料金差は月によって大きく変動するため、アルカナの方が安くなるか高くなるか断定することはできません。電力取引価格は事前の予想が出来ないものです。
運営母体が小さい
アルカナエナジーは2021年設立の後発の新電力です。記事執筆時点で最新の電力需要統計によると、2023年12月の電力供給実績は180000kWh(低圧)と、一般家庭で換算して約600世帯相当となります。現時点では新電力の中でも小規模な会社と言えます。
