auでんきが市場連動型に?一部地域の契約者は要注意! | 電源調達等調整額とは

広告

電源調達等調整額を導入するauでんき系 注意点を専門家解説


 燃料費調整額の計算方法を変更し、新たに電源調達等調整額を導入するauでんき系サービス。これまで多数のメディア取材を受けてきた電力自由化の専門家が、この注意点を解説します。UQでんきPontaでんきVポイントでんきなどの契約者の方も必見。



電源調達等調整額の導入を発表したauでんき


 電源調達等調整額について、注意点を中心に解説します。


料金改定の対象は?


 今回の料金プラン改定の対象については、auでんきだけでなく、いいだのでんき、BIGLOBEでんき、UQでんき、じぶんでんき、グランパスでんき、モンストでんき、四季でんき、SKE48でんき、Pontaでんき、ANAでんき、ARUHIでんき、よみぽでんき、ピクシブでんきプラン、JAFでんき、ペルソナでんき、でんきクラブ(タカシマヤコース)、ゆめカードでんき、めぶき de でんき、グローバルポイントでんき、NCでんき、Vポイントでんき、わくわくでんきが対象に含まれます。


 また、導入は一部地域のみが対象です。対象地域は以下のとおり。



 また、上記サービス・地域に含まれていても、契約プラン名の末尾に「D」と付いているものは対象外となるなどの例外もあります。詳しくはauに問い合わせてください。


 導入は2023年6月以降となっています。


電源調達等調整額とは何か


 電源調達等調整額とは何か、これまでの燃料費調整額と比較しながら解説します。


(従来)
燃料費調整額
(改定後)
電源調達等調整額
計算根拠 財務省「貿易統計」
の燃料価格
auが調達した電気の
調達コストなど

 これまでの燃料費調整額は、大手電力各社などが導入しているのと同じ計算方法で計算されたものでした。ただし、計算方法は同じでも燃料価格が高騰した際の「上限」をauは2022年に廃止しており、燃料価格が高騰している今は大手電力従量電灯プランの燃料費調整額よりも高くなっています。


 この燃料費調整額に加えて、今後は電源調達等調整額が加算されます(燃料費調整額に含めて請求される) 


 電源調達等調整額は「(固定単価+変動単価)×使用量(kWh) 」という式で計算されます。この記事を執筆している時点で詳細は公表されていませんが、燃料・卸電力市場価格の高騰により今回の改定を行うとしているため市場連動型プランに該当するものとみられます。


 一言で言えば、auが調達している電気の調達コストを電気代に転嫁する仕組みということになります。


電力取引価格の月間平均の推移

電力取引価格の月間平均の推移

 2021年秋頃から燃料価格と、卸電力取引所での電力取引価格の高騰が続いています。これらのコストは、これまでの燃料費調整額の仕組みでは十分に電気代に転嫁することが出来なかったため、コストを転嫁できる仕組みを導入するというわけです。


市場連動型プランのリスク


 auだけでなく、ソフトバンクでんきなども続々、市場連動型プランへの移行を表明しています。


 こうした市場連動型プランは、電力取引価格が高騰した際に電気代が高額になる恐れがあります。auでんきの料金体系は現時点で不明(不透明)ですが、市場連動型の料金体系では電力取引価格の高騰により、電気代が大手電力標準プランの2倍以上になった例も過去にあります。auでんきは一定程度、市場連動になるでしょう。


 auでんきの改定後の料金体系は不透明で、計算に用いる「固定単価」も「変動単価」も現時点で公表されていませんが、2023年6月分のモデルケースとして月260kWhを使うケースで2288円の負担増となる見通しが示されています。


 この見通しは直近(ロシアによるウクライナ侵攻以来)では電力取引価格や燃料価格が低く推移していた2023年1〜3月分の実績をもとにした試算であり、価格高騰が著しかった2022年末の水準で計算した場合、更に高額になる可能性があります。


 更に、auでんきは2022年時点で燃料費調整額に設けていた「上限」を廃止したことで、大手電力従量電灯プランよりも電気代が高い状態となっています(2023年4月現在) 高くなっているものが、一段と高くなるおそれがあるというわけです。


 変動単価には上限・下限を設けるとしていますが、固定単価は6〜7円/kWhを予定しているとしており、変動単価を0円としても固定単価部分だけで月1500円前後電気代が高くなることになります(平均的な使用量の家庭の場合)




一時的に安く使える可能性はある、が・・


 市場連動型プランは電力取引価格によっては電気代が安くなる場合もあります。例えば2020年は電力取引価格が低く推移しており、このタイミングで私は自宅で市場連動型プランを利用しましたが、市場連動型でない中で「最安」のプランと比較して更に月1000円近く安く使うことが出来ました。


 とはいえ直近は電力取引価格の高騰傾向が続いていますし、長期的に電力需給が逼迫する見通しが2023年3月にも示されています。電力需給が逼迫すると、電力取引価格や新電力が電気を調達する際のコスト全般は高騰します。


年度 需給逼迫する地域
2023年 東京
2025年 東京、九州
2026年 北海道〜九州
2027年 北海道、九州
2027〜29年 九州

 電力取引価格は通常は月平均で8円/kWh程度ですが、過去には月平均が66円まで上昇(2021年1月・東京エリア)したこともありますし、2022年は断続的に20円以上の状況が続いていました。一方、過去取引価格が安かった2020年でも月平均は5円程度であり、「下げしろ」よりも「上げしろ」の方が遥かに大きいです。


 毎月コツコツ電気代が安くなることがあったとしても、ひとたび高騰が起きればそのコツコツ得てきたメリットは1ヶ月で吹き飛ぶ可能性があり、メリットよりもデメリット・リスクの方が大きいです。


 もっとも、auでんきの場合は1〜3月分の調達コストを6月分の電気料金に転嫁(2〜4月分を7月分に転嫁、3〜5月分を8月分に転嫁)する仕組みなので、取引価格高騰が起きてから逃げることも可能ですが、電源調達等調整額を導入する2023年6月時点で既に電気代が割高になる見通しが示されているという状況です。


契約者が取るべき対処方法は



 中部電力エリアでは、中部電力の従量電灯B/Cへの切り替えを速やかに行ってください。auでんきは市場連動型でない「でんきMプラン(中部D)」も提供していますが、このプランは2023年上半期現在、中部電力より割高になっています。他の新電力も多くが中部電力従量電灯より割高になっているので、推奨しません。


関西電力の燃料費調整単価

関西電力の燃料費調整単価(上限ありと無し)

 他のエリアではauでんきが提供している市場連動型でないプラン(末尾が「D」)へ切り替えるか、より電気代が安い他の新電力へ切り替えることをおすすめします。




関連記事


地域別 電気料金比較表

電気料金比較シュミレーション

電力自由化Q&A

項目別おすすめ

人気の電力会社