DeNAでんき

広告

DeNAが電力ビジネスに本格参入へ。


 横浜DeNAベイスターズのオーナー企業としても知られるIT大手のDeNAが電力ビジネスに参入することが分かりました。参入の背景や、今後の動向を電力自由化の専門家の視点から分かりやすく解説します。


横浜スタジアム



ダイヤモンドオンラインが「参入」と報道


IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が電力ビジネスに本格参入することが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。同社は今年4月、秘かにエネルギー事業推進室を設立していた。エネルギーをヘルスケア、オートモーティブに次ぐ成長分野と位置付け、収益の柱として育てていく方針だ。

引用元:DeNAが電力ビジネス本格参入、「新顔」続々参戦で大競争時代が始まる(DIAMOND online)

 2019年7月23日に、ダイヤモンドオンラインがDeNAの「電力ビジネス本格参入」を伝えました。


 DeNAといえば最近はプロ野球チームを保有する会社として知られていますが、ネットオークションサイトやSNSサービス「モバゲー」を運営しているIT企業です。IT企業がなぜ畑違いともいえる電力ビジネスに参入するのか、その背景を詳しく解説します。


DeNAはなぜ電力事業に参入するのか


 IT企業であるDeNAがなぜ電力ビジネスに参入するのか。その背景にある事情を考察します。


安定的な収益を得られる


 流行り廃りが早いIT業界とは違って、電力ビジネスは息の長い安定的なビジネスと言えます。例えばDeNAは関西電力と組んで石炭火力発電所の燃料を効率化するAIシステムの開発を進めていますが、こうしたサービスは一度契約を受注すれば長期間にわたる継続が期待できます。


 また、電力自由化で誕生した電気の小売ビジネスについても、特に一般家庭向けの契約は年単位で長期間の契約継続が期待できます。その間、毎月1万円程度の売上が継続的に入るビジネスモデルです。


他サービスとの相乗効果を狙える


 DeNAは「モバゲー」と野球チームのイメージが強い会社ですが、様々な分野で技術開発に力を入れています。


 例えば2015年からは自宅で簡単に遺伝子検査が出来る「MYCODE」という検査キットを販売しているほか、自動運転車や自動運転バスの開発に力を入れています。


 電力ビジネスへの参入について、DeNAエネルギー事業推進室の石坂弘紀室長がダイヤモンドの取材に対し「成長分野であるヘルスケアとオートモーティブの延長線上として考えたとき、エネルギー事業は非常に親和性が高いと感じた」と話しているように、それらの新規事業との相乗効果を期待していることがうかがえます。


遺伝子検査などを手がけるDeNA


「DeNAでんき」の成否は?


 DeNAの電力ビジネスは電気の小売だけでなく、発電所や送配電網の部分についても事業化を検討しているようですが、ここでは電力小売に参入して「DeNAでんき」が実現した場合の成否を考えたいと思います。


顧客との接点が弱いDeNA


 家庭向けに電力を供給している新電力会社は2019年7月現在で300社以上にのぼり、競争が激化しています。その中で多くのシェアを獲得している企業に共通していることは、従来から顧客との接点を持っている点です。


 2018年1月時点の販売電力量上位10社を見ると、ガス会社が3社、通信会社が4社など従来から顧客との接点を持っていた会社が占めています。既存サービスの顧客に対して郵送や対面で電気の契約を促せる企業が成功しやすい現状があります。


販売電力量のランキング

販売電力量のランキング

 それに対しDeNAは、顧客との接点が弱いと言えます。同じくIT企業で電力自由化に参入している楽天でんきは楽天会員にウェブ上で働きかけているほか、楽天モバイルの携帯電話ショップなど対面でも契約を促し、順調に会員数を伸ばしています。


 DeNA電力が成功するかは、顧客との接点をいかに増やしていけるかに掛かっていると言えるでしょう。遺伝子検査や自動運転など新規事業との連携に期待したいです。


遅すぎる参入


 2016年に電力の小売が全面自由化されてから既に3年が経ち、新電力会社の統廃合も少しずつ動き始めている段階です。主要な新規参入組はとうの昔に出揃っており、今後DeNA電力が電気の小売に参入するとすれば「出遅れ」は否めないです。


 出遅れを取り戻すには、世間に対して何らかのインパクトが必要です。ダイヤモンドの記事では、業界関係者の話として「電力料金0円という超価格破壊戦略」などが挙げられていますが、それくらいの衝撃が無ければ数ある選択肢の中の一つで終わってしまうでしょう。


 例えばスマートメーターやHEMSなどから収集した電力データを提供する代わりに、他の新電力会社よりも圧倒的に安い料金で使えるプランなどに期待したいです。DeNAが提供しているタクシー配車サービス「MOV」では、日清食品と提携して「0円タクシー」を運行したことがありましたが、そうした取り組みが参考になるでしょう。


次世代型電力メーター「スマートメーター」

次世代型電力メーター「スマートメーター」

 また、電力自由化では新電力会社同士の料金競争にばかり注目が集まっており、自由化のメリットを今ひとつ実感しづらい原因にもなっています。価格競争とは一線を画した、画期的な新サービスにも期待したいです。




関連記事


地域別 電気料金比較表

電気料金比較シュミレーション

電力自由化Q&A

項目別おすすめ

人気の電力会社