青汁王子「でんき0」を電気料金専門家が徹底解説 蓄電池はソンになる可能性も

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電気料金専門家による「でんき0」の解説 ソンになるリスクも


 青汁王子こと三崎優太氏が発表した「でんき0」を、電気料金の専門家として10年にわたり様々なメディアの取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。



でんき0とは(概要)


 サービス発表当日時点では約款がリンク切れになっているなど不明点が多いですが、現時点で公表されている情報を元にでんき0の概要を解説します。


青汁王子が始めた電力サービス


青汁王子

プレスリリース

 でんき0はインフルエンサーとして知られる青汁王子こと三崎優太氏がCEOを務めるとされているでんき0株式会社(香川・高松)が提供する電力関連サービスです。


 再エネ賦課金や託送料金により高騰する電気代の影響を緩和するため「電気代0円」を目標として、太陽光発電や蓄電池などのサービスを提供するとしています。


総評


 個々のサービスの解説は記事後半で詳しく述べますが、総評としては以下の2点に注意が必要だと感じました。



 太陽光発電については、条件が悪くなければ元が取れるとされている一方、蓄電池については日本では多くの場合、元が取れないとされています。したがって蓄電池を導入することで、再エネ賦課金・託送料金を支払う場合よりも経済的な負担が大きくなる恐れがあります。


 以上をふまえて、個々のサービスのメリット・デメリット、リスクを解説します。


各サービスのメリット・デメリット解説


 でんき0のサービスを解説します。


電気供給サービス(くらしゼロでんき)


 家庭向けに電力を供給するサービスです。現時点で約款がリンク切れとなっており、詳細を確認できませんが公式サイトに記載された特徴は以下のとおり。



 電力会社によって異なる調整単価(燃料費調整単価)が不明のため断定は避けますが、仮に東京電力エナジーパートナーと同じ調整単価だった場合、1人暮らし世帯(20A/170kWh)では東電の標準メニュー(従量電灯B)より高くなるものの、2人以上世帯(30A/348kWh)では無料時間を考慮しなくとも東電より安くなる料金設定です。調整単価しだいでは大手電力より割高になる可能性もあるため、調整単価をよく確認する必要があります。市場連動型プランであった場合は電気代高騰リスクにも注意が必要です(約款確認できず)


 オール電化プランに関する記述は見当たりませんでした。オール電化住宅で利用すると大手電力のオール電化プランよりも電気代が割高になるリスクがあります(オール電化住宅で非オール電化プランを使うと電気代が大幅に高くなるケースが多い)


 毎日決まった時間帯に電気代が「0円」になる料金プランとしてはHTBエナジーのママ得プランがあります。


でんき0FIT(売電サービス)


 20年にわたり余剰電力を売電できるサービスです。売電価格は以下のとおり。


プラン 期間 買取単価(税込)
太陽光+蓄電池導入プラン(7kWh以上) 1〜4年 25円/kWh
5〜10年 15円/kWh
11〜20年 11円/kWh
太陽光発電のみのプラン 1〜10年 15円/kWh
11〜20年 11円/kWh

 一般的な固定価格買取制度(FIT)による売電は24円/kWh(当初4年)、以後6年は8.3円/kWhなのでいずれも高い金額での買い取りとなります。


 主な特徴・メリットは以下のとおり。



 蓄電池を導入することで売電価格が上積みされますが、日本では一般的に蓄電池は「元が取れない」とされています。他社でも蓄電池を導入したユーザーに高値での売電を提供している会社がありますが、仮に平均的な売電量2500kWhを10円/kWh高く買い取っても増額分(この場合25万円)は蓄電池の導入費用の1割前後でしかありません。


 また、20年にわたる超長期的な契約となる点もリスクとして指摘できます。エネルギーのベンチャー企業として電力業界では有名なLooopでんき(中部電力も出資している会社)が、電気代の単価が20年にわたり毎年下がる料金プランを2020年に開始しましたが、2022年に提供を終了した事例があります。サービス終了や提供条件の悪化リスクはある程度想定する必要があります。


 太陽光発電のみで導入するのであれば、条件によっては悪くないかなと思いますが当サービスはFIT(固定価格買取制度)を利用せずに太陽光発電を導入する点にリスクがあります。FITを利用せずに導入した太陽光発電を、後からFITでの売電に切替えることは出来ません。万が一、導入後4年以内でんき0がサービス終了したり、売電価格が引き下げられた場合はソロバンが合わなくなるリスクがあります。他社に売電した場合は地域によりますが10円/kWh前後になります。


 蓄電池に関してはそもそも日本では初期費用を回収することが難しいケースが多いとされており、他社サービスも含めて経済性を重視するなら導入を推奨していません。国の補助金だけでは数字が合わず、過去にあった東京都の補助金のように自治体独自の(手厚い)補助金があるケースでは数字が合う場合もあります。


でんき0卒FIT(売電サービス)


 固定価格買取制度(FIT)による売電期間が終了した太陽光発電の余剰電力を買い取るサービスです。


プラン 期間 買取単価(税込)
蓄電池10kWh以上を導入するプラン 1〜4年 25円/kWh
5〜10年 15円/kWh
11〜20年 11円/kWh
蓄電池5〜10kWh未満を導入するプラン 1〜10年 15円/kWh
11〜20年 11円/kWh

 同社指定の蓄電池の導入が必要となるようです。


 公式サイトには「買取契約期間」として運転開始日から起算するとあるので、通常のFIT満了(10年)を経過した場合は11円/kWhでの売電となると理解できます。11円という水準は卒FITの売電価格としては特に東日本エリアでは必ずしも高くはありません。例えばエネクスライフサービスの卒FIT売電サービスは蓄電池無しでも12.5円/kWh(東電エリア)、11円(北海道電力エリア)という水準で買取を行っています。卒FITの売電価格は以下の記事で地域ごとに比較できます。


 卒FITブームの時に蓄電池が話題にのぼりましたが、卒FITを迎えてもやはり蓄電池は「元が取れない」ケースが多いため、蓄電池の導入が必要となる本サービスは経済的なメリットを得られない可能性を指摘できます。


環境価値買取サービス


 自宅の太陽光発電で発電し、自宅で電気を使用する「自家消費」に経済的なメリットを与えるサービスです。自家消費した分を0.4円/kWhで買い取ります。


 太陽光発電でつくられた電力は「環境価値」という価値を持っています。その電気が「再エネである、CO2を排出しない」という価値です。この価値を換金できるサービスで、とても面白いなと思いました。


環境価値のイメージ図

環境価値のイメージ図

 仮に蓄電池を導入せずに利用できるのであれば、ぜひ利用を検討したいサービスです。


でんき0のリスクを正しく判断するために知るべき情報


 でんき0のリスクを正しく理解するために知っておくべき情報を、電気料金の専門家としてこれまでに多くのメディア取材を受けてきた私がまとめます。三崎氏が2026年1月17日公開した『 大炎上している「でんき0」について。 』をふまえて解説します。


太陽光発電は条件が悪くなければ元が取れる


太陽光発電


 誤解している方が多いですが、日本において住宅用の太陽光発電システムは「条件が悪くなければ」元が取れるとされています。初期費用が不当に高額であったり、日陰になってしまう屋根でなければ初期費用は売電収入と電気代の節約(自家消費)によって十分まなかうことができます。


 三崎氏は2026年1月17日の動画の中で、経産省が出している目標価格より安値で販売するとしており、これが事実であれば日当たりの悪くない屋根では初期費用は回収できる可能性があります。


蓄電池は元が取れない可能性が高い


蓄電池


 この記事の前半でも繰り返し指摘してきたように、日本では家庭用の蓄電池は基本的に元が取れない商品とされています。蓄電池を導入することで太陽光発電の電気を自宅で多く消費できる(「電力会社の電気代単価-売電価格の単価」の利ざや)ことであたかも経済的メリットがあるかのような営業トークをしている蓄電池関連業者がとても多いですが、日本では基本的に元が取れません。


 国が蓄電池に補助金を出していますが、安価なメーカーの製品でも補助金を含めて試算しても数字が合いません。過去に東京都が蓄電池に手厚い補助金を出していたことがありますが、この補助金を含めて試算したところ、数字が「合った」ので当時とても驚きました。ですがこれは特異な事例と言えます。


 三崎氏は安価な中国メーカー製の蓄電池を販売すると2026年1月17日の動画の中で話していましたが、蓄電池は多くの場合元が取れない点については触れていませんでした。ローンを組めば手出し無しで導入できる、と話していましたが蓄電池を導入しないほうがお得になるケースが多いことを認識しているのではないでしょうか。


売電価格の将来性について


 三崎氏は2026年1月17日の動画の中で、事業の継続性についても触れていました。大手企業と提携し、電気を販売していくと説明していました。


 でんき0で売電する電力は固定価格買取制度を利用しない「非FIT」の電力です。非FITは近年、環境意識が高い企業から注目を集めており、ビジネスとしての着眼点は悪くないと言えます。


 ただし、注意点もあります。特に西日本エリアでは太陽光発電が「増えすぎた」ことで問題が発生しています。太陽光発電は晴れた日の昼間に発電します。西日本エリアでは晴れた日の昼間、かつ冷暖房を使わない時期に電力供給が余剰となる問題が起きています。


 電気は需要と供給量を常に一致させる必要があり、供給過剰は大規模停電を引き起こします。それを防ぐため、西日本エリアでは固定価格買取制度を利用した太陽光発電の電気の売電を一時的に停止する「出力制御」が頻繁に行われています。出力制御が行われると売電できず、売電収入が減少します。


 現状、住宅用太陽光発電は出力制御の対象外で、更にでんき0は非FITなのでその点からも出力制御の直接的な影響は無いと言えますが、間接的な影響はあります。


出力制御が行われた日の九州エリアの電力取引価格

出力制御が行われた日の九州エリアの電力取引価格

 出力制御が行われているタイミングで、電力の取引価格はかなり安価になる傾向があります。通常1kWhあたり10円程度の取引価格ですが、出力制御が行われているタイミングでは0.01円まで下がります。


 太陽光発電の導入拡大により出力制御は増加傾向にあり、昼間の取引価格も下落する傾向にあります。非FITの電力は価格面で割高であり、その傾向は今後も増大していくと言えます。その点で事業リスクは低くはないと言えます。


 とはいえ、「でんき0卒FIT」の11年目以降の売電価格は売電だけで契約できる他社と大きくは変わらない水準です。現時点で無理がある価格設定ではない(西日本では他社より高め)ものの、導入当初10年の蓄電池の販売で得た利益を長期間にわたり還元していくビジネスモデルを含んでいる点は指摘できるでしょう。




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