ダイレクトパワーの概要
親会社 | メディオテック | 電力調達 | 非公表 |
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供給エリア | 沖縄・離島除く全国 当初は一部地域のみ |
契約条件 | 特に無し |
ダイレクトパワーの特徴
・市場価格連動型の料金プラン
・住宅販売や再エネを手がけるメディオテックの関連会社
2019年4月にサービスを開始した後発の新電力です。戸建住宅の電気設備工事の会社として創業したメディオテック社のグループ企業です。メディオテックはほかに「ふくのしま電力」という新電力を抱えています。
ダイレクトパワーは特徴的な料金プランを提示していますが、大手電力会社よりも割高になるリスクもあります。その辺りの注意点も交えながら、サービス内容を詳しく解説します。
料金プランとサービスの解説
乗り換えでいくらお得になる?
ダイレクトパワーの料金プランは「市場価格連動型」という特徴的な料金体系をとっています。
卸電力取引所での電気の取引価格に連動して、30分ごとに料金単価が変わります。取引価格は株価や外国為替と同じように事前の予想が出来ないため、当サイトでは料金シミュレーションは行いません。
ダイレクトパワーの公式サイトでは、大手電力会社よりも「安くなる」といった紹介のされ方がされていますが、必ず安くなるわけではない点には注意が必要です。
卸電力取引所の取引価格は高騰することがあります。通常であれば1kWhあたり10円前後で取引されていますが、過去には100円を越えたこともあります。通常であれば電力会社側が負っているリスクを、契約者が負うことになります。
なお、公式サイトには「電力卸市場の取引価格と同額でご提供」「基本料金0円」とあり少々誤解のある書き方になっていますが、実際には基本料金に相当する費用が発生しますし、取引価格にダイレクトパワー側で加算する「取引手数料」や「送電ロス」などが加算されます。
解約時の違約金は?
1年契約の自動更新です。更新日から2ヶ月以内に解約する場合は費用は発生しませんが、それ以外のタイミングで解約するには2200円の解約事務手数料が発生します。
新電力としては、やや厳し目の解約条件と言えます。例えば同様の料金プランを導入している自然電力は違約金等が掛かりません。
支払い方法は?
クレジットカード払いのみです。
6500円分のAmazonギフト券がもらえる
公式サイトではなくインズウェブから申し込むことで、500円分のAmazonギフト券が付与されます。
ダイレクトパワーの評価
市場連動型で解約違約金が掛かるのは「リスキー」
市場連動型の料金プランであることは記事前半でも紹介したように、電気代が大幅に高騰するリスクもある点に留意すべきです。過去には瞬間的に100円/kWhを超えたこともありますし、断続的に20円以上で推移したこともあります。
また、更に注意すべき点は解約違約金が掛かる点です。
例えば、ある地域で大規模な発電所の支障が発生して、長期間にわたって卸電力取引所の取引価格が「高騰」することが想定されたとしましょう。取引価格の高騰が続いた場合、市場連動型プランは電気代が割高になる恐れが高くなるので、取るべき行動は「市場連動型でない他社への乗り換え」です。
しかし、違約金が掛かることでその選択が妨げられる、あるいは追加点に解約手数料で2千円を損することになります。このような料金プランでは解約違約金・手数料を取るべきではないと思います。
なお、同様に市場連動型プランを導入している自然電力は違約金等が掛からないので、市場連動型プランを契約する場合は自然電力を選ぶことをおすすめします。
環境面・エコ
2018年度実績のCO2排出量は1kWhあたり586gと、新電力としては排出量が「やや多い」と言える水準でした。環境負荷はやや大きいと言えます。
「市場価格」を毎日チェックするのは面倒
私は他社の市場連動型プランを契約した経験がありますが、毎日「市場価格」をチェックし、安い時間帯にあわせてドラム式洗濯機をまわしたり、食洗機を使うのは非常に大きなストレスを伴いました。
市場連動型でないプランの中で「最安」のプランよりも、更に電気代が安くなった月もありましたが、最安プランと比較しても大きな節約メリットは無く、節約メリットよりもストレスの方が大きいと感じました。
以下の記事で、市場連動型プランを利用した際の感想を詳細にまとめているので参考にしてください。実際の電気料金の請求金額も紹介しています。
技術開発との組み合わせに期待
ダイレクトパワーの関連会社が、ダイレクトパワーの市場連動型料金プランと連動して蓄電池などを制御するサービスを2020年6月から開始しています。
市場連動型プランはこれまでデメリットとして指摘してきたとおり、価格が高騰している時間帯に「電力の使用を控える」ことで料金を抑えることが出来ます。このような自動制御システムは、電気代が安い時間帯に充電を行い、高い時間帯に放電するといったことが出来るため、とても面白い・有意義な技術だと言えます。
残念ながら今はまだ蓄電池の価格が非常に高価であるため、こうしたシステムを活用しても蓄電池で「元を取る」ほどのメリットを得ることは出来ないと思われますが、今後蓄電池の価格が大幅に下落していけば、このような市場連動型プランと自動制御の蓄電池の組み合わせが威力を発揮するでしょう。
ダイレクトパワーの電気を安く使うコツ
ダイレクトパワーのような市場価格連動型の料金プランを安く使うコツを紹介します。
電気が「安い」時間帯に多く使う
電気の取引価格は1日の中でも大きく変動しますし、季節によっても変動が大きいです。安くなるのは以下のタイミングです。
- (休日)晴れた日の6時〜16時
- (平日)晴れた日のお昼12時台
- 春・秋
最近は太陽光発電の急増により、取引価格が下落する場面が見られます。特に休日昼間は取引価格が0.1円/kWhをつけることもあり、とてもお得です。
とりわけ「太陽光あまり」は西日本エリア(中部電力・北陸電力以西)で深刻で、西日本エリアでこの傾向が強いです。
電気が「高い」時間帯の使用を控える
高くなるタイミングでの使用を避けることも重要です。
- 真冬・真夏の夕方〜夜
- 夏・冬(特に冬)
太陽光発電による発電が期待できず、また冷暖房の需要がある時期は価格が高騰しやすいです。
また、2019年春に送電線が強化されて以前ほどは緩和されると見込まれていますが、北海道エリアは価格が高騰しやすいです。
まとめると・・
ダイレクトパワーのような市場価格連動型のプランを使うメリットが大きくなるのは、以下のようなお宅です。
- 昼間あるいは深夜の使用量が多い
- 休日昼間に電気を多く使う
- 冬は石油やガスストーブを使っている
- 西日本エリアに住んでいる
2021年1月現在の価格高騰について(1/8追記)
当サイトではこれまで市場連動型プランについて注意喚起を続けてきましたが、2020年の年末から卸電力取引所の取引価格が異常な高騰を続けています。
年度 | 平均価格 |
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2020年度 | 38.85円/kWh |
2019年度 | 7.36円/kWh |
2018年度 | 9.95円/kWh |
2017年度 | 9.78円/kWh |
2016年度 | 8.49円/kWh |
これは各年度の年末年始、12月26日〜1月6日の取引価格の平均値(東京エリア)ですが、2020年度が突出して高いことが分かります。1月に入ってから更に高騰を続けており、1月4〜9日で平均を取ると79.6円となります。
現在の取引価格の水準で電気を使用すると、電気代が大手電力の数倍と高額になります。年末年始の平均値で計算しても、東電が6800円のところダイレクトパワーは15000円前後と2倍近くになります。
このタイミングで契約することは絶対におすすめしませんし、既にダイレクトパワーと契約している人は直ちに解約(他社への切り替え)を推奨します。詳しくは以下の記事をご参照ください。この価格高騰は春先まで続く可能性があります。
なお、当サイトでは今回のような価格高騰・変動リスクを考え、市場連動型プランを料金シミュレーションに掲載していません。