ヱビス電力の概要
運営会社 | シグナストラスト | 電力調達 | 不明 |
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供給エリア | 沖縄・離島除く | 契約条件 | 一部地域では 30A以上 |
目次
ヱビス電力の特徴
- 解約違約金に注意
- 電気代にポイント還元
- 電気代は全国最高値水準(2023年9月現在)
東京、目黒駅近くに本社をおくシグナルトラスト社の新電力サービスです。同社は飲食店の営業支援事業などを手掛ける企業ですが、昨今はこれまで培ってきた顧客網も生かしながら電力事業に力をいれているそうです。また、熊本電力が事業終了するにあたって、エビス電力への切り替えが熊本電力から提案されたことでも注目を集めました。
そんなエビス電力は解約条件が厳しく解約金が高いことや、電気代が「最高値水準」で推移(2023年9月現在)するなど注意すべき点を指摘することができます。他社のサービスとも比較しながら、メリット・デメリットを詳しく解説します。
料金プランとサービスの解説
乗り換えでいくらお得になる?
当サイトの電気料金一括シミュレーションにエビス電力の「ヱビスおうちプラン」と「ヱビス法人プラン」を掲載しています。2023年8月改定分の料金単価です。毎月独自に変動する電源調達額も毎月更新し、反映しています。
一般家庭の平均的な使用条件(30A契約・月348kWh)で試算すると、当サイトの電気料金シミュレーションに掲載している料金プランとしては北海道から九州まで全エリアで「最高値」となっています(2023年9月現在、料金改定済みプランでの試算) 電気代がとても高い電力会社です。
セット割引は?
「エビス光」とセット契約にすることで、電気の基本料金が1年間無料となります。
解約時の違約金は?
注意が必要な点です。発生条件、金額は以下のとおり。
- 6ヶ月以内の解約で22000円
- 1年以内の解約で11000円
- 2年未満の解約で5500円
金額・発生条件ともに新電力の解約違約金としては「厳しい」ものです。
なお、2年以上契約した場合、あるいはエビス電力の対応エリア外への引っ越しなどやむを得ない事情がある場合は解約違約金は掛からないとしています。
支払い方法は?
クレジットカード払いのみ対応しています。
ヱビス電力の評価
解約条件に注意が必要
記事前半でも紹介したように、エビス電力の解約条件は新電力としては「かなり厳しい」と言わざるを得ないものです。
これまでの顧客であった飲食店などに対して提案を行っているとの記事がありましたが、この解約条件は事業者向けを想定して検討したものであると感じます。今後、一般家庭向けのユーザーに対しては解約条件を緩和することを期待したいです。
一般家庭では、解約違約金が発生してしまうと節約金額以上の負担となってしまう点には注意が必要です。
環境面・エコ
環境省が公表したCO2排出係数のデータは以下のとおり。
年度 | 排出量 |
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2018年度 | 332g |
2017年度 | 467g |
2016年度 | 実績無し |
17年度は東電と同等、新電力としては平均的。18年度の値は新電力としては非常に優秀な値です。18年度の数値であれば、環境負荷が小さな電力であると評価できます。
電気代が最高値水準 電源調達額に注意
記事前半でも示したとおり、エビス電力の電気代は当サイトで掲載している料金プランの中で北海道から九州まで全エリアで最高値水準です。2人世帯の平均的な使用条件、30A契約で月348kWhの電気を使うケースで試算した場合、東京電力の標準メニューと比較して実に年間21万円も割高です(2023年9月分電源調達額を含めた試算)
電気代が高額になっている最大の原因は電源調達額です。電源調達額は「電力取引価格」に応じて単価が上下する仕組みで、日本卸電力取引所での電気の取引価格などを加味して決定されます。実際の単価を見てみましょう
社名 | 2023年9月分 調整単価/東京エリア |
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エビス電力 | 47.27円/kWh |
東京電力エナジーパートナー 従量電灯B |
-5.22円/kWh |
東京電力では-5.22円/kWhなので、一般家庭の電気使用量(月348kWh)では調整額によって電気代が1816円安くなります。それに対しエビス電力では調整額により、一般家庭でひと月に16449円割増となるため、差し引きで1ヶ月に1.8万円以上の差が生まれます。
東京電力で30A契約・月348kWh使った時の電気代は1.1万円(23年9月、再エネ賦課金含まない)なので、エビス電力は調整額だけで東電の電気代を裕に越しており、結果として電気代が東電の2倍どころか2.5倍以上という水準になっています(いずれも23年9月分、再エネ賦課金を含まない)
市場連動型プランは電気代が高騰するリスクがあるため、当サイトでは基本的に利用を推奨していません。エビス電力の料金プランは市場連動型プランの中でもとりわけ調整額が高水準で推移(2023年9月までの実績)しており、注意が必要です。
電気代本体部分(基本料金+電力量料金)よりも調整額の方が高額、というのはいかがなものかと思います。エビス電力の調整額については電力業界の業界紙である電気新聞が2022年4月11日に紙面で取り上げ、問題点を指摘しています(私が取材協力させていただいた記事で、当サイトの名前も登場します)
何かご不明な点、お困りのことがある方は以下の公的機関への相談をおすすめします。
- 電力・ガス取引監視等委員会 相談窓口(経済産業省)
- 国民生活センター