エトスでんきの概要
新電力として登録されているエトスでんきについて、同社の問題点を指摘し注意喚起します。
エトスでんき(Ethos合同会社)とは?
エトスでんきは2018年に日本で新電力として登録された会社です。2017年に設立されました。米国の新電力であるストリームエナジー社に勤務していた経験をもつGreg Martin (グレッグ・マーティン)氏が創業したとされています。
経産省が2020年5月に公表した電力販売実績データによれば、20年2月に276000kWhの電力を販売した実績があります(すべて低圧電灯) 276000kWhというのは一般家庭(月260kWh)に換算すると1062世帯分に相当し、新電力としては小規模な会社と言えます。
なお、過去に特商法違反で関係者が逮捕され、後に破産したエレトスでんき(エレトス合同会社)とは名前が似ている上、過去に港区南麻布にある同じビルに登記を置いていたこともありますが、別の会社です。エレトスは2020年6月現在、破産手続きが進められており事業を行っていません。
エトスでんきの問題点
エトスでんきについて問題点を指摘します。
代理店による勧誘に注意
エトスでんきは「ネットワークビジネス」を展開し、代理店を通じた勧誘活動を活発に展開しています。しかし、そうした代理店の中には誤った情報を提供し、勧誘活動を行っているものが一部あります。
例えば上記の動画では、再エネ賦課金込みの価格を提示しているのは全国700社ある新電力の中でもエトスだけであるとの旨の解説がなされていますが、実際には新電力大手のF-Power社が提供しているピタでんの「使いたい放題」プランも再エネ賦課金を追加徴収しない料金プランであるため、誤った説明であると言えます。資料には2020年5月現在とありますが、ピタでんは以前から存在している料金プランです。
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— エトス電気へ電気代乗り換えで節約 (@denkiotoku) June 4, 2020
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また、「どこよりもオトクになります」と宣伝していますが、この代理店のサイト(https://denkiotoku.com/info/)には年間150000円の電気代を使用する場合、エトスでんきに乗り換えることで年間7500円お得になるとありますが、この試算が事実であり、また仮に東京電力エリアの話であるとすれば、例えば熊本電力やHTBエナジー(プライムプラン)などは東電と比較して年間2万円以上安くなるため、7500円しか安くならないのであればどこよりもオトクとは言い難いです。
年間150000円の使用から7500円の削減で「どこよりもオトク」になるとすれば沖縄電力エリアではありえる話ですが、エトスでんきは沖縄には供給しないとしています。
代理店が勧誘に成功すると、電気の使用量に応じて毎月5円〜の報酬が発生する仕組みとなっています(詳しくは上記の動画を参照)
公式サイトの内容に不安も
2020年6月7日時点で同社公式サイト(https://ethos.jp/)を確認したところ、いくつかの問題点を確認することが出来ました。
- 2020年6月時点で税率8%との表記が散見される
- 内税、外税の判別が付きづらい
- 申込みページと約款に記載された料金単価が異なる
消費税の扱いについては不明瞭な部分が目立ちます。2019年10月に8%から10%へと引き上げられた消費税率ですが、2020年6月時点においても「消費税は8%で課税されます」との記載がある点や、外税表記か内税かの判別が付きづらい点は問題点として指摘できます。
また、エトスでんきは供給地点番号やメールアドレスなどを入力して始めて料金プランの詳細を確認できる仕組みをとっていますが、掲載された料金プランを見てみると申込み画面に表示された料金単価と、約款に記載された料金単価が異なりました(約款は申込みページからリンクされた03-Tokyo-SwitchAndSave_jp.pdfというファイルを参照)
申込みページ | 約款(PDF) | |
---|---|---|
基本料金 10Aあたり | 249.96円 | 245.42円 |
0〜120kWh | 17.86円 | 17.37円 |
120〜300kWh | 23.8円 | 21.07円 |
300kWh以上 | 27.48円 | 23.50円 |
いずれも消費税率8%との表記がありますが、8%と10%が混在しているというわけでもないようです(計算が合わない)
可能性として考えられるのは、外資系新電力にありがちな料金単価が毎月変動する料金プランである可能性ですが、その点については公式サイト内で明確に触れられていないため、もし変動型のプランであった場合はそれはそれでまた別の問題があります。
エトスでんき代理店が発信している情報などを見ていると、2020年6月に料金プラン等のリニューアルが行われる予定があるようですが、記事執筆時点の情報として紹介しておきます。
CO2排出量が多い
環境省が公表した2018年度実績のCO2排出係数のデータを見ると、Ethos合同会社の排出量は1kWhあたり770gと、新電力としてはCO2排出量が極めて多いと言わざるを得ないものです。
電源の調達方法は明示されていませんが、環境負荷が大きな電気であると評価できます。全国の大手電力10社すべてよりも排出量が多いです。