- 文:管理人石井 2022年9月20日更新
- ホーム
- 電気料金比較
- FPS(旧F-Power)
- サービス終了
事業撤退するFPS(旧F-Power)
FPS(旧F-Power)が低圧電力事業から撤退することを発表しました。契約者が取るべき対処方法や、乗り換え先としておすすめの電力会社を紹介します。
- この記事の著者:石井元晴
2014年から当サイトを運営。産経新聞、週刊女性自身、週刊ポスト、女性セブンなど数々のメディアに電力自由化の専門家として取材を受けてきました。400社以上の料金プランに目を通しています。
FPS(旧F-Power)とは
省エネコンサルタント事業を行っているファーストエスコ(現エフオン:マザーズ上場)の新電力部門として、2009年にスタートしましたが2021年に会社更生法申請し倒産。物流施設大手の日本GLP(中国国有・国営企業系)の傘下に入り、再出発を図っていた会社です。F-Power時代は新電力としては販売電力量1位の座にいたこともあります。
自社ブランドのピタでんのほか、各地の代理店と提携して販売していたはなカメくん電気やハロー電力などのブランドで低圧電力の販売を行っていました。
FPS(旧F-Power)が撤退する理由・背景
FPS(旧F-Power)が低圧電力の販売から撤退する背景にある事情を解説します。
電力取引価格の大幅な高騰が背景に
日本では2021年秋頃から電力の取引価格が高騰しています。以下は卸電力取引所の電力取引価格の月平均価格です(東京電力エリア向けの取引価格 単位:円/kWh)
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|---|
19年度 | 9.03円 | 8.71円 | 8.17円 | 7.59円 | 7.48円 |
20年度 | 5.35円 | 14.35円 | 66.53円 | 8.29円 | 6.70円 |
21年度 | 17.59円 | 18.04円 | 23.95円 | 23.36円 | 30.76円 |
通常、卸電力取引所の取引価格は平均で8〜9円程度と言われていますが、2021年秋から平均的な水準の2倍以上の価格で推移しています。
取引価格高騰の原因はLNG(液化天然ガス)や石炭価格の大幅な高騰と、電力需給の逼迫が要因として挙げられます。2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻により一層取引価格が高くなったのも事実ですが、侵攻前から既に高騰が起きていました。
2023年1・2月にも深刻な電力不足が想定されており、再び電力取引価格の大幅な高騰が起こることが懸念されています。
新電力の事業撤退が相次いでいる
現在の取引価格の水準では、ほとんどの新電力が赤字になる水準です。また、2022年冬(2023年1・2月)にも電力需給の深刻な逼迫が起きることが予測されており、「次の冬」にも大幅な電力取引価格高騰が起こる見通しです。
それを受けてFPS(旧F-Power)と同じように新電力事業から撤退する会社が相次いでいます。
- 熊本電力
- 御所野縄文電力
- Natureスマート電気
- エルピオでんき
- みの市民エネルギー
- アンビットエナジーでんき
- あしたでんき
上記の新電力が2022年以降、事業の停止を発表しています。
契約者が取るべき対処方法は
FPS(旧F-Power)契約者は何をすべきか。対処方法を解説します。
時機を見て他社への切り替えを
FPSは2022年9月20日より3ヶ月後の検針日をもって電力供給を停止することを表明しています。少なくとも12月20日まではFPSからの電力供給が継続しますが、期限までに必ず他社への切り替えを完了させてください。
他社に対し申込みを行うと、FPS(旧F-Power)に解約の手続きが自動で飛ぶので、FPS(旧F-Power)に対し電気の解約手続きを行う必要はありません。他社に切り替える際に「供給地点特定番号」と呼ばれる22桁の数字と、FPS(旧F-Power)の「お客様番号」が必要となるので確認してください。また、FPSは解約違約金の設定があるプランが多いですが、解約による精算金は発生しないとしています。
電力会社の切り替えは、申込みから1ヶ月前後掛かることが多いです。従って10月末までには他社への申込みを完了させることを推奨します。早ければ早い方が安全です。
なお、FPS(F-Power)は電気代が安いというイメージがありますが、燃料費調整に上限を設けていないため、燃料価格が高騰している昨今は地域によっては大手電力従量電灯プラン(燃料費調整に上限がある)よりも割高になっていることも珍しくありません。その点からも早めに切り替え手続きを行うことを推奨します(「ピタでん使いたい放題」は燃料費調整の加算が無いため、昨今の情勢下では非常に安い)
手続きすれば停電の心配は無い
期限までに他社に切り替える手続きをすれば、停電することなく電気の使用を継続出来ます。私自身、契約していた熊本電力が2022年3月をもって供給を停止するというトラブルに巻き込まれましたが、停電すること無く電気の使用を継続することが出来ています。安心してください。
何もせずに放置しておくと停電しますが、しっかりと速やかに手続きをすれば停電する心配は無いので安心してください。
切り替え先を選ぶ際の注意点
脱出先を選ぶ際の注意点を解説します。
必ず燃料費調整に上限がある料金プランを選ぼう
現在、燃料価格が高騰しています。多くの電力会社では燃料価格の変動を毎月の電気料金に転嫁する燃料費調整を採用しています。
大手電力会社の従量電灯プランや、一部の新電力の料金プランではこの燃料費調整に「上限」を設けています。一方、F-Powerを含め多くの新電力や、大手電力会社の新しい料金プランには上限がありません。
燃料費調整単価 2023年4月分 |
電気代の差 月300kWh | |||
---|---|---|---|---|
上限あり | 上限無し | 差 | ||
北海道電力エリア | 3.66円/kWh | 8.57円/kWh | 4.91円/kWh | 1473円 |
東北電力エリア | 3.47円/kWh | 11.80円/kWh | 8.33円/kWh | 2499円 |
東京電力エリア | 5.13円/kWh | 10.25円/kWh | 5.12円/kWh | 1536円 |
中部電力エリア | 5.36円/kWh | 9.93円/kWh | 4.57円/kWh | 1371円 |
北陸電力エリア | 1.77円/kWh | 9.34円/kWh | 7.57円/kWh | 2271円 |
関西電力エリア | 2.24円/kWh | 9.67円/kWh | 7.43円/kWh | 2229円 |
中国電力エリア | 3.19円/kWh | 13.77円/kWh | 10.58円/kWh | 3174円 |
四国電力エリア | 2.55円/kWh | 10.76円/kWh | 8.21円/kWh | 2463円 |
九州電力エリア | 1.94円/kWh | 7.56円/kWh | 5.62円/kWh | 1686円 |
沖縄電力エリア | 3.98円/kWh | 17.32円/kWh | 13.34円/kWh | 4002円 |
F-Powerのように電気料金本体部分で「最安水準」の料金プランであっても、この燃料費調整の上限が無いことによって大手電力従量電灯より割高になる現象が生じています。移行先は必ず燃料費調整に上限があるプランを選んでください。
地域別料金比較
2022年9月現在で新規申込みが可能な主な新電力の料金を比較します(大手電力標準メニューとの世帯人数ごとの平均使用量での年間料金比較) 現時点で燃料費調整に上限を設定している料金プランのみ抜粋しています。
北海道電力エリア
北海道電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -5640円 | -7200円 | -9000円 |
北海道ガス (給湯+暖房割) |
-4686円 | -10235円 | -11714円 | -13290円 |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -4.5% -6028円 |
-4.5% -7011円 |
-4.5% -8050円 |
東北電力エリア
東北電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -4.5% -5009円 |
-4.5% -5876円 |
-4.5% -6791円 |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -1320円 | -2880円 | -4200円 |
東京電力エリア
東京電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
下町でんき 下町電灯B |
20A契約不可 | -5.0% -5682円 |
-5.0% -6638円 |
-5.0% -7648円 |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -2520円 | -4320円 | -7440円 |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -4.5% -5169円 |
-4.5% -6043円 |
-4.5% -6965円 |
中部電力エリア
中部電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -4.5% -5095円 |
-4.5% -5918円 |
-4.5% -6789円 |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -1440円 | -1920円 | -2160円 |
北陸電力エリア
北陸電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -2.7% -2586円 |
-4.5% -4993円 |
-4.5% -5713円 |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -2280円 | -2760円 | -5400円 |
関西電力エリア
関西電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 月170kWh |
月348kWh |
月391kWh |
月437kWh |
コスモでんき スタンダード |
0円 | -2640円 | -5160円 | -6120円 |
コスモでんき ポイントプラス |
-0.9% -410円 |
-2.7% -2775円 |
-4.5% -5298円 |
-4.5% -6018円 |
中国電力エリア
中国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 月170kWh |
月348kWh |
月391kWh |
月437kWh |
コスモでんき ポイントプラス |
-0.9% -424円 |
-4.5% -4841円 |
-4.5% -5534円 |
-4.5% -6276円 |
コスモでんき スタンダード |
0% 0円 |
-2760円 | -5040円 | -5760円 |
四国電力エリア
四国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 月170kWh |
月348kWh |
月391kWh |
月437kWh |
コスモでんき ポイントプラス |
-0.9% -434円 |
-4.5% -4884円 |
-4.5% -5599円 |
-4.5% -6364円 |
コスモでんき スタンダード |
0% 0円 |
-2520円 | -5040円 | -5880円 |
九州電力エリア
九州電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -2520円 | -4320円 | -6840円 |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -2.7% -2745円 |
-4.5% -5348円 |
-4.5% -6164円 |