HTBエナジーの概要
親会社 | 光通信 | 電力調達 | 他社、自社発電所など |
供給エリア | 一部離島を除く全国 | 契約条件 | プランにより異なる |
目次
特徴
- HISグループが売却 光通信グループへ
- 料金高騰リスクがある料金体系へ移行済み
HTBエナジーは大手旅行代理店HISグループとして設立された新電力会社です。HISグループの新電力会社として「HISでんき」というブランド名でも展開していましたが、2022年4月に光通信グループへの売却が発表されました。
そんなHTBエナジーを、電力自由化の専門家として多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。

料金プランの解説
地域別 乗り換えでいくらお得になる?
当サイトの電気料金一括シミュレーションで料金シミュレーション出来ます。毎月変動する電源調達調整費も毎月更新して反映しています。
「ベースプラン」は基本料金が一律額であるため、契約容量が大きい場合にお得になりやすい料金体系です。条件によっては寄付金付きの「MUSUBIプラン」の方が安いです。電気の使用量が少ない場合はMUSUBIプランの方が安く、ファミリー世帯ではベースプランの方が安いです。

ママトクコース
毎日一定時間帯の電気料金が「無料」のママトクコースと朝ママトクコースを紹介します。
朝ママトクは6〜8時、ママトクは19〜21時の電気料金が無料になるというプランです。この時間帯にまとめて家事をする人に魅力的なプランです。
ただし、注意点もいくつかあります。
- 基本料金が通常プランの2倍程度
- 「無料」になるのは月間使用量の16.6%まで
- 無料時間帯にあわせて家事をするのは意外と大変
契約にあたってはスマートメーターから取得した30分ごとの使用量データをもとに、詳しくシミュレーションすることを強くおすすめします。そうでないと正確な試算が出来ないので、当サイトのシュミレーションなどには載せていません(他の比較サイトの試算結果もアテにしないほうがいいです)
寄付金付きの「MUSUBIプラン」
MUSUBIプランは大手電力の標準メニューと同水準の料金設定のプランです。料金削減メリットが無い代わりに、電気料金の4.5%を人身売買の防止活動や、海外での医療・教育支援などの活動に毎月自動で寄付し続けることが出来る料金メニューです。
1世帯の電気料金は平均で年間10万円と言われているので、年間4500円を継続して寄付し続けることが出来るイメージです。

HTBエナジーのサービス
セット割や特典は?
「東京ガス」のエリアにお住まいの人に限られますが、HTBエナジーはガス自由化にも参入したため、ガスとのセット割引も導入されました。ガスのみの契約は出来ず、電気とのセット契約が必要です。
解約時の違約金は?
1年未満の解約で2200円が発生します。
1年以上利用すればその後は違約金は掛かりません。
支払い方法は?
クレジットカード払いと、コンビニ払い(手数料200円)の他、口座振替にも対応しました。
口座振替は手数料不要で、都市銀行や主要な地銀の他、主要なネット専業銀行(ネットバンク)にも対応しています。
電気使用の「見える化」サービス
ウェブのマイページから自宅の電気使用量を確認できる「見える化」を提供しています。
データは1時間半程度遅れて随時反映されます。データが1日1回まとめて更新される「見える化」を提供している新電力も多いので、HTBエナジーの見える化はその点、使い勝手が良いと言えます。

HTBエナジーの評価
環境・エコ

環境省が2022年1月に公表した2020年度実績のCO2排出量は1kWhあたり538gと、新電力としては「平均的」か「やや多い」と言える排出量です。
電源構成は詳細に公表していませんが、卸電力取引所から調達を行っているとしています。
光通信グループへ売却
HISグループの新電力会社として設立されたHTBエナジーですが、2022年4月に光通信グループへ売却されました。
HISは本体の旅行事業が新型コロナ禍の影響を受けて低迷、またHTBエナジーも2020年末から1ヶ月にわたり発生した電力取引価格高騰や、2021年下半期から長期間続く電力取引価格高騰の影響を受け業績が低迷。2021年9月期に100億円近い赤字を計上し、直近は債務超過に陥っています。
HISはHTBエナジーの自社グループ内での再建を断念し、電力小売事業を広く手掛ける光通信グループへHTBエナジーを売却することを決定しました。光通信はハルエネ、エフエネ、グランデータなどグループ内に複数の新電力を抱えており、電力小売事業の拡大に力をいれています。
料金高騰リスクがある料金体系へ変更
2022年10月分の請求から料金体系が変更されます。
電源調達調整費を導入 市場連動型に
HTBエナジーは2022年10月分の電気料金から新たに「電源調達調整費」を導入し、市場連動型プランに移行しました。。
電源調達調整費は日本卸電力取引所での電気の取引価格の変動を、ユーザーが支払う電気料金に転嫁する仕組みです。2022年になって導入する新電力が増えていますが、多くの電力会社は採用していない特殊な料金体系です。
HTBエナジーを含め多くの電力会社では、天然ガス・石炭・石油の輸入価格の変動を毎月の電気料金に転嫁する「燃料費調整制度」を採用していますが、電源調達調整費はそれとは異なります。なお、HTBエナジーは燃料費調整の加算もあわせて継続するとしています。
このような料金体系は過去、電力取引価格の高騰に伴い電気代が高騰したため、リスクが大きいです。当サイトでは基本的に契約を推奨していません。当サイトを含め電気料金比較サイトのシミュレーションは単月の調整単価をもとに計算しているため、電力取引価格が安い春・秋に実態よりも安く表示される傾向があります。
現在の情勢下では非常にリスキー
現在、電気の取引価格は燃料費の高騰と電力需給の逼迫を受け、暴騰を続けています。HTBエナジーが経営危機に陥ったのも電気の取引価格高騰が原因です。
電源調達調整費は電力の取引価格が安く推移すれば電気代が安くなる方向にも作用しますが、リスクが大きい料金体系と言えます。下表は直近3年間の東京エリア向けの取引価格の月平均の推移です。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2020年 | 8.17円 | 7.59円 | 7.48円 | 6.85円 | 5.75円 | 5.57円 |
2021年 | 66.53円 | 8.29円 | 6.70円 | 7.05円 | 6.98円 | 7.02円 |
2022年 | 23.95円 | 23.36円 | 30.76円 | 21.65円 | 19.50円 | 25.27円 |
HTBエナジーの電源調達調整費の加算率は30%と、同様に電源調達調整費を採用している新電力と比べて低い(50%や100%という新電力もある)ものの、電力取引価格の推移によっては電気代が高くなるリスクがあります。
当サイトの電気料金一括シミュレーションでは電源調達調整費を含めた試算を行っており、電源調達調整費を含めても他社より安い結果となる場合もありますが、リスクがある点は注意が必要です。積極的に推奨するものではありません。
