北海道ガスの電気代値上げを専門家解説
2023年9月分から電気代を値上げする北海道ガス。この影響や背景、契約者が取るべき対処方法を、これまでに電気料金の専門家として多数のメディア取材(日経トレンディ、産経新聞、週刊女性自身等)を受けてきた私が分かりやすく、事実に基づいて解説します。
目次
電気料金を値上げする北海道ガス
まずは値上げの全容や背景を解説します。
値上げする理由
北海道ガスは2023年9月から電気代を値上げする背景として、燃料価格の高騰を挙げています。
2022年2月に起き、今も収束する気配が無いロシアによるウクライナ侵攻や世界的な金融緩和の影響を受け、石炭や液化天然ガス(LNG)の価格が高止まりしています。また、それらのエネルギーは米国ドルで取引されており、円安の進行も追い打ちを掛けている状況です。
北海道ガスは天然ガスや石炭による発電で電気を調達しています。燃料価格が高騰していることで価格の維持が難しくなっています。
北海道ガスに先んじて、北海道電力も2023年6月から電気料金の改定を行っており、北海道ガスを含めた新電力各社もそれに追随する形で料金改定(値上げ)を行っています。
値上げの影響・値上げ幅は?
値上げ幅は、標準的な一般家庭で1割前後、金額にして月800円前後です。
ちなみに、燃料価格の変動を毎月の電気料金に転嫁する燃料費調整制度という仕組みを北海道ガスも導入しています。これまで北海道ガスでは、北海道電力の「従量電灯」と呼ばれる標準メニューと全く同じ燃料費調整の計算式を導入していました。
これまでは燃料費調整を計算する際に使う燃料価格に「上限」を設けていましたが、今後はその上限が無くなります。北海道ガスはこれまで、燃料費調整の上限を維持してきましたが、他の多くの新電力各社は2022年中にこの上限を撤廃していました。これまで耐えてきた北海道ガスは称賛に値すると言えますが、今後はこの上限が無くなる点は頭の片隅に入れておいてください。
北海道電力の従量電灯の燃料費調整の上限は、2023年6月の値上げに合わせて大幅に引き上げられています。2022年に起きた異常な燃料価格高騰を更に大幅に上回る超異常な事態(世界経済が破壊されるような深刻な状況)が再び起こらない限りは、上限の有無は当面気にする必要はありません。ちなみに、北海道電力でも従量電灯以外のプランでは燃料費調整の上限はありません。
北海道ガスの電気契約者が取るべき対応
北海道ガスの電気を契約している人が取るべき対応をまとめます。
そのまま使い続けるのがおすすめです
北海道ガスは引き続き、北海道電力の標準メニューより割安であるだけでなく、道内で利用できる新電力の中でもかなり割安です。したがって、北海道ガスの電気を使い続けるのがおすすめです。記事執筆時点で料金改定を既に発表している道内の新電力の中で、北海道ガスは多くの条件において最安水準です。
詳しくは当サイトの電気料金一括シミュレーションで確認してください。北海道ガスの料金改定後の単価で他社と比較できます。
情報は随時更新しているので、ぜひ当サイトをブックマークに入れて時々見に来ていただけると幸いです。現時点では北海道ガスが最良の選択であると思います。
もっと安くなる電力会社もあるがリスクがある
実は北海道ガスよりも更に割安になる(2023年7月時点)電力会社もあります。平均的な家庭(30A契約・月348kWh)で北海道ガスより月1000円以上安くなっている電力会社も存在しています。
これらの北海道ガスよりも大幅に安くなっている料金プランは、いずれも市場連動型プランと呼ばれる特殊な料金プランです。市場連動型プランは、電気料金が「電力の取引価格」に連動して変動する料金体系です。電力取引価格が安くなると電気代が安く、取引価格が高くなると電気代も高くなります。北海道ガスは値上げ後も市場連動型プランではありません。
市場連動型プランは、電力取引価格によっては電気代が北海道電力標準プランの2倍以上になることもあります。一時的に安くなっていたとしても、ドカンと割高になるリスクがある点には注意が必要です。当サイトでは基本的に市場連動型プランの利用は推奨していません。電気料金一括シミュレーションでは市場連動型プランと北海道ガスの料金を比較することも可能です(初期状態では市場連動型プランを表示しない設定としています)