キグナス石油の電力自由化
ガソリンスタンドを展開するキグナス石油の「電気」について、電力自由化の専門家としてメディア取材を受ける私が最新情報を詳しく解説します。
目次
キグナス石油とはどんな会社?
キグナス石油は石油元売り会社の中で最も規模の小さな会社です。三愛石油とコスモ石油から出資を受けています。
店舗数は全国に462箇所と、最大手のENEOSの10分の1にも満たない規模ではありますがガソリンスタンドを全国展開しています。
そんなキグナス石油の「電気」を解説します。
電力自由化に参入していないキグナス石油
2020年時点で、キグナス石油は電力自由化に参入していません。
電気の販売には未参入
石油元売り会社では、ENEOS、出光興産、コスモ石油のように企業や家庭向けに電気の販売に力を入れているところが目立ちます。国内の石油製品の需要が急速に減少する中、会社の大きな方針として「総合エネルギー企業」への転身を目指して電力事業に注力しています。
ですがキグナス石油では現在のところ、電気の販売には参入していません。電気の販売に必要な小売電気事業者としての登録も行っておらず、「キグナスでんき」実現に向けた動きも見えない状況です。
発電事業も手掛けていない
石油元売りの大手3社は、いずれも新規参入企業としては大規模といえる発電事業を手掛けています。製油所の敷地内などに火力発電所を設けて発電を行っています。
キグナス石油は発電事業者としての届け出も行っておらず、火力発電所などの大規模な発電事業は手掛けていません。そもそもキグナス石油は石油元売り6社の中で唯一、原油の精製を行っておらず、他社のように精製過程で得られる副産物を使った発電が出来ないという事情もあります。
コスモ石油との関係に注目
キグナス石油は三愛石油から80%、コスモ石油から20%の出資を受ける会社です。
三愛石油では一部地域はENEOSの電気を販売、コスモ石油はグループ企業の発電所などを生かして法人向けの電力販売を手掛けていましたが、競合から遅れること3年、2019年に家庭向けの電力販売サービス「コスモでんき」をスタートさせています。
キグナス石油についても、こうした資本業務提携先の関係を活かすことで、電気の販売に参入できる可能性があります。
ガソリンの割引がある他社の電力事業
電気を販売している他社では、電気の契約者に給油の割引特典を提供しています。
出光興産
出光興産は2016年から家庭向けに電気の販売を行っています。また、東京ガスと共同で大規模なガス火力発電を手掛けるなど、電力事業に力を入れています。
電気を契約すると、昭和シェルのガソリンスタンドで給油が2円/L引きになる特典があります(月100Lまで) Pontaのポイントカードを店頭で提示することで、割引を受けることが出来ます(現金や他社クレジットカード払いでも割引が適用)
新電力としては珍しくオール電化プランも提供しているのも特徴です。
ENEOSでんき
2016年から家庭向けに電力を販売し、既に62万件の契約を獲得しています。
ENEOSでんきを契約し、更に「ENEOSカード」で電気代と支払っている人に対し、給油が1円/L引きになる特典を提供しています(月150Lまで)
ENEOSカードはクレジットカードですが、年会費無料のカードもあり、またENEOSカード自体にも割引特典があり、それに加算する形で割引が行なわれます。