九電みらいエナジーが高圧電力を値上げへ
九電みらいエナジーは2022年6月、約款を改定し高圧電力・特別高圧の値上げを発表しました。契約している事業者が取るべき対処方法をまとめます。
目次
九電みらいエナジーが値上げを発表
2022年6月3日付けで正式に値上げを発表しました。
約款を改定。値上げへ
2022年6月3日、九電みらいエナジーは公式サイト上で高圧・特別高圧契約の約款の改定を発表しました。
値上げ前 | 値上げ後 | |
---|---|---|
基本料金 | 1716.00円/kW | 2565.42/kW |
電力量料金 夏季 |
17.54円/kWh | 26.22円/kWh |
電力量料金 その他季 |
16.38円/kWh | 24.49円/kWh |
上表は関東エリア向け「業務用電力」の需給契約条件に記載された料金単価です。値上げ前の料金単価と比較して、値上げ後(2022年9月1日実施分)は基本料金・電力量料金単価ともに大幅に値上げされていることが分かります。
各社が値上げを急ぐ背景
新電力各社は高圧電力・特別高圧の電気代の大幅な値上げや、解約あるいは新電力事業からの「撤退」の動きを加速させています。
このような動きの背景にあるのが、2021年秋から続く電力取引価格の大幅な高騰です。以下の表は、電力取引価格の指標となる卸電力取引所の東京エリアプライス(東京電力管内向けの電力の取引価格)の月間平均値です(単位:円/kWh)
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
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19年度 | 9.03円 | 8.71円 | 8.17円 | 7.59円 | 7.48円 |
20年度 | 5.35円 | 14.35円 | 66.53円 | 8.29円 | 6.70円 |
21年度 | 17.59円 | 18.04円 | 23.95円 | 23.36円 | 30.76円 |
卸電力取引所における電力取引価格は平均で8〜9円程度と言われています。ですが2021年秋から平均的な水準の2倍以上という水準での取引が続いています。
電力取引価格高騰の原因としては2021年下半期から続く燃料輸入価格の高騰、電力需給の逼迫などが指摘されています。
新電力は通常、9円程度で仕入れた電力を2円程度の託送料金(高圧の場合)を送配電事業者に支払い、電力を顧客に届けます。現在の電力取引価格の水準は、販売価格を大幅に上回る水準です。多くの新電力が値上げあるいは事業からの撤退を進めています。
新規契約受付を中止している例も
電力取引価格高騰を受けて、新規契約の受付けを停止している電力会社も増えています。この動きは新電力だけでなく、東京電力エナジーパートナーや中部電力ミライズ、関西電力や北陸電力といった大手電力本体(の小売部門)にも波及しています。
新電力が新規受注を絞る、あるいは既存の契約について解約を申し出たことで大手電力への申込みが急増。確保していた電力量を上回り、また新規での追加調達も電力取引価格高騰のため難しく、結果として大手電力の小売部門でさえも新規受注を絞らざるをえない状況が生じています。
契約事業者が取るべき対処方法は
値上げの通知を受けた契約事業者が取るべき対応をまとめます。
まずは他社への切り替えを検討
まず第一に行うべきことは、他社への契約切り替えの検討です。以下のような高圧・特別高圧向けの一括見積もりサイトを利用して切り替え先を検討してください。
サイト名 | 対応種別 | 対応地域 |
---|---|---|
エネチェンジ | 高圧・特別高圧 | 全国 |
見積もりには費用などは掛かりません。値上げ後の料金と比較検討を実施してください。
切り替え先が見つからない場合
現在、多くの新電力・大手電力が高圧電力の新規受付を停止している状況です。見積もりサイトを利用しても切り替え先が見つからない場合は、九電みらいエナジーを利用し続けるというのも一つの選択肢となりえます。
また、各地域の送配電事業者が提供している「最終保障供給約款」への移行も選択肢として存在します。最終保障供給は、どの小売電気事業者とも契約交渉が成立しない場合に、最終手段として提供されているものです。直近の情勢では最終保障供給約款の料金が新電力や大手電力が提示する見積もりよりも割安となる場合があります。
ただし、最終保障供給約款が割安となる状況は「問題視」されており、電力の市場取引価格を反映するなどの実質的な値上げが検討されています。