まちエネは取引価格高騰の影響を受けるの?
2021年1月に「暴騰」を続ける電力の取引価格。その影響はまちエネ契約者にも及ぶのか。まちエネの料金メニューを約款をもとに分かりやすく解説します。
目次
高騰する電力の取引価格
まずは2021年1月現在起きていることを解説します。
取引価格が10倍に
多くの新電力が電気の調達を頼っている日本卸電力取引所というマーケットがあります。
卸電力取引所は通常、1kWhあたり7〜8円前後という取引価格で取引きが行われていますが、2020年末から価格が上昇、2021年1月には200円という価格を付ける時間帯もあり、取引価格が通常の10倍を遥かに超える水準で推移しています。
深刻な影響を受ける「市場連動型プラン」
取引価格高騰は、「市場連動型プラン」と呼ばれるタイプの料金プランを契約している人に、深刻な影響を及ぼします。
市場連動型プランは、卸電力取引所の取引価格に各社が定める手数料を加算した金額を「電気代」として支払う料金体系で、予め決まった料金単価がありません。
通常8円程度の取引価格が100円あるいは200円となってしまったため、市場連動型プランを契約している家庭の電気代は大手電力会社の数倍以上に膨れ上がる可能性があり、大混乱を招いています。
まちエネ契約者への取引価格高騰の影響は
では、取引価格高騰はまちエネ契約者にどのような影響があるのか。詳しく解説します。
影響はありません
結論を言うと、まちエネの料金プランには今回の電力取引価格高騰の影響はありません。
まちエネの一般家庭向けの料金メニュー(きほんプラン、かんたんプランなど)を含め、ほとんどの新電力・大手電力会社の料金プランには、卸電力取引所の取引価格を反映する項目がありません。また、まちエネの料金プランは予め料金単価が固定されているので、市場連動型プランにも該当しません。
まちエネ契約者の方には今回の卸電力取引所の取引価格高騰の影響はありません。
まちエネの料金プランの特徴は以下の記事で詳しく、分かりやすく解説しているのでこちらも参考にしてください。
今後値上がりする可能性はある
ただし、注意点としては今後まちエネ契約者の電気代が値上がりする可能性は否定できません。
まちエネを含む多くの新電力と、東電や関電といった大手電力会社は「燃料費調整」という項目を設けて毎月の電気料金に反映しています。燃料費調整は、電力の取引価格ではなく化石燃料の輸入価格に応じて変動するものです。
市場連動型プランでは「取引価格」に応じて料金が変動しますが、「燃料費調整」は燃料価格に応じて料金が変わります。実は直近でLNGを始めとする燃料の輸入価格が上昇しているため、今後燃料費調整が高くなることで、まちエネの料金が高くなる可能性があります。
大手電力の「従量電灯」には燃料費調整に上限が設けられていますが、まちエネを含む多くの新電力、あるいは大手電力会社の新しい料金プランには上限がありません。そのため燃料価格の異常な高騰が起こると電気代が高くなることがあります。
まちエネの電力の調達方法は?
まちエネは2019年度実績として、以下の電源構成を公表しています(公式サイトより)
今回高騰した卸電力取引所からの調達は17%、また卸電力取引所の取引価格に一部連動している「FIT電気」が8%となっています。今回の取引価格高騰により深刻な打撃を受ける新電力も多い中、まちエネへの影響は限定的と言えるでしょう。
なお、以前まちエネは電力をダイヤモンドパワーから調達することを公表しています。このダイヤモンドパワーという会社は中部電力ミライズが80%、三菱商事が20%を出資している中部電力グループの会社です。ダイヤモンドパワーの電源構成と、まちエネの電源構成は現在も酷似しているため、まちエネは現在もダイヤモンドパワーからの調達を中心としているものとみられます。