Looopでんきの評判

Looopでんきのメリット・デメリット


運営会社 Looop 電力調達 他社発電所など
供給エリア 離島を除く全国 契約条件 特に無し


特徴


・中部電力が10%を出資
・2度にわたる個人情報流出
・2022年6月に値上げを実施
・2022年12月から市場連動型プランへ移行


Looopは太陽光発電の会社

 株式会社Looop(ループ)が提供している「Looopでんき」を紹介します。


 Looopは設立は2011年と若い会社ですが、「基本料金0円」という分かりやすい料金プランを武器に、新規参入組としては異例の30万件の契約を獲得しています。


 経産省の公募事業として展開しているケニアの大規模太陽光発電所を始め、自社運営の太陽光発電所の運営や発電設備の販売などもあわせて233億円の売上高(16年度)をあげる注目のエネルギーベンチャーです。2018年9月には中部電力から10%の出資を受けました。電源調達で有利になるほか、ガス自由化への参入にも成果をあげています(東京ガスのエリアに参入)


 私自身も半年間利用したので、その時の感想も交えながら詳しく解説していきます。


料金プランとサービスの解説


 料金プランやサービスを解説していきます。


地域別 乗り換えでいくらお得になる?


 料金プランはとてもシンプルで、使った分に応じて21〜29円/kWhが発生するというプランになっています。基本料金はありません。ちなみに地域によって価格が異なるのは、電気の調達コストや送電線の使用料(託送料金)に地域差があるためです。


 世帯人数ごとの平均使用量でシュミレーションした、お得率・お得額を地域ごとに紹介します。


シュミレーション条件
お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
北海道電力エリア
おうちプラン
+7.3%
+4423円
+0.8%
+1012円
-2.7%
-4101円
-5.2%
-9286円
東北電力エリア
おうちプラン
+14.5%
+7246円
+6.1%
+6714円
+1.6%
+2094円
-1.7%
-2572円
東京電力エリア
おうちプラン
+14.4%
+7372円
+5.8%
+6540円
+1.7%
+2195円
-1.4%
-2213円
中部電力エリア
おうちプラン
+10.8%
+5672円
+6.2%
+6927円
+2.7%
+3516円
+0%
+106円
北陸電力エリア
おうちプラン
+16.8%
+7484円
+12.3%
+11648円
+8.9%
+9807円
+6.4%
+8040円
関西電力エリア
おうちプラン
+15.3%
+6911円
+4.7%
+4740円
+2.7%
+3089円
+1.0%
+1322円
中国電力エリア
おうちプラン
+15.8%
+7389円
+3.9%
+4161円
+2.1%
+2582円
+0.7%
+892円
四国電力エリア
おうちプラン
+14.9%
+7101円
+4.6%
+4887円
+2.5%
+3029円
+0.7%
+1042円
九州電力エリア
おうちプラン
+12.4%
+5709円
+5.4%
+5415円
+1.3%
+1511円
-1.8%
-2417円
沖縄電力エリア
おうちプラン
+11.3%
+5923円
+4.2%
+4804円
+2.9%
+3787円
+1.8%
+2700円

 2022年6月の値上げ実施後の料金単価でのシミュレーションです。以前は主に2人世帯で大手電力よりも割安となる料金設定でしたが、今後の料金は多くの条件で大手電力標準メニューよりも割高です。


 なお、上記の試算には「新たな計算方法」による燃料費調整単価の変動を含めていません(事前の予想が出来ないため)


 また、2022年12月以降、既存契約者も含めてスマートタイムONEという市場連動型の料金プランへ移行することになっています。スマートタイムONEについては以下の記事で解説しています。


セット割引は?


 2019年9月から都市ガスにも参入しました。対応エリアは東京ガスのエリアのみです。


 ガスとセット契約にすることで、電気代の単価が2%安くなります。


解約時の違約金ゼロ


 解約時の違約金は発生しません。
契約期間に関係なく、いつでも無料で解約できます。


 また、ほとんどのご家庭には関係ありませんが、最低月額料金(電気を全く使わなかった月に適用される料金)もゼロ円です。空き家別荘などで何ヶ月もブレーカーを落としっぱなし、というケースでもお得です。


電気使用量の「見える化」


 Webやスマホの「Looopでんきアプリ」から自宅の電気使用量を確認できる「見える化」サービスを提供しています。


1日単位(30分毎)のグラフ

30分単位の電気使用量グラフ


 Looopのグラフはとても見やすく、電気使用量の把握に便利です。また、気温のデータを一緒に読み込んでくれるので、エアコンの使い方の工夫にも役立てやすいでしょう。


Looopでんきの「電気代節約額チェッカー」


 また、「電気代節約額チェッカー」という機能もあります。
 乗り換え前の電力会社(大手電力会社)の料金と、Looopでんきの料金を比較して「いくらお得になったのか」表示します。


電気のトラブル駆けつけサービス


 電気がつかない、停電したなどのトラブルが発生した際に出張サービスで自宅まで来てくれる「駆けつけサービス」が無料で付きます(東電エリア内のみ)


ループ電気のデメリットは?


 Looopでんきには欠点は無いのか。
 半年利用した私が感じる点も交えながら「デメリット」を紹介します。


2022年6月に値上げを実施


 2022年6月に値上げを実施します。2016年の電力自由化参入以来、主に2人以上世帯の平均使用量で大手電力の標準メニューより割安な料金プランを提供してきたLooopでんきですが、値上げ後の料金プランでは多くの家庭で大手電力よりも「割高」となります。


 値上げに関する詳しい解説は以下の記事をご覧ください。


以前は酷かった顧客対応 今は・・?


 2016年の3月下旬頃、私がLooopでんきのコールセンターに電話を掛けたところ、混雑のため10分以上待っても電話が繋がりませんでした。以前の顧客対応は悪かったと言わざるを得ません。


コールセンターに電話がつながりにくかった


 しかし、1年経った2017年3月上旬(平日のお昼11時頃)に改めて電話を掛けたところ、電話はすぐ繋がり、丁寧に回答して頂きました。


 また、2017年4月中旬に私自身がLooopと契約するためにメールのやり取りを3往復ほど行いましたが、いずれもその日のうちに返信がありました。同じ料金水準の小さな会社だと、翌日や翌々日以降に返信が来ることが多いので、この対応には満足です。


 なので、現在は顧客対応については問題は無いと言えます。


 問い合わせも電話がフリーダイヤルで、年中無休(9〜20時)という点でも便利です。小さな新電力だとフリーダイヤルではなく、土日祝休みのところも多いです。


支払い方法:カード払いのみ


 支払い方法は「クレジットカード払い」のみです。コスト削減のため、口座振替など他の支払い方法には対応しないとの回答を得ています。


2度にわたる個人情報流出


 2019年6月、Looopでんきが7676人分のメールアドレスを流出する事件が発生しました。キャンペーン情報を応募者にメールで送信する際に、誤って他の受信者のアドレスが見えるかたちで送信しました。


 更に、2021年9月にも同様の個人情報流出事故を起こしています。個人情報の管理体制にはいささか不安が残ると言わざるを得ません。


環境・エコ


 環境省が公表している二酸化炭素排出係数(2020年度実績,2022年1月発表)を見ると、LooopでんきのCO2排出量は1kWhあたり349gという値で、大手電力・新電力と比較してもCO2排出量が少ないです。過去年度分についても同じく1kWhあたり349gでした。
 環境負荷が小さな電気と言えます。


電源構成


電源 構成
その他 50%
FIT電気 22%
卸電力取引所 21%
再エネ 7%

 2020年度の計画値として公式サイトに掲載されている内訳です。
 「FIT電気」は太陽光など再生可能エネルギーで発電された電力ですが、制度上「再エネとして扱わない」ことが定められているので、Looopでんきの再エネ比率は7%です。以前(2018年度など)はわずか1.27%だったので、再エネ比率を徐々に高めているようです。


料金高騰リスクがある料金体系へ移行


 Looopでんきは4月・6月に発表した値上げ(料金単価引き上げ)に続き、2022年7月28日に燃料費調整単価の計算方法を変更し、多くのユーザーにとって大幅な値上げとなる料金改定を実施することを発表しました。


何がどう変わる?


 変更点を整理します。


変更前 変更後
計算根拠 財務省「貿易統計」による
燃料輸入価格
日本卸電力取引所
電力取引価格
備考 大手電力と同じ計算式 いわゆる市場連動型

 従来は財務省貿易統計の数字をもとに、燃料輸入価格の変動を毎月の電気料金に反映する燃料費調整制度を採用していました。計算方法は大手電力と同じです。


 今後は燃料輸入価格ではなく、卸電力取引所での電力取引価格に連動する燃料費調整単価に変更されます。


 変更の適用は2022年10月分の請求からで、長期契約が前提となる「再エネどんどん割」や「未来発電」には適用されません。


影響は?


 Looopが公表した情報をもとに、影響を具体的に示します。


単価(東京) 料金の差額
月300kWh
従来方式 新方式 差額
8月分 5.10円/kWh 7.14円/kWh 2.04円/kWh 612円

 7/1〜26の電力取引価格をもとに算出された新たな燃料費調整単価は7.14円/kWhと、従来の計算方法(大手電力と同じ)で算出された単価5.10円と比べて2.04円の値上がりとなります。月300kWhの電気を使う一般家庭では612円の値上がりとなります。


 なお、新たな計算方法によって算出された10月分の燃料費調整単価は19.00円(東京エリア)とされています。


契約者へのアドバイス


 アドバイスをまとめます。



 2022年夏、そして2023年1・2月(冬)に電力不足が懸念されています。電力不足が発生すると電力取引価格が暴騰するため、新たな計算方法によって算出される燃料費調整単価も高額になる恐れがあります。2021年1月には1ヶ月にわたり電力需給が逼迫し、平均取引価格が66円と通常の7倍以上の水準となりました。


 また、足元では燃料価格の高騰により電力取引価格の高止まりが続いており、電力需要が落ち込む時期でさえも取引価格が高値圏で推移しており、これも「新たな計算方法」による燃料費調整単価を押し上げる要因となります。


東京エリアプライス
(円/kWh 税抜き)
1月 2月 3月 4月 5月 6月
2020年 8.17円 7.59円 7.48円 6.85円 5.75円 5.57円
2021年 66.53円 8.29円 6.70円 7.05円 6.98円 7.02円
2022年 23.95円 23.36円 30.76円 21.65円 19.50円 25.27円

 月数日しか利用しない別荘など、特殊な使用状況を除いて大手電力標準メニューよりも大幅に割高となるリスクが低くないため、新たな計算方法が適用されるまでに大手電力標準メニューなど他社への切り替えを行うことを推奨します。


 九州エリアに関しては原発の再稼働と再エネの導入拡大により、他のエリアと比べて電力取引価格が安値圏で推移しており、Looopが示した計算事例でも新たな計算方法の導入により「値下がりする」とされています。とはいえ今後の電力取引価格の見通しは楽観出来るものではないため、一定のリスクがある点には注意が必要です。


 当サイトでは卸電力取引所の取引価格を反映する料金体系を採用している料金プランについて「料金高騰リスクあり」と記載しています。




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